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大企業に勤めてしまったら果たして転職する意義はかなり薄くなるのではないだろうか。

前の記事で選択肢が多くなることが大企業に勤めるメリットの一つでもあるが、実態的にはそこまでメリットでもない、ということをお話しした。そこから大企業に勤めた40代としてもう一つの疑問が湧いてきた。それは「大企業に勤めだした人間は果たして転職するメリットというものはあるのだろうか」ということ。

 まず、一つの論点として「人間関係をリセットするメリット」というものがあるが、これは大企業であろうとなかろうと関係は無い。人間関係は転職理由の主たる要因(No.1と言っていい)であるが、こちらを刷新したい場合に転職というのはそもそも中小企業に勤める場合の方が強い。大企業であれば人間関係に苦慮した場合にリセットとはいかないものの、部署や場所の移動という選択も取ることもできる。転職よりはよほど人生において安全牌と言っていい。
 大企業に勤めた際の転職理由として多くは「キャリアの発展が望めない」ということがあるだろう。大企業であっても今は椅子の数がかなり限られており、ご存じの通り多くの人が出世ができるというわけでは決してない。出世をしたくない、という人が増えているという記事を見ることもあるが「一体何のデータだろう」と思うことがある。出世をしないと大抵の場合、給料は増えず、且つキャリアとしてセーフティネットも働かない。職にあぶれる可能性が高くなるのに、そうなりたくない、という人は増えているのだろうか。少なからず私の周りで昇進したくない、という人に合うことはほとんどない(一部いるにはいたが)

 また、正直転職をしたとしても決して待遇や立場を上げられるとも限らない。鶏口牛後と言ってはとても失礼で恐縮だが、キャリアにおいてどちらがいいのかは何とも言えない。
 昔、父親にキャリアを相談した際に「そこまで昇格したいわけでもない」と言ったら「では、結局どこまでなりたいんだ」と言われたことがある。確かにその通りで、漠然と自分のなりたい姿を想像するのではなく、年齢を重ねるごとに「昇格なら果たしてどこまでなりたいのか(係長なのか課長なのか部長なのかイー〇ン・マ〇クなのか)」ということをイメージすることは非常に大切であると思う。

 結局、大企業に勤めると一つ言えることは「自分の待遇(現在の給与や休日)に関して憂うことはほとんど無くなる(残る場合もある)」大企業にはほとんどの場合、多くの人が勤めており、業務は細分化されている。また、下請けなどに依頼することが多く存在し、自分自身が手を動かすことは少なくなるため、時間の融通が利きやすくなる(と一般的に思っている)。であれば、そこからの転職に悩むのは待遇以外のもので、マズローの言うもはや承認欲求や自己満足の世界になってくることは想像に難くない。
 とすれば、むしろ「退屈過ぎるから辞めたい」なんていうのはそもそもあまり転職理由としては成立しておらず若い人には「安心して働ける環境があるうちに積極的に会社の中で冒険しなさい」ということになる。「厳しい環境で自分を整えたい」と安直に思うことは控えた方が良い。

 私の周りでは大企業に勤めるも転職し、幾つも大企業を回ってしまう人も少なからずいる。要は本人の学歴やスキルがそれを良しとするからこそ、できてしまうからこそ、大企業を転々としている感じだ。しかし話を聞いてみると本人は正直、そこまで幸福になっている感じもない。大企業を転々としている人の幸福感の変化というのは、どこの企業に行ってもあまり大差ないように見えてしまう。
 私の色眼鏡が入っていることは間違いないが、正直大企業から移動して転職する場合は「本当に転職したいのか」とかなり真剣に考えるべきであるように思う。勿論、しなければならない理由で移動するならそれは全く問題ない。しかし「ちょっと他の芝生が青く見えるぜ」というレベルであるのなら、無理に見に行かないことを推奨する。

20年以上サラリーマンをやっていて思う。「本当にあまり変わらない」と。

 ネガティブに聞こえる言い方になってしまったが、どこの会社でも楽しいことは見つけれるし、辛いことも訪れる。そういうものであると思う。

良い、選択を。

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