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結婚したくないのに結婚を目指している

 もう結婚なんて懲り懲り。どうせ合う人なんて、あるいは合わなくても許せると思えるような人なんて見つからないだろうし、と心では思っていながら婚活をしている。なぜなのか。それは親が亡くなってしまったらこの世に一人きりになってしまうからで、そのことを心底恐ろしく感じているからだ。とても自分本位だけれど、包み隠さず正直に言えばこの通りなのだから仕方がない。

 友人のひとりはいつも「本当にすきな人にまだ出会っていないだけだよ」と言う。けれど、ここまで生きてきて出会わなかったような相手に、この先巡り会えるとも到底思えない。甘んじてひとりの人生を受け入れる他無い気がする。そうすれば、誰かに迷惑をかけなくたって済むのだし。

 わかり合えない悲しみに何度も傷ついたはずなのに、それでも尚、ひとりになるのが怖いのは何故なのだろう。わからない。自分の情けなさが、執着が、孤独への恐怖が、わからない。そして周りのみんなはどうやってそんな気持ちと折り合いをつけているのだろう。泣きながら結婚したあの子も、悠々とひとりで暮らしているあの子も。

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