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【感想】『営業はいらない』を読んで思ったこと。

今回は、三戸政和さんの著書『営業はいらない』を読んで、私が感じたこと、考えたことを書いていきたいと思います。

https://www.amazon.co.jp/営業はいらない-SB新書-三戸政和/dp/4815604606


出会い

ちょうど1カ月ほど前、仕事帰りに本屋に立ち寄った際にこの本のタイトルに目を奪われました。

『営業はいらない』

新卒入社以来営業マンとして勤めている立場からすると、決していい気持ちはしません笑

「この本を読んだとして、そして完全に営業がいらないことが納得できてしまったとして、明日からどんな顔して会社に行けばええんや笑」

私の武器は「素直さ」だとおじさんらからよく言われる今日この頃です。

そんな少年のようなピュアな心を持った私がこの本を手にしてしまえば、おそらく書いてあることの100%に対し、大きく首を縦に振ることになるでしょう。

私としては自分の仕事に誇りをもってこれからも会社に行きたいところです。とはいえ、自分とは違う考え方を無視し、偏った価値観を持ち続けることも健全とは言えません。

出会ってしまった以上、読まないわけにはいかない、、

渋々レジに持っていき、ご購入です。


営業が「だれ得」である時代はもう来ている。

この本の内容を、ものすごくざっくり説明すると、以下の①、②のようになるかと思います。

①AI技術の浸透により、営業職はAIに代替可能な仕事となりつつある。
②営業職として現在活躍する皆さんは、求められる資質が共通する「経営者」になることをお勧めする。

5章仕立てのこの本のうち、①については1~3章、②については4~5章において解説がなされております。

個人的には、②の「経営者をお勧めする」という部分に関してはいささか疑問が残りました。(素直じゃねえじゃん) なぜなら、経営者に求められる資質(考える、行動する、人間的である、表に立てる)が営業職でしか鍛えられないわけではないと感じるからです。「営業職でこそ!」というニュアンスには若干違和感があります。この部分はむしろサラリーマン全員に向けて言えることかもしれませんね!

一方、①のお話の展開に関しては、営業職に的を絞ってしかるべき議論だと感じました。

①の中身の一部を簡単に解説します。

今までの経済活動において、消費者は商品のことを「知る」という機会がかなり限定されておりました。それだけに、商品の価値を直接伝える数少ないチャネルであった「営業マン」という職種は、企業に直接的な利益をもたらす不可欠な存在でありました。

しかし、ネットの普及、そしてAI技術の進歩によって、状況はがらっと変わります。

1人1人の消費行動がデータ化され、消費者一人一人の傾向を自動的に分析できるようになったことで、ニーズの合いそうな商品を自動的に紹介するという仕組みが確立されてきたのです。

身近な例で言うと、Amazonで買い物をしたときに「あなたにおすすめの商品」が自動的に画面に出てくるようになりましたよね。あれをイメージしていただくとよいかと思います。

消費者がネットサーフィンをしていれば、画面には購買傾向を分析した結果の商品広告が「求めずとも」出てくるようになりました。そして、この技術というのは今後より一層精度を高め、もっともっと私たちの生活に浸透していくことでしょう。

こうなると、消費者目線からして、営業職っていりますかね?

世界中の全ての商品を客観的に比較した上で商品を紹介してくれるならまだしも、基本的に営業マンは自社を通して販売できる商品を売ろうとしてくるわけです。たとえ世界一の商品でなかったとしても、さも世界一の商品かのように良さをアピールし、商品を勧めてくるわけです。

スマホをいじっているほうが、よっぽどいい買い物ができる時代がもう来てしまっているのです。

本書では、将来的に営業という職種がなくなる可能性が高い根拠をこれでもかというほどに示されています。

そして、営業はなくなっていくと考えたほうが自然である現在の流れの中で、どうして企業は営業を減らすことを進めていけないのか。このような構造的な課題にも言及されているため、とても勉強になりました。


私たちはどうするか?

とはいえ、「あーおもしろかった!」で思考を止めるのはあまりにももったいない。

私は現在営業マンです。

この20年間で約100万人の営業マンが消え、全体人口は11%も縮小しております。

この減少スピードは指数関数的に加速していき、近い将来なくなる仕事だと、余命宣告まで告げられております。

もちろん、私の勤める金融機関では営業職以外にも様々な職種があるため、営業が消える前に別の職種に配属される可能性もあります。むしろその方が確率的には高そうです。

ただ、一会社員として、「とりあえず今はどうこう言っても変わらないわけだし、目の前の事こなしておけばいいや」という状況は作りたくないものです。

自分が今、平日の朝から晩まで心血を注いで行っていることに対して、何かしらの「意味づけ」をしたいのが人間の心理じゃないでしょうか。


というわけで、これは私からのお願いなのですが、この虚業に成り下がりつつある「営業」という仕事について、もう少し語らせてください笑

いろいろとやり玉に挙げられてきたこの営業という仕事ですが、

私は、「言葉を扱う」「人間らしい」仕事だと思います。

営業活動の表面だけ見ると「商品を扱う」なのでしょうが、本質は「言葉を扱っている」のだと感じます。

4年間という短い期間で感じたことで大変恐縮なのですが、営業という仕事は他の職種に比べても、明らかに言葉を扱う量が群を抜いていると感じます。まあここは客観的なイメージからしても、異論はあまりないかと思います。

「言葉を扱う」ことこそ人間の人間たるゆえんだとはよく言われる話ですが、こういう意味において営業という職業は、現在の産業活動において、最も「人間らしい」所業を積める仕事だと私は考えます。

10年後には、「営業自体」の存在価値はどんどん減っていき、ついには不要と切り捨てられる時代が来ているかもしれません。

ですが、「営業に携わってきた人間そのものの価値」これは、決して下がることはありません。

ヒントは「人間らしさ」です。

AIが世界を席巻しつつある今、私たち営業は、培った「人間らしさ」を武器にして未来をデザインする、その準備を進めていく必要があるのかもしれません。


今回は、『営業はいらない』という一冊の本を読んで、私なりに思ったことを文章にしてみました。もともと意見の薄ぺらい人間なだけに、自分の意見を言葉にするのって難しいですね汗

最後までお読みいただき、ありがとうございました!







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