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#0149【アイデンティティを保つために(旧約聖書、イサクとリベカの結婚)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。
前回【148:サラの死と埋葬】の続きです。

<>内は旧約聖書からの引用を基に記述。

<(筆者注:サラの死後も)神はアブラハムに祝福をお与えになった。>

やがて年老いたアブラハムは、イサクに迎えるべき妻を考えるようになりました。

<アブラハムは自分の財産を任せている信頼できる僕(しもべ)を呼んで話をします。

アブラハム「私の生まれ故郷に行ってイサクの妻を探してきなさい」
僕「その娘が、こっちに来たくないと言ったらイサクさまを生まれ故郷にお戻しにならますか?」
ア「ならん。こっちに連れてきなさい。神の祝福があるから大丈夫だ。」

僕は、高価な贈り物を携えて主人の生まれ故郷へと旅立ちます。町に辿り着くと彼は神にこう祈ります。

僕「この水汲み場にやってきた娘の中に私が『どうか水を飲ませてください』と頼みます。その彼女が『どうぞ、お飲みください。らくだにも飲ませてあげましょう』と答えたならば、彼女こそがイサクさまへの」

と祈り終わらないうちに、リベカが水がめを肩に載せてやってきました。

僕「水がめの水を少し飲ませてください。」
リベカ「どうぞ、ラクダにも水を汲んできて、たっぷり飲ませてあげましょう。」

僕は、リベカに事情を話し、その実家へ挨拶に行きました。

「このことは神のご意志ですから、わたしどもが良し悪しを申すことはできません。リベカはここにおります。どうぞお連れください。神がお決めになったとおり、ご主人のご子息(イサク)の妻になさってください。」

リベカとその家族は快くイサクの妻となることと生まれ故郷を離れることを了承しました。

翌日さっそく僕はリベカを連れて、アブラハムの生まれ故郷を出発します。

リベカがイサクの元へと辿りつくと、イサクは母サラの天幕に彼女を案内して二人は夫婦となりました。>

なぜ、アブラハムは寄留地ではありますが、神から約束された地である現住所のカナンで妻を探さず、自分の生まれ故郷からイサクの妻を探そうとしたのでしょうか。

色々な考え方ができると思いますが、筆者はイサクの思想や習慣が現地化・土着化することを恐れてのことだったのではないかと考えています。

結婚によって、夫と妻の二人によって新しい家庭が築かれ、そこに生まれた子どもによって次世代へと二人の文化が伝わっていきます。

アブラハムは、神に祝福された一族としての誇りが土着の多神教と交わることによって薄まることを恐れたのではないでしょうか。

筆者は、事の真意も是非も下す立場ではありません。ご参考までにこの寓意に対する考えを開陳した次第です。

さて、イサクは母を失った心の空白を敬虔深いリベカによって埋めることができ、平穏な日々を過ごすことになりました。

以上、本日の歴史小話でした!

(続き:No.150【決断と信仰の生涯(旧約聖書、アブラハムの死と埋葬)】)

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発行人:李東潤(りとんゆん)
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https://note.mu/1minute_history/m/m814f305c3ae2
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