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【授業デザイン解説】 NPOグリーンズ「作文の教室」第11期

本日解説する企画

「あなたにしか書けない」が見つかる、greenz.jpの中心メンバーが勢揃いの人気講座「作文の教室」第11期〜2022年最新版!〜


提案・企画・監修:スズキコウタ

講師:スズキコウタ、水野淳美、ikekayo、上浦未来、丸原孝紀、土居彩

ラーニングサポーター:greenz.jp第二編集部

マネジメント:兼松佳宏、中間愛美

開催期間:2022年2月19日〜2022年3月27日

スポンサー:なし

申し込み・詳細プログラム:

https://school.greenz.jp/class/sakubun_seminar_greenz_kotasuzuki/


「作文の教室」の基本情報

「作文の教室」は、ローンチしてから16年、記事発信実績7000本以上のウェブマガジン「greenz.jp」が大切にしてきたノウハウをもとに、作文力=執筆力+編集観察力を伸ばすことができるゼミクラスです。

誰もが学校教育で学ぶ機会がある「作文」。しかし。

どのようにその文章を魅力的にするか。
どのように「自分だからこそ書ける」ものにするか。
どのようにより多くの人びとに読んでもらい、社会とつながるきっかけにするか。

そういったことを探求し学ぶ機会は、あまり多くないのかもしれません。

では、自分自身をより高い解像度で見つめる。
より多くの読者を獲得する。
関わっている会社やコミュニティや地域の魅力を広げ、共感してくれる仲間を増やす。
そのために必要なこととは何なのでしょう?

「greenz.jp」の回答は、文章そのものを書くスキルと、書こうとしているトピックを編集・観察する感覚を同時に養うこと。このメソッドを提供するクラスが「作文の教室」です。

主な開催実績

2016年11月〜: 1day現場クラス(スポンサーあり含む) / 東京(複数)、大阪(複数)、仙台、山梨、愛媛

2017年7月〜:ゼミ型現場クラス / 東京(計6期)

2018年4月〜:高校生、大学生向け1day現場クラス(スポンサーあり) / 東京

2019年12月:スタディツアー 1泊2日クラス(スポンサーあり) / 徳島

2020年4月〜:1DAYオンラインクラス(スポンサーあり含む) / ZOOM(複数)

2020年7月〜:ゼミ型オンラインクラス / ZOOM(計4期)

2020年12月:小学生向け1dayオンラインクラス(スポンサーあり) / ZOOM

その他:社内研修向け、非公開プライベート現場開催、夏期講習対応

1DAY総受講人数:200名以上

ゼミクラス総受講人数:200名以上

主なスポンサー、クライアント:仙台市、豊田市、泉北ニュータウン、公益社団法人国土緑化推進機構、世田谷区、上勝町

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ゼミクラスを開発した当時のエピソード

「作文の教室」を始めたのは、2016年終わり。ただ、その名前で始めたのが2016年だっただけで、実は2013年初夏から文章執筆や編集についてのクラスやイベント、研修は行ってきました。

2016年夏。本格的に「教室」としてブランディングしていくにあたり、諸先輩方に相談をしたり、自分自身がかつて高校・大学・留学時に参加していた学びの場を振り返ってデザインすることに。

相談したひとりが、もともと僕の上司だったけれど、当時グリーンズを一時離れて京都精華大学人文学部の講師をしていた兼松佳宏でした。兼松と話して重要ポイントだなと感じたのは、受講生だけでなく、グリーンズというウェブマガジンを拠点として活動するステークホルダーにとっても挑戦と可能性を秘めた場にすること。

そこで6回で構成されるゼミのすべてを僕が講師をするのでなく、ところどころにゲスト講師として、グリーンズのライターたちを招く形にしました。彼・彼女たちは、これまで培ってきたスキルや感性を棚卸しし、受講生に提供することでリフレクションの機会になるし、登壇・講師という新たな職能に出会う機会にもなる

そして宿題対応(=原稿チェック)が多く発生するクラスなので、そのフィードバックをする役目もライターに開いています。これはライターたちの職能やリフレクションというだけでなく、さまざまな人から原稿への指摘をしてもらえる点で受講生にもメリットがあることです。

多機能性は大事なこと。それはパーマカルチャーの思想で事業をデザインする、というNPOグリーンズ代表の鈴木菜央の哲学が根底にありますね。

僕は「先生面」をしない。

もうひとつ僕が大事にしているのは「先生面」しないこと。それは僕自身が、かつて教師->学生というヒエラルキー構造を持ち出してくる先生たちに、思いっきり反抗してきたから、そうしたくなかったのです。

時にいる「お前らに”教えてやって”いるんだ」という立ち位置を取る先生の鼻をへし折ることは、学生・スズキコウタのライフワークでした・・・。

(余談ですが、かつて「お前なんか単位は絶対取れない」と罵ってくる英語の先生がいて、頭にきた僕は彼の授業をすべてサボタージュ。ただ裏では必死の自習をし、テストで満点を勝ち取って、「お前がいなくても単位は取れる」と言い返したことがあります。若気の至りとはいえ、性格がとことん悪いな・・・笑)

ただ僕が先生面をしないように気をつける一番の理由は、受講生から学ぶことがたくさんあると知っているから

文章執筆技術や、企画発想や編集の感性は僕を含めた講師陣が上なのは当然です。毎日そういう創作に従事していますからね。ただ受講生が「書きたい!」と持ち込んでくる主題、彼・彼女たちが書く原稿宿題の独特な言葉遣いから、僕らが学ぶこともたくさんあるのです。

11期のプログラムデザイン

ゼミは、2022年2月始動の第11期では、全6回の授業+オフィスアワー2回+宿題提出を3回程度という構成にしました。

第1回 2月19日(土)14:00 – 18:00 
「オリエンテーション~書きたいことを多面的に観察する方法」
講師:スズキコウタ、水野淳美
第2回 2月26日(土)14:00 – 17:00:
「情報整理してみんなで書いてみよう!」
講師:スズキコウタ、水野淳美
第3回 3月5日(土)14:00 – 17:00
「校正を受けてみよう!〜その場で即興校正ライヴ!〜」
講師:スズキコウタ、水野淳美
オフィスアワー 3月9日(水)20:00 – 21:30
講師:ikekayo
ナビゲーター:スズキコウタ、水野淳美
オフィスアワー 3月14日(月)〜3月18日(金)開催で調整中
講師:上浦未来
ナビゲーター:スズキコウタ、水野淳美
第4回 3月19日(土)14:00 – 17:00
「見出しとタイトルをつけてみよう〜プロのコピーライターに学ぶ〜」
講師:丸原孝紀
第5回 3月26日(土)14:00 – 17:00
「あなたの深い答えを知る。心の声を体で感じて書く、“傾聴”ジャーナリング。」
講師:土居彩
第6回 3月27日(日)14:00 – 18:00
ワークショップ・アンコール!(第1回〜第5回までに行ったワークをリクエストに応じて復習します)
学びの棚卸し
講師:スズキコウタ、水野淳美

2016年に始めた頃は、文章を書くというスキル習得に特化しきった内容でしたが、昨今のSNSでの暴力的な言動の増加や、noteなどによるブログツールで文章を書く層が広くなったことを鑑みて、書き手として「どう在るべきか」考える時間を増やしているのが、2022年の現在地です。

来月に始まる第11期だと、マガジンハウスでポップカルチャーやファッションを大量に編集してきたけれど、マインドフルネスの研究をするべくカリフォルニアに留学した土居彩さんを迎えた、自己内省と作文をつなげるワークショップ。

受講生がどれぐらい学びを深めることができているかを洞察し、書き手としての現在・過去・未来を見つめるオフィスアワー。

そして最終回は、NVC(非暴力コミュニケーション)やメンタルモデルを、上司の鈴木菜央・兼松佳宏、大先輩であるファシリテーターの中野民夫さん・小笠原祐司さん・ソーヤー海さん・三好大助さんの智慧を借りて解釈した「学びの棚卸し」。なぜ書くのか、書いた結果どうなれば心が満たされるのか、と考える時間です。

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オンラインクラスのコロナ対応

第11期は、新型コロナウイルスのオミクロン株が広く蔓延している時期に開講されることになりましたが、この社会状況への配慮という点では、オンラインで開催することで、現場に人があつまらないようにする

そしてオンラインでリアルタイム参加が難しい受講生向けに、動画アーカイブ、オリジナルの教材やワークシート、期間中に使えるオンラインサロンを提供すること。

現場で開講していた頃よりも、受講生たちの学びの進捗・相談・悩みに耳を傾ける時間を意識的に増やすこと。

さらに、「アンコール」として、最終回に受講生のリクエストに応じて、1度行ったワークショップを再度行うことを大事にしています。

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受講生同士のつながりづくりが一番の課題

いま、難しいなと思っているのは、受講生同士のコミュニケーションや関係性を深めることですね。

現場に集まることによる一体感を、オンラインでつくるべくさまざまな術を実験してきましたが、まだ「これだ!」と心から思えるメソッドは開発できていません。

質問タイムをつくる、クラス開始・終了のタイミングで雑談をする、オンライン飲み会をする、日直的立場の受講生をつくるなどしてきましたが、まだ軌道に乗っていない感があります。

画面を通してしか相手を知ることができないので、特にオンラインで何かを学ぶことに慣れていない方だと、「つながり」までを気にかけるのは難しいのかもしれませんし、そもそもそのニーズさえない可能性も。

ただ文章に限らず、音楽も、料理も、絵を書くことも、さまざまな感性を持つ人びととの出会い、彼・彼女たちとの共創の時間、そして切磋琢磨の関係が、クリエイターとしての成長に大きく貢献します。

第11期は、受講生同士が班をつくり、ともに企画をつくったり、原稿を書いたり、校正を経験するなど、オンライン上での共創の熱狂を演出することにより、「つながりが学びに大きく寄与する」というメッセージを出すことにしました。

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プロを輩出したいのか、社会を前進させたいのか。

最後に。2022年は「作文の教室」以外にも、僕が中心役になって運営する学びの場も増える見込みです。(どんなものになるかは、まだ僕らも知りませんが、やることは決まっています。笑)

スズキコウタが監修するすべてのクラスで共通するのは、その道を生業とするべく邁進する人びとだけの居場所にしないこと。「ライター」や「編集」という言葉をあえて使わず、「作文」という名前をクラス名にしている背景には、その哲学があります。

執筆や編集スキルを職能として身につけるだけでなく、書くという表現によって社会を前進させる人びとを増やす。それが僕のビジネスであり、社会貢献です。

この投稿の締めを、「では作文の教室に参加してください!」にすると宣伝投稿になってしまうので、それはしないことにします(笑)

ただ、学びの場がオンラインでたくさん開かれている今、教える側として、

社会の現状・トレンドと自分を同期させる癖を持つこと

受講生からも学び、謙虚な姿勢でいること

この学びの場をきっかけに不幸が生まれないデザインを追求すること。

教える側の前進・成長もデザインに含めること。

受講生との関係構築で、どんな社会の前進に貢献したいか考えること。

この5つを特に大事にして、学びの場をつくりつづけたい。そして、誰か一人でも上記5つから気づきを得てくれるといいな、そう思います。


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