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科捜研過去問(法医学)

こんにちは!「科捜研対策!様々な都道府県で筆記試験を突破した私が対策を教えるよ!」というnoteを書いているDr.TKCです。

今回のnoteでは、私が過去に受験した科捜研の専門試験(法医学講座)の過去問を公開します。過去問と言っても、問題用紙は試験後に回収されてしまって持ち帰り不可能なので、試験が終わってから私が記憶を頼りに残したメモを基に作成した問題集となっています。

なので、一言一句正確なものではなく、「こんな問題が出たよ!」という内容です。しかし、科捜研の専門試験を突破するには十分に役立つはずです。

私はもう年齢的にも科捜研にチャレンジ出来ず某製薬企業で研究職として働いていますので、過去問を公開することにしました。

解答も記載していますので、科捜研(法医学)の専門試験が突破出来ない人は是非参考にどうぞ!



過去問(無料で公開分)

【1】穴埋め問題(括弧内は記述式) 
核酸は塩基、五炭糖、リン酸からなる(ヌクレオチド)がリン酸ジエステル結合によって出来ている。DNAの場合、(ヌクレオチド)を構成する五炭糖は(デオキシリボース)であり、塩基にはプリン塩基である(グアニン)と(アデニン)、ピリミジン塩基である(シトシン)と(チミン)の4種類がある。
  DNAの複製では、DNAの二重らせんが乖離し、それぞれが鋳型となり新たな二本鎖DNAが作製される。このような複製形式は(半保存的複製)と呼ばれる。
  (半保存的複製)は大腸菌を15Nを含む培地で何世代も培養した後に14N培地で培養することで証明された。
  DNAの複製においてDNAポリメラーゼは5'→3'の方向にのみDNA鎖を合成する。従って、一方の(リーディング鎖)では連続的に複製されるが、他方のラギング鎖では(岡崎フラグメント)と呼ばれる短いDNAの合成と連結の繰り返しによって不連続に複製される。
  遺伝子発現の過程で最初に合成されるRNAは遺伝子全体をコピーしており、エキソンと(イントロン)を含んでいる。その為、(スプライシング)によってmRNA前駆体から(イントロン)が取り除かれ、エキソン同士が繋ぎ合わされmRNAとなる。


【2】免疫の穴埋め問題(括弧内は記述式)
  ヒトの免疫反応では抗体が主体の(体液性免疫)とTリンパ球が主体の(細胞性免疫)がある。(体液性免疫)の主体である抗体は(免疫グロブリン)とも呼ばれ、IgG、(IgA)、(IgD)、(IgM)、(IgE)の五種類のクラスに分類される。この内分子量が最も大きいのが(IgM)であり、消化管粘液に分泌され気管等で感染防御の主体となるのは(IgA)である。
  (免疫グロブリン)はY字型の構造をしており、還元剤で還元すると(免疫グロブリン)の(ジスルフィド)結合が切断され(H)鎖二本と(L)鎖二本に分離出来る。(免疫グロブリン)にパパインを作用させるとFabとFcに分離する。Fabの一部には抗原と特異的に結合する領域があり、(可変部)と呼ばれる。抗体の(可変部)の構造を決定する遺伝子はVH、DH、JH、VL、JLである。B細胞の分化過程でこれらの遺伝子が選択されることで抗体の多様性が生まれる。この遺伝子選択を抗体遺伝子の(再構築)と呼ぶ。

【13】mRNAのスプライシングを説明せよ。
解:mRNAは転写によって生じるが、そこにはエキソンだけでなくイントロンも含まれる。この異なるエキソン同士を結合させて遺伝子の発現に多様性を持たせる為にイントロンを除去する仕組みがmRNAのスプライシングである。

【14】ナンセンス変異とミスセンス変異の違いを説明せよ。
解:ナンセンス変異はアミノ酸を指定しているコドンが停止コドンへと変化する突然変異であり、ミスセンス変異は塩基配列に変異が生じ、別のアミノ酸のコドンに変化する突然変異。

【15】抗体の多様性が生じる仕組みを説明せよ。
解:抗体産生細胞内でVDJ再構成が起き、可変部の異なる抗体が産生される。また、これに加えSHM(体細胞超変異)やCSR(クラススイッチ組換え)が起こり多様性が生じる。



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