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会社の経営状況の見える化

以前の記事でご紹介した事業承継を実行するまでの5つのステップ

前回の記事でステップ② 「経営状況・経営課題の把握(見える化)」について深掘りしましたが、
今回はさらに「会社の経営状況の見える化」の部分を事業承継ガイドラインを参考にしてさらに深掘りしていきたいと思います。

「会社の経営状況の見える化」の目的

「会社の経営状況の見える化」の目的は、
保有する経営資源、自社の強みや弱み、技術やノウハウ、人材などの状況に加え、市場や業界動向の変化等を見える化することによって、
自社の業績に対して、その原因や因果関係が客観的に整理され、組織の行動基準が明確になり、意思決定の迅速化を図ることです。

その結果、

組織の行動基準が明確になり意思決定が速い組織になります

そういう組織は、外部や内部の環境変化に対して柔軟に対応できるため、業績の維持・向上が可能になります。

逆に、会社の経営状況の見える化ができてない会社は、組織の行動基準が不明確になり、行き当たりばったりの経営になりがちで、衰退のリスクが高まることになるでしょう。

経常的な赤字経営に陥っている中小企業は、

自社の経営状況の見える化できていない場合が多いのです

経営者自らが自社の経営状況を知ることはもちろんとして、そこだけに留まらず、後継者や従業員・金融機関や取引先等の関係者に対して自社の状態を開示することにより、組織内の意思統一がなされ、関係者からの協力を得やすい状況を作り出すことが可能になるのです。


「会社の経営状況の見える化」の準備

経営状況の見える化は、自社を取り巻く経営環境の変化やそれに伴う経営リスク等も合わせて把握する必要があります。

そのため、業界団体や中小企業支援団体等が主催する業界動向等に関する勉強会等にも積極的に参加し、情報収集を行うことも大変重要なことです。

「経営状況の見える化」を行う上で、正確かつ適正なルールのもとで作成された決算書を用いて経営数字を把握することが必須条件です。

中小企業向けに考案された会計ルールである
「中小企業の会計に関する指針」「中小企業の会計に関する基本要領」に沿った決算書が作成されているか顧問税理士等に確認してください。

また経営資源には、決算書の貸借対照表に計上されている資産のみならず、従業員の技術や技能、ノウハウ、経営者の信用、取引先との人脈、
顧客情報、知的財産(特許等)、許認可、経営理念    などの
目に見えない「知的資産」も含まれることにも留意が必要です。

会社の経営状況の見える化って具体的には?

具体例を幾つか挙げておきます。

・経営者所有の不動産で、事業に利用しているものの有無、その不動産に対し会社借入金に係る担保設定の有無や経営者と会社間の貸借関係、経営者保証の有無など、会社と個人の関係の明確化します

・自社の株式を誰が、どれだけ、保有しているか確認して株主名簿を作成したうえで、株価評価を行います

・商品毎の月次の売上・費用(部門別損益)の分析を行い、自社の稼ぎ頭商
を把握してランキング化する

・製造工程毎の不良品の発生状況の調査し、製造ライン毎の課題を把握する

・在庫の売れ筋・不良の把握を行い、不良在庫の場合は値引き販売やセット販売の可能性を調査し、不可能であれば廃棄も検討する

・自社の知的資産について、顧客がなぜ、他社ではなく自社を選択しいるのか、という観点から「自社の価値の源泉」を適切に認識する


・「ローカルベンチマーク」を活用して自社の業界内における位置付けを客観な視点で評価する


※ローカルベンチマークとは、経営者と金融機関、士業専門家等の支援機関が同じ目線で経営に関する対話を行えるよう作成されたツールです。
具体的には、「6つの財務情報」、「4つの非財務情報」で構成されます
ローカルベンチマークについては別途深掘りする予定です


いかがでしょうか?

経営者の方であれば頭の中である程度で理解していることだと思います。

しかし、それだけでは自分以外の誰かには伝わらないのです。

文字にして、図にして、グラフにして、

目に見える形で表現することで自分以外の後継者や従業員、金融機関や取引先に、初めて自社の状況を伝えることができるのです。


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