見出し画像

老後を支えるものとは


私は郵便局の電話受付の仕事をしています。再配達、不着、苦情、なんでもござれ。そして、もちろんお客さまからの相談事も賜ります。

一人暮らしの高齢者からの相談をよく受けます。
「足が悪くて集合ポストまで取りに行けないので部屋まで届けて欲しい」
しばしばそんな相談をうけますが、残念ながら対応することができません。

どなたにも公平に配達するという理由からです。皆の希望に添い、集合住宅で一軒ずつ部屋まで配達していたら、あまりにも時間がかかりその日の配達は終わらなくなっちゃう。でも「からだが不自由」というハンデを埋めるのがほんとうの公平なのではないかと個人的には思うのですが、難しい問題です。

お断りするときには本当に胸が痛みます。痛い足を庇いながら階段を
昇り降りする姿をどうしても想像してしまいます。

介護事業所から同じお尋ねを受けたこともあります。そのときもお断りせざるを得ず、逆にヘルパーさんが訪問のときに郵便受けから取ることはできないか伺ったら、その事業所ではどうやらできないそうです(できる事業所もあるのか?)。個人情報保護の観点から難しいのでしょうか。

急遽入院された方がしばらく配達をストップする不在届を出したいという電話を、入院先の病棟の担当のスタッフの方から受けたこともあります。

不在届は、必ず来局での提出が必要です。代理の方が提出される場合は、委任状が必要。ただ今回の場合は、病院のスタッフの方が代理で来局されるのは難しいようです。そのときも電話では受付できないとお断りせざるを得ませんでした。これもまた、勝手に第三者が提出するのを防ぐため、個人情報保護の観点からの対応です。このときも、支援してくださる方を見つけていただくしか方法がないと申し訳ない気持ちでお伝えしました。

今、独居の高齢者は増え続けています。調べてみると、入院のときの保証人になるとか万が一のときのサポートをしてくれる団体や会社はあるようです。けれど実際に必要なのは、もっと細々したことで人の手を借りたいってことなのではないでしょうか。

「配達物を取ってきて欲しい」
「ゴミを出して欲しい」 (私の住む地域は資源ごみを月に2回、けっこう離れた所定の場所に持っていかなくてはなりません、しかも早朝に)
「玄関の軒下だけ塗装して欲しい」(これは前にリフォームの仕事をしてたときに伺ったこと)

電球を替えたいとか、部屋の模様替えとか、手紙を出したいとか、書類が難しくてわからないとか、なんか色々生活の細々したこと、若くて元気なら当たり前にできることが、たぶん歳を重ねることで難しくなっていくのでしょう。

介護状態になればヘルパーさんが手を貸してくれることも増えるでしょうけど、そこに至るまでの間、不自由なことがいっぱいあるんじゃないかと思います。

経済的に余裕があれば、便利屋さんに頼むとかもできるのかしら。もしくはいっそのこと、有料老人ホームに入るという手もあります。元社長夫人でホームで悠々自適な生活をされている方を知っています。至れり尽くせりだそうです。お金があればの話です。

経済的に余裕がなければ、だれかの好意に頼るほかありません。近所の人?友人?よっぽどの親しい人、ボランティア精神の旺盛な人が近くにいればありがたいのですが。

なぜこんなことを考えているかというと、私も独居老人予備軍だから。もう覚悟は決めています。そして、あちこち痛いし、しんどいし、ということが少しずつ増えてるって実感もあります。

でも残念ながらもともと友達も少ないんで、今のところ近くにそんなことを頼めるような親しい人がいないんですよね〜。そして性格的に昔から人に何かを頼むのが苦手ときている。良くないです。

こういう方、意外と多いのではないでしょうか。男性の独居高齢者は人との繋がりが少ないと言われます。おばあちゃんたちはあちこちでしゃべり倒してるイメージがありますが、こういうコミュニケーションが大事だったりするんでしょうね。ただ、そのコミュニティには、噂話とかやっかみとかいろいろ厄介なことも含まれている気もします。

知り合いに支援をお願いできないとき、どこか対応してくれる機関があればいいと思います。実際に調べればあるのでしょうか。今のうちに市役所とかに聞いてみようかしら。

ようやくギックリ背中が治ってほっとしながらの考察でした。






この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?