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別れ2:私のモーターサイクル全史(下)

堺市の大仙陵古墳の東脇から、購入したばかりのYAMAHA TDR 250で和歌山港に向かって出発したものの、TDRは高回転の2ストロークエンジンで、前車のSRX 400とはエンジン特性が真逆なため、交差点で止まって発進するたびに前輪がウイリー(持ち上がる)してしまい、粋がってワザとやってるみたいで恥ずかしかったのですが、どんなにセンシティブにアクセルを回しても前輪が上がってしまい、困りながら走っていたのですが、和歌山港に着くまでには、発車時に頭を前に下ろせば、ウイリーを防げることに気づきました。偉くなくても、頭を垂れるのが2ストローク・エンジン車をウイリーさせないで発進するコツだったのです。

🌟YAMAHA TDR 250

ヘッダー写真は高知県四万十市(しまんとし)から県道441号線を北上して山越えし、同じ高知県の宇和島市に向かおうとしている場所で撮影したものです。
写真では確認できませんが、愛車の左手の畑地の左側を441号線と並行して日本No.1の清流と言われた四万十川が流れています。
行く手の山並みには濃い雲が掛かっており、雨にぶつかることを想定して雨合羽を防水バッグから取り出した時に撮影したものです。
雨空だからこそ、この特殊な光景に遭遇しているわけで、気持ちは最高にワクワクしています。
四万十川は私が訪れた時には、日本No.1から脱落している状況でしたが、その後、復活したようですが、今はどうなってるのでしょうか。
四国の道は、初めて昭和天皇が四国に訪れた時に私道まで舗装されたようで、どこにも未舗装路が存在せず、デュアルパーパス車(未舗装路と舗装路の両方に対応したモーターサイクル)であるTDRにとっては宝の持ち腐れの場所と思えました(その後、何度も四国に通ううちに中央の山の上では危険な未舗装路にも遭遇しました)。
しかし、下界の幹線道路ではスピードの出る車なのに四国の道は直線路がほとんど無く、道と水田の高さが同じ場所が多くて、道の端を確認しにくく、怖くてスピードが出すことができず、メチャメチャ飛ばしている地元の軽四輪に付いていけない状況でした。

ところで、TDRの車体デザインも好きなデザインでした。
マッチョでいかにもパワーのありそうなイメージに仕上げられ、実際、大勢の高校生の死亡したスーパー・スポーツ車RZ250の水冷2ストローク並列2気筒エンジンが流用された車体でした。

このTDRも、乗り慣れてくるとエンジンのパワーに比して、サスペンションと制動能力に安心感が少なく、ストレスを感じるようになってきました。
それで、2年ほど乗った後、エンジンは50cc小さくなるものの、同じ2ストロークエンジンで、サスペンション革命と言われた”モノクロスサスペンションを採用したYAMAHA DT200Rに乗り換えることにしました。

🌟YAMAHA DT200R 後期モデル(200cc)

1988年に発売されたこのモーターサイクルは現在でも、自分で運転した全ての車の中で最も好きな乗り物となっています。
車体は195cc水冷2ストローク単気筒エンジンを搭載して軽量で、最高のサスペンションを備え、シート高は高くてつま先しか地面に着きませんが、まったく不安の無いモーターサイクルでした。
そのシートの高さから、当時セダンが主流だった道路では列の後方にいても、前まで見通すことができ(安心ということ)、フワフワとした雲に乗っているフィーリングで、ヒラリヒラリと軽く車線変更もでき、50cc大きいエンジンを積んだTDR 250よりも明らかに速く走ることができました。
とにかく、乗っていて楽しいモーターサイクルだったのです。
こうした楽しさは、初めて乗った2ストロークエンジン車のYAMAHA トレーシー 125以来のことでした。

DT200Rに乗っているうちに、さらに性能の上回るDT200WRにモデルチェンジされました。

DT200WRのデザインはDT200Rよりも好きで、次に乗り換えるならDT200WRだろうなと考えていました。
後にDT200WRにまたがってみたところ、まったく足が地面に着きませんでした。
しかし、乗りこなせる自信はありました。
車体が軽く、サスペンションの優れたバイクなら、たとえ足が地面に着かなくても乗りこなせるのです。
ところが、DT200WRに乗り換える前に、息子とタンデムで長距離のツーリングができる車種が必要になったのです。
それが3ピースのトランクを搭載したHONDA V TWINマグナ250でした。
当時、250ccのバイクに搭載できる唯一の3ピースのトランクとしてドイツのザウバー社製のトランクが存在したのです。

🌟HONDA V TWINマグナ250

V TWINマグナ250は完成度の高いデザインで美しく、発売当時はアメリカンタイプのモーターサイクルがブームではあったものの、250ccの全モデルの中でも人気No.1でした。
スタイルだけではなく、エンジンは傑作エンジンと言われたHONDA VTの水冷4ストロークDOHC4バルブ90°V型2気筒のエンジンが流用されていたので、高速道路の追い越し車線での長時間走行でも何の不安もなく走行することが可能でした。

ただ、4つの欠点のあるモデルでした。
一つ目の欠点はアメリカンとしては排気量が250ccと馬力は高くはなく、軽量化のためにフレームが細く、一度、息子を後ろに乗せて、高速走行していて、急ブレーキを踏む場面があったところ、車体全体のフレームが竹のようにシナって、後部が前に曲がってきた体験があり、タンデムでの急ブレーキは危険であることが解りました。
おそらく、ホンダ車でなければ、事故につながっていたと思います。
もう一つの欠点は車高が低いため、急カーブを曲がるために車体を大きく傾けるとステップが地面を擦ってしまうことでした。
どちらの欠点も裏腹に、車体が軽く、足付き性が良いという利点につながる要素ではあります。
3つ目にマグナの特徴として、ホイールベース(前後車論の間隔)がアメリカンバイク本家の多くのハーレー・ダビッドソンより長い1620mmであることが挙げられます。
このことがスタイリッシュなデザインを生んでいるのですが、1発でUターンするには上り下り合わせて3車線の道路が必要になり、狭い路地では無理なことです。
ただ、抜群の足つき性から、小まめにハンドルを切りながら脚を使って車体の前進後退を繰り返せば、ホイールベースより30cm長い2m幅の道路であれば、どこでも容易にUターンできます。
4つ目はホンダ車にしては珍しく、車体の鉄の部位が錆びやすいことです。
新車で購入して数週間でクロームメッキ部分に赤錆が出たので、それからは小雨でも、1度降られたら必ずCRE5-56を全金属部に噴霧して磨くようにしたところ、メンテナンスをしていたバイク屋さんに綺麗に乗ってると褒められました。
なお、現在は愛車の金属部の防塵にはCRE5-56ではなく、グリースを使用しています。
それはともかく、モーターサイクルに関しては息子とタンデムツーリングをする必要の無くなった16年目で再びYAMAHA DT200WRに乗り換えるつもりでいたのですが、この16年間の早い段階で排気ガス規制が厳しくなり、2ストロークエンジン用のオイルを置くガソリンスタンドが無くなってしまったため、DT200WRによる長距離ツーリングが実質的に不可能になってしまっていたのです。
2ストロークエンジンはガソリンと同時にオイルも燃やすので、ガソリン補給と同時にエンジンオイルも補給する必要のあるエンジンだったのです。
そうした事情とは別にV TWINマグナとほぼ同時に使用していたスクーターHONDA フォーサイトの両車の完成度は高く、

結果的に両車とも2代に渡って乗り続けることになり、25年間乗ることになりました。
そのために新車情報からは世捨て人状態になってしまい、アドベンチャーバイクという新しいジャンルの250ccモデルの出現に気づくのに4年も遅れることになってしまったのでした。
息子とタンデムする必要が無くなったのにV TWINマグナに乗りつづけた理由は3ピースのトランクの利便性に慣れてしまったためもあり、3ピースのトランクを着けたまま林道にも入っていけるモデルとしてはほかにV TWINマグナに代わるモデルが存在しなかったからです。
これはワゴン車に慣れてしまった運転者がセダンに戻れなくなってしまうのと、同じ現象です。
それで、アドベンチャーバイクであるSUZUKI Vストローム250が純正の3ピースのトランクとセットで特別価格で販売するキャンペーンにぶつかったことから、迷わずVストローム250を注文することになったのです。

🌟SUZUKI Vストローム250

上記写真の3ピースのトランクがSUZUKI純正のパニアケースですが、後部ケースの容量が小さくて、セットで購入はしたものの、脱いだ革ジャンを収納できるスペースがどこにも無く、後部ケースだけ、併用しているアドベンチャースタイルのスクーターHONDA ADV 150に付けてある大型トランク(GIVI製)をVストロームでも使用するためのパーツを注文してあるのですが、Vストロームの純正のパニアケースの生産流通に時間がかかるため、Vストロームの車体(+パニアケース)が納品されるまで9ヶ月かかった上、GIVI製トランクを使用するためのパーツは未だ届いていない状況です。

Vストローム250が昨年春に届いて最初に、山奥に存在する密教寺院に登りました。
その時に、Vストローム250が未知の林道に入っていくにはリスクのある車重であることが、露呈してしまいました。
一方、併用しているHONDA ADV 150の高速道路走行にほとんど問題がないことが判明したことから、県内の林道に入るのにVストロームの必要が無いことも判明してしまったのです。
そうしたことから、10ヶ月経つのに5,000km点検が行なっていない状況で、圧倒的にADV 150の使用時間の方が長くなっています。
ただ、Vストローム250では名古屋〜東京間往復を1度しており、風評と違い、Vストロームによる高速道路での追越車線での長距離走行はまったく問題無いモデルであることが判明し、東北の縄文遺跡目的のツーリングには適した車種であることが確認できました。
それでも、マスク着用ではせっかくの東北にまで出かける気分は盛り上がらず、ウイルス対応でモタついている現政権次第の状況です。

Vストローム250はスポーツモデルGSX250Rの並列2気筒エンジンを流用したモデルで、そのデザインの出来上がりが他のアドベンチャーモデルより頭一つ抜け出しており、それが人気のモーターサイクルです。
個人的なVストローム250に対する不満は車重の重さ1つに集約できます。
車重が重い上にパニアケースが転倒対策だと思われるのですが、頑丈で非常に重く、何も積んでいなくても、タンデム走行状態であり、しかも重心が高く、センタースタンドを必要とする傾斜地でセンタースタンドを立てるのが容易ではないため、重いセンタースタンドに意味が無く、外してしまおうか迷っている状況です。
ただ、センタースタンドを外してしまうと、さらに重心が高くなってしまうという矛盾があるのです。
高速道路や表道路を走行するには何の問題も無い名車なのですが、狭い未舗装路に入っていくという私の使用目的にはV TWINマグナほど適合してなく、どっちがアドベンチャーなのか分からない状況です。

そんな時に、同じSUZUKIから新たな250ccクラスのVストローム車の発売が噂されているのです。

SUZUKI VストロームSX(250cc未発売)

Vストローム250の車体デザインも素晴らしいのですが、写真で見るVストロームSXの車体デザインはさらに好みです。
VストロームSXはネイキッドスポーツ車ジクサー250/SFの油冷単気筒(SOHC 4バルブ)エンジンを搭載したモデルで「油冷」と「単気筒」ということで軽量化が実現されており、Vストローム250の個人的な不満が解消されているモデルです。
問題があるとすれば、単気筒エンジンということで、長距離走行に向いているのかということと、車体が小型なので、3ピースのトランクを搭載して似合うのかということがあります。
早くも興味は最後のモーターサイクルと思って購入したVストローム250からVストロームSXに移ってしまっていますが、人生設計を現状で持ちこたえられるのか否か。

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Vストローム250は中国で開発・生産されているモデル。VストロームSXはインドで開発・生産されているモデルです。まさか5年前にはこんな時代が来るとは想像もしていませんでした。その上、2輪車もEV化、水素エンジン化の波が押し寄せており、国内では移動に課税することが検討されており、英国では15分以内の移動しかできない都市の建設が立法化されてしまいました。ツアラーにとっては由々しき問題です。国連は同じことを諸外国に強要しようとしているようです。趣味で国内の遺跡を巡るにもパスポートが必要になる時代が来ようとしています。あるいは金持ちにしか旅行が許されない時代が来ようとしています。2輪車に乗るのもあと6年と考えて、現在の2車のビークルを購入したのですが、それをまっとうできるのかどうか。EVの格好好いビークルが登場すれば、欲しくなることは必至です。


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