みろこ

草稿に魂が宿ってる。詩。ライトバース。

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「この詩(うた)が死なないように」草稿

「言葉の森」 目指すのは生命の連鎖 輪廻転生 秋の落ち葉も雪の下で大地の栄養と成る 口笛を吹いても小鳥一羽飛んでこない 落ち葉 枯れ葉 春に息吹を

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    • 秘密の理由

      つらいが伝染するのなら 鍵をかけてしまっておこうと思った 誰にも言わずにおかないと 愛になってあなたまで届いてしまうと思ったから 言葉に出さずにおかないと 愛になってあなたから返ってきてしまうと思ったから

      • 「赤と白」草稿

        息を吐くように嘘をつけたら 人生苦労しなかっただろうと思うから せめてものかわりにわたしはうたをうたう 街の若い女の子は皆 赤いリップティントリップで唇を染めている

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        • 自己紹介

          目 人の目 他人の目 見られる 見られることの恐怖 器 積み重ね 糸 歴史 成績 共鳴 共鳴してやり方を覚えた 外を向いて 内を向いて 年輪のようにうまいことはいかない. 外を見ていた すべり落ちて雪崩れたおもちゃでいたいこともわからず 混とんとした驚きの中 ただ泣いている子 反射 共鳴 ⅰ)外を見ていた ⅱ)内を見ていた ⅲ)何を見ていた

        「この詩(うた)が死なないように」草稿

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        • 詩の草稿
          2本
        • 13本

        記事

          感情のゆらぎの波にのり

          夜空は海原 月は舟 薄目をあけたような鋭い三日月にのって ゆらり 星々の間に舵を取る 静かな水面 禍々しい深海を隠して ゆらり 月明かりが伝播する f分の1ゆらぎ音の波がささやく中で かすかな主張を受信しようとしている きれい、だとか。素晴らしい、だとか。怖い、だとか。 闇に乗じたふりをして見逃されるのを待っている 「どこへ行っていたの」 迎える準備はとうに済んでいる ふと、「これが寂しい、だとかいう合図なのか」と浮かんではじけ消えた 飛沫をそっと人差し指で分解し ぬるい空

          感情のゆらぎの波にのり

          この詩(うた)が死なないように

          柔らかな新緑を生(なま)の枝から捥ぎ取り その葉を甘く噛んで詩(うた)を込めた この広場には午前十時の木漏れ日がよく似合う 苔と腐葉土の蒸した階層を踏み締めて 叫ぶ 叫ぶ 叫ぶ―― 湿潤な土地に叫びがしんと吸収されていく 地団駄を踏む 地団駄を踏む 地団駄を踏む―― 肩を上下に揺すって呼吸をする 鼻の奥にこびりついた青の匂いを払い 爪の間に青々とした土を詰めながら 噛み跡を付けた葉を、埋葬した 口笛を吹いても小鳥一羽飛んでこない 生命の連鎖も輪廻転生も程遠いことを知り

          この詩(うた)が死なないように

          雨の夜のドライブ

          星も夜景も見えない雨の夜にドライブをした。 街灯も無い田舎道を走る。 シカ、キツネ、キツネ、ネズミ、キツネ。 野生動物はなぜ道路の脇で存在をアピールするのか。 通勤の車内でどうしてもテンションを上げたいときのアルバムは3周以上した。 普段は心を支えてくれる、能天気なおもちゃ箱のような音楽たちはノイズのようだった。 君の声が返ってくるのが嬉しくて、二人で会話を続けられることが嬉しくて、今までどんなに心を支えてもらったかわからない音楽たちは耳の奥の遠くで小さく成ってい

          雨の夜のドライブ

          嘘で曇った眼鏡のレンズ

          口元を覆ったマフラーから上昇する呼気が 嘘を並べて二枚のレンズを曇らせる 銀のフレームが視界を切り取る 白濁したぬるま湯の世界 吐息でみるみる凍る長い前髪が 嘘を隠すように揺れている 心地良い加減に浸かり 真実を知ったビニールのアヒルが ぷかぷかと泳いでいる 「あ」と発した唇は後に続かず 雑踏に紛れるコートの裾が揺れるのを 控えめに追うだけだった コートの隣には 踵を小気味よく鳴らした長い丈のブーツが くるくると踊るようにステップを踏んでいた 芯を巡る血流の温度が低下するのを

          嘘で曇った眼鏡のレンズ

          赤と白

          スクランブル交差点を斜めに渡る 赤いティントリップ達が会話をしている 赤がこちらを見下ろしている 見下ろした赤はそのままファッションビルに吸われていった 私は小さい 私は小さい呼吸をする もこもことした白のスヌードの隙間から酸素を探す 風が乾かした唇を赤に染めようかと コスメショップへ進む嘘に足並みが崩れた ビルはセピア加工で広告だけが青白いピンクで笑っている 自動ドアの開閉のなめらかなリズムに そうだハンドクリームを塗らなくちゃと 感想を書きました 赤いティントリップの試供

          チョコレートミントのコンプレックス・ハーモニー

          パッケージのデザインから届く光の信号は序曲だった 早る気持ちで蓋を捲り 五感がたちまち不協和に支配される ブルーグリーンと濃ブラウンの一粒の狂いもない均衡 鼻先を刺激する清涼感 挿し入れたスプーンの金属を伝播する氷点下の値とラクトアイスの感触 毒々しささえ感じられるドットのパターンへの思い これは難解な現代詩集を開いたときのそれだ 一つ一つの要素に分解したなら 記憶から拾い集めることは不可能ではない 見たことがあるもの 知っているもの 「ずるい」とさえ思わされる その

          チョコレートミントのコンプレックス・ハーモニー

          初めて手を握り合った日のこと

          手、出して と隣の君が言った わたしは左手を反射的に出してから (違うか)と気付いて右手を出した 握手をした 右手と右手で握手をした 君のすべすべとした手のひらと わたしの乾燥しがちな手のひらが 初めてまざり合った ぬるい体温を感じた 骨も肉も わたしのものよりずっと大きく広がっていた 触れ合っている握手に物足りなさを感じた こんなにもぴったりと手のひらと手のひらを合わせ 指と指を握り 近くに居るのに 君とわたしは、それぞれ別の容れ物に入っている 実のところわたしは少しずつ

          初めて手を握り合った日のこと

          ひみつギャラクシー

          この街で一番大きな20センチの屈折式望遠鏡では捉えきれない 宇宙の遥か彼方にあるという 生まれたばかりの銀河が見つかりました 本当はずっとそこにあったのだといいます 繰り返し繰り返し星ができては弾けて 銀河となり 宇宙のどこかに存在しているというのです 天体図鑑にはまだ載っていません ここだけの話"宇宙の遥か彼方"というのは ”近すぎる場所”であるということだけはお伝えできます ここから先は ひみつです

          ひみつギャラクシー

          電子パズルゲーム

          色褪せた宇宙の配色で 電子のパズルゲームを遊んでいる セピアの色したブラウン管で 破片を並べて遊んでいる 8bitのBGMは 異国の民謡がベースらしい 隙間に未来の輪郭を描き 与えられた破片を収めて遊んでいる ふと満たされない余白のことを思うのだ はたして昭和の開発者のメッセージなのか ハイスコアを狙うことへの疑問が浮かぶ 積み上がった破片で描かれた壁画が こちらへターゲットを定めて倒壊する 倒壊する ふと満たしてはいけなかった余白のことを思うのだ はたして選ばれ

          電子パズルゲーム

          結婚

          毎日を幾重にも積み重ねて 思い出を含んで焼き上がった ミルフィーユなのです 繊細で壊れやすいものです 脆くて儚くて頼りないものです カスタードは私たちを補強してくれる周囲の人々 苺は私たちを導いてくれる先人の知恵 粉砂糖で未来を彩りましょう お茶の時間を幸福で満たします 最後には形を失ったとしても 誰かの毎日へと続きます そこに笑顔が続けば幸いです

          宇宙の20mg

          くすりをふたつぶ 2錠で20mg 20mgがわたしのからだの何パーセントを変えるのか 20mgにわたしを変えることができるのか 夜空の星を点々と ふたつぶだけをズームして わたしが捉えてみたところで 宇宙の法則は変わらないけれど

          宇宙の20mg