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自殺未遂者が言われたくないこと

 これは私(1人の自殺未遂者)の考えであって、もちろん全員に当てはまるわけではありません。考え方は人によっていろいろあると思うので、ひとつの意見として見て下さるようお願いします。


 北風の冷たいある日、私は命を絶とうとしました。しかし救急車で運ばれ、一命を取り留めました。助けてくれた方、学校の先生、親など、色々な人に色々な言葉をかけてもらいました。
 その中で、言われてモヤッとした言葉や、落ち込んだ言葉を紹介します。全員、私を励ますために言葉をかけてくれた、というのはわかっています。けれどここに書くことで、1人でも自殺未遂者や自殺志願者にこのような言葉をかける人が減ってくれるといいな、と考えています。
 文の通り、此方精神面に疾患を持っているため、きついご批判等はご遠慮下さい。

1.「自殺する勇気があれば、なんでもできる」

 実を言うと、私も以前はこう思っていました。しかし、本格的に自殺を考えるようになった時から、この言葉に違和感を持ち始めました。
 もしこの言葉が本当だったなら、自殺する人なんていません。なんにも出来ないから、自殺を選ぶんです。実際、出来ることはたくさんあるのでしょう。けれど、自殺を考えるくらい追い詰められていると、逃げ道は死ぬことしかないと思い込んでしまう。少なくとも私にとっては、自殺するより誰かに相談するほうがよっぽど勇気のいることでした。
 この言葉をかけてくれた人の気持ちもわかります。ですが、自殺志願者はまだしも、自殺未遂者という既に一度は実行してしまっている人にこの言葉をかけるのはやめてほしいなぁ、と思ってしまいます。

2.「生きたくても生きられない人もいるんだから」

 正直、「それがなんなんだよ」と感じました。生きられなかった人の分まで生きる?なんだそれ。私は片親を亡くした身ですが、それでも「生きられなかった親の分まで生きる」というのが理解できません。私からしたら、死にたくない人に「死にたくても死ねない人もいるんだから」と言っているのと同じだと思ってしまいます。
 気分を悪くされた方がいたら申し訳ないです。けれど私はこの言葉だけは本当に、自殺志願者にも自殺未遂者にもかけてはいけない言葉だと思っています。


3.「自殺なんて、1番してはいけない事」

 そう言われ、私はただただ落ち込みました。言われるに値することをした、それは分かっているけれど、一応私が悩んで決めた選択でした。ひとつの選択を否定されただけなのに、私は自分の全てを否定された気になってしまいました。
 言いたくなる気持ちもわかるんです。だけど、心の中に留めておいて欲しい。してはいけない選択だというのは、本人が1番わかっているから。してはいけない、そう思っていても、そうするしかなかったんです。
 お願いだから、自殺未遂者が悩んで決めた選択を否定するような言葉はかけないでほしいです。



番外編︰心に染みた言葉


せっかくもらった沢山の言葉、否定するだけでは申し訳ないので、私が心に染みた言葉も紹介します。

1.「"私は"あなたが生きててくれて良かった」
2.「あなたの人生だけど、"私は"あなたに生きていて欲しい」
3.「あなたが頑張れなくなっても、"私は"嫌いになったりしない」
※一人称は全て"私"、二人称は全て"あなた"に置き換えています

 これらの言葉(本当はもっとあります)は、私の存在を肯定してくれている気がして、心が楽になりました。
 見てわかる通り、共通点は全て一人称が入っていることです。このように一人称を主語にした言葉を心理学の用語では「アイ(I)メッセージ」というらしいです。アイメッセージを使うと、きつい印象があまりない為、相手は私を思って言ってくれた言葉なのに、私のようにすぐ傷ついてしまう、精神的に脆い人にはいいのかもしれません。

最後に

 ここまで、1人の自殺未遂者である私が言われたくなかったことや、心に染みた言葉を紹介してきましたが、どうだったでしょうか。気分を害された方がいたら、本当に申し訳ありません。
 まとめると、"かけられた側が少しでも否定と感じるような言葉は、心の中にしまっておいて欲しい"と、私は思っています。勝手なことを偉そうに言ってごめんなさい。もし本当に、その人のことが大切なのであれば、の話です。また、良かったら「アイメッセージ」を使って、その人が"私には"必要である と伝えてあげてほしいです。必要としてくれる人がひとりでもいれば、もう"自殺"という選択はしない可能性もあります。
 どうか、全ての自殺未遂者が同じ選択を繰り返しませんように(結局私だって、こうやって自殺を否定してしまっていますね)。
 私に言葉をかけてくれた全ての人、また、ここまで読んでくださった心優しいあなたに感謝を込めて。

ありがとうございました。


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