つれづれつづり/008

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  • つれづれつづり

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    それぞれ、おのおの、つれづれにつづります。

最近の記事

禍記③

 人類が滅亡する時ってどういう状況だろうと考えたことがある。戦争だとか人口減少だとか食糧難だとかそういうことより地球の環境が大きく変化して、それに耐えられなくて絶滅してしまうんだろうなと思っていた。例えば地殻変動とか隕石の衝突とか、宇宙人の侵略とかでもいい。  しかしどうだろう。もし今回の出来事がもうちょっと感染力が強くて、もうちょっと発症が遅くて、もうちょっと致死率が高かったとしたら。あっという間に世界中に広がって、ある日突然発症して、みんな死んでいたかもしれない。  隕石

    • 禍記②

       結局旅行を諦めた私はもうどうにでもなれ と思っていた。  私の職場は人が密集しており、対策らしい対策といえば当時は消毒用のアルコールが設置とドアを開けて換気をしておくくらいがせいぜいだ。働いている人の間でも「誰かかかったらもうアウトだよね」といつも言っていた。  もう休みになっちゃえばいいのに という話すらお決まりの冗談として使われていた。人命軽視、業務優先の我が職場。休みになることなど到底無理だろうと誰もが思っていた。  そんな職場も、さすがに罹患者が出れば動かざるを得

      • 禍記①

         あの日のことはぼんやり覚えている。昨年の冬くらいからサウナに興味を持ち、近くのスーパー銭湯で温まったり冷えたり、拷問のような状況を楽しんでいた。ご存じの方も多いだろうが、サウナにはテレビが設置されていることがある。長時間何もせずただただ耐えるというのは退屈だからだろう。私はひどく目が悪いので正直テレビが流れていても見ることはできないのだけれど、それでもなんとなしに音だけ聞いていることはある。ちょうどニュースが流れており、武漢での新型ウイルスを知らせるものだった。 「新型だ

        • 追々の老い 3「自分の老い」

           テーマ「老後」の第3回となります。やっぱり一番考えたくないのは自らの老いのことで、かなりの遅刻となりました。逃げていても追ってくるのが老いというものです。  ゲイは若さに執着する などという風潮もありますが、私自身周囲に年上が多かったですし、それなりに素敵に楽しく生きている方々が多かったので年を取ることそのものには何の抵抗もありませんでした。むしろまだまだこれから とすら思っていました。そもそも自分にはいわゆる世間一般で求められるところの「若さ」というのがなかったので、覇

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        記事

          追々の老い 2「両親の老い」

           テーマ「老後」の第2回となります。少しずつ親等下がっていく感じですね。  これもなるべく考えたくないなと思うのですが、避けては通れぬ話題です。まだ祖母の介護については協力しつつもまだ他人事のような部分も多かったです。下の世話、褥瘡の手当て、そういう所も一生懸命母は介護していました。その姿を尊敬しつつも、でもどこか「私はこんなに親の面倒を見たのだからお前も私の面倒を見ろ」という無言の圧力をかけられているようにも見えました。口に出して言われた事はありませんが性格的に思っているこ

          追々の老い 2「両親の老い」

          追々の老い 1「祖母の老い」

           つれづれつづり第4回となりました。今回のテーマは「老後」。いくつかテーマの候補を出し、その中から投票をしていくのですが正直なところ「老後だけは嫌だな」と思っていました。皆さんきっと真摯に向き合って書いていらっしゃることでしょうが、どうしても目をそむけたくなって「その時に考えればいいや」となってしまうのが常です。しかし遠からずやってくるそれとは若いうちに向き合って考えて準備しておかなければいけないものだとも重々わかっています。それでも決して明るい未来があるとは思えない自分には

          追々の老い 1「祖母の老い」

          働きたくない ~後編 現職~

           つれづれつづり「仕事」第3回目。今回は現在の仕事について。  普段からどんな仕事をしているかといのはネット上では明かしていませんし、実際に会った人にちょこっとだけ話すくらいなので全体像を知っている人はかなり限られているというかほぼ皆無という状況です。  正直自分のことをつまびらかにしていくのがこのつれづれつづりの趣旨ではあるものの、今回に関しては諸般の都合で具体的な業種や業務内容については明記しませんのでご了承ください。大した理由ではなくあくまでも個人的な線引きの問題なので

          働きたくない ~後編 現職~

          働きたくない ~中編 無職~

           つれづれつづり テーマ「仕事」中編です。  昔から職業に対してのイメージが湧かないまま大人になってしまいました。「好きなこと」に身を投じてがむしゃらに生きる覚悟もできず、興味はなくてもお金のためと割り切る事もできず、結局宙ぶらりん。働かずに済むならそれに越したことはないと本気で思っているのですが、あくまでもそれは収入があるという前提の話でして。  かつても触れたとおりの「働きたくないと言いつつも本当に働かなくなったら」が今日のお話です。  人生で二度ほど、それぞれ一年弱無

          働きたくない ~中編 無職~

          働きたくない ~前編 学生バイト~

           つれづれつづりも3rdシーズンに入りました。記事で言えば8回も書いているわけですが、いまだに手探りというかこんなんでいいのかな と思いつつつづっております。一番良く分からないのは文体ですね。本当はだである調の方が書きやすいのですけれど、なんとなくですます調の方が自分の言葉で話しているような気分になるのでそうしています。あくまでも自分の気分です。  今回のテーマは「仕事」。夜はいい仕事しまっせ♡ みたいな方面に持っていくことは確実に無理なので真っ当に自分が経験してきた仕事につ

          働きたくない ~前編 学生バイト~

          恋愛観:Q インタビュー

          つれづれつづり 恋愛観 最終回 今回は趣向を変えて対談形式です。お相手はもちろん現在恋愛関係にある男性です。 過去の記事で何度か登場してきました彼に、つれづれつづりに綴ってきた内容や恋愛観、二人の関係について聞きました。 ****** ――今回はご協力いただきありがとうございます。個人を特定できない範囲内で自己紹介をお願いします。 「皆様はじめまして。酒と音楽とセックスをこよなく愛するしがないアラフォーです」 ――この企画開始前に少し相談させてもらったことがありましたが「つ

          恋愛観:Q インタビュー

          恋愛観:破 ジンクス

           恋愛観第二回。前回は初めて付き合った人と初めて告白した人のお話でした。今回はその後の事を絡めて恋愛観についてつづっていきます。  それから2、3人ほどお付き合いをしましたが、一瞬で別れたり3年で別れたり悲喜こもごもでした。いくつか恋愛を重ねても根幹にあるのは「嫌われたくない」でした。どれだけ熱烈に愛されても、本当には信じられません  どこか疑っていて、いつも怯えていた。そういうのは相手も疲れてしまいますよね。『そういうのウザい』と言われ振られました。そらそうだ。  そん

          恋愛観:破 ジンクス

          恋愛観:序 フィクション

           恋愛観を語れるほど恋愛に一過言あるような人間ではないのですが、ないなりの恋愛観だってきっとあるはず……としばらく考えてみたものの、何を書こうか考えているうちに眠くなってくる始末。恋とは。愛とは。観とは。悩みながら恋愛してきたように、悩みながら恋愛観についてつづっていきます。  どうしてこれだけ悩んだかというと、やはり初めて付き合った人のことを書かなければいけないからかもしれません。これは前回のつれづれつづりで「敢えて」「意識的に」誤魔化して書くことを避けた部分です。甘酸っ

          恋愛観:序 フィクション

          平成個人史#5 希望編

           つれづれつづり5回目。時代は平成の終わりから、今この時。平成を越え、時代は令和となりました。平成への改元の頃は物心が付いていなかったので、記憶にある中では初めて元号が変わる瞬間に立ち会った気分です。他の方々がつづった改元エピソードとは全く違う流れで迎えた新しい時代。そのことについては、きっといつかつれづれつづり令和編でお届けする事となるでしょう。30年後かな?  さて、その後の私であり、今の私の事です。一番最後ではありますが自己紹介です。  はじめまして。つれづれつづり会

          平成個人史#5 希望編

          平成個人史#4 地獄編

           つれづれつづり四回目。時代は平成後期。大学生から社会人。  タイトル通り地獄めいたことばかりが起きたように思います。時代としてもリーマンショックやら大震災やら不穏な事が多かったのは皆さまもご存知の通りです。先に申し上げておきます。この記事でも明るい話題、無いです。  同性とも恋仲になり、いよいよ本格的に活動が始まります。と言っても非常に奥ゆかしい活動でした。そもそも私は当時創作活動に熱心でいずれはその道で生計を立てたいと思っていました。特別同性愛に関する創作ではなかったので

          平成個人史#4 地獄編

          平成個人史#3 青春編

           つれづれつづり三回目。時代は平成中期、中高生くらい。前回予告した通り恋のお話をしましょう。ただし、皆さまが期待しているような明るく楽しい話でもなければ、頬が紅潮する官能的な展開もありません。ただただ屈折して陰鬱とした、失恋と呼ぶことすらおこがましい、報われない物語です。  青春編などと銘を打ったものの、その名前から想像できるような明るい時代では決してありませんでした。部活に熱中するわけでもなく、友達と遊ぶわけでもなく、いつも何か情熱を傾けられるものを探していながらも、あら

          平成個人史#3 青春編

          平成個人史#2 成長編

           一か月というのは案外あっという間なもので、次に何を書こうかと考えている間に次の締め切りが来てしまいました。今回から平成初期・中期・後期・そして現在という括りでお話をさせていただきます。今回は平成初期。小学生頃のことです。  前回もお話した通り、私は男の子との遊び方を全く知りませんでした。小学校一、二年生くらいはまだ男女混ざって遊んでいても違和感はありませんが、三年生くらいになってくるとやはり男の子は男の子、女の子は女の子と明確に線引きをされるようになります。その線引きに漏

          平成個人史#2 成長編