食べ塾:「事業承継の悩み<後継者編>実例総括してしっかり説明します!
<経営者編>の続編としての投稿です。
親族を巻き込み、従業員を巻き込み、金銭も不動産も考慮される事業承継が、すべてうまくゆくという保証はどこにもありません。
うまく事業承継が完了することすら、当初は危うく思うこともあります。
事業承継は、引き継いだら終わりではなく、「承継後数年」して、
会社の経営が健全に機能していれば、その時点で初めて成功したと
言えると思います。
うまくゆくのも結果ですし、消滅してダメになることも結果です。
しかし、後継者として、どの結果にしても「ベストを尽くした!」と言える
努力をすることが最も大事であり、次のリベンジにつながることと
思います。
◎後継者の悩み1:知らない、わからない
「社長になること以外は、何も見えていない、何もわからない」
何からやればいいかがわからない?から始まる!
事業承継は、他人(親でも)が作って、他人が経営していた会社や
お店を、ある決められた日からいきなり引き継ぐわけです。
何年か在社して社長になる人より、後継者になる目的で、入社してすぐに
後継者ノルマを背負わされる方の方が、潰れやすいのです。
平社員・主任・課長・部長・役員を経て、次期社長になるのが
一番組織になじみやすく無理がない。
そして最も良い経営に必要な、社長になった時に協力してくれるブレーンが
このプロセスで見つかることです。
●社長になった自分がすることが見えていない、わからない
~社員で働くのと、経営者責任がある「選択判断」「決断」「早期実行」
を行なう事は、重要度で数倍以上の違いがあると思います。
特に必要なスキルは、人事・資金繰り・銀行関係(融資・返済)です。
●既存の従業員全員が自分を見ている
~先代との差を見られていると意識するようになる
入社から1年足らずで社長になる人が、一番プレッシャーに感じる
ことです。
社内では孤立無援、友人や家族や仲のいい取引先に救いを求めます。
でもここで、「仲のいい人の意見を偏重すると軌道がずれる」ことに
なります。
そして、もっともっとこじれてくるのです。
一番意見を聞くべき自分の従業員をないがしろにするからです。
◎後継者の悩み2:先代との引継ぎ期間があるか?
「先代がうまく後継者としての経営者教育をして、いろいろ教えて
おかないと、
「この会社の経営のコツがよくわからない」ことになります!
商売には長けていても、自分の後継者の方に、経営のノウハウを教える
ことを上手にできる経営者は5人~10人に一人と思います。
よって、後継者になる人は、例えていうなら、
2/3は教えてもらっても、後の1/3は自分で身につけないといけない
と、思っていただければいいかと思います。
ある後継者になって1年の方に聞きました。
「どれが一番難しいですか?」
その答えは、
↓
「資金繰り方法」、「銀行折衝」、「決算書の見方」の3つ
と答えておられました。
◎後継者の悩み3:味方がなく孤立しやすい
「会長(先代社長)や年上の幹部社員と合わない」など
世代間格差がそのまま経営障壁になる場合があります
すべての人と意見があうということはありません。
ここでも1/3の法則があると思います。
後継者社長に従う人 ・・・・・1/3
〃 従わない人・・・・・1/3
どちらでもない人・・・・・・・1/3
自分の利権や我欲で言っている人の意見よりも、
会社の為、従業員みんなの為を考えた真っ当な意見を言っている人を、
見極めて吟味して、
その考えを自分に取り込んで再構築して、
自分の意見として全員に伝える
ことが大切と思います。
◎後継者の悩み4:お金のケタが違うので勇気がいる
売上高も、支払額も、負債の総額もいずれのお金も事業にかかるお金は、
個人レベルの「×10倍」以上が当たり前という
心臓バクバクの数値が多くあります。
事業の投資に使う為の銀行融資額=会社の借金(何百万円、何千万円、何億円など)、従業員に支払う給与賃金(何百万円、何千万円など)
サラリーマン時代とはお金の桁が大きく違います。
何千万円、何億円の投資であっても、実行計画が正しく計画されていて、
着実にブレなく実行すれば、売上という成果が手に入り、その一部が
毎月、毎年返済金となって元利返済できます。
毎月10万円の支払いでも、10年間120回で、1,200万円です。
投資資金は、1000万円単位と考えてもらってもいいくらいです。
金額の多さよりも、実行計画の出来具合の方にビビってもらった方が
良いと思います。
大金を借りる度胸が必要です。
また、貸す人より、最後は借りた人の方が強いことも
経営の中で学ばれると思います。
◎後継者の悩み5:味方がいない、味方をつくる!
「サポート役・相談者がいない」
後継者の方から見ると、同じ経営感覚でサポートしてくれる方か、
または違っていても、理解して応援してくれるサポート役・相談者が
事業承継時にいないことが比較的多いのです。
その多くは、先代社長のブレーンだったりしますから、
新たに経営者になった自分を生かし切る環境を作るには、
後継者候補として入社(入店)した時から、「気の合う仲間」づくりを
時間と手間暇かけて人脈を作るしかありません。
<後継者の方が注意すること>
●あせらない
上位の肩書がついても実力は一気に追いつくものではありません。
焦らず、学び工夫することで力がつきます。
●無理しすぎない
経営することは、ひとつの人間の集団で目的の物事を行うことです。
自分一人で孤軍奮闘しても、追いつかないことは多くあります。
1人より3人、3人より5人の「理解者・協力者」を説得して増やす
ことが、後継者の第一歩になると思います。
●投げださない
後継者の年齢が若いほど物事を性急に行いたくなるものです。
そしてうまくゆかなかったらやる気をなくして投げ出したくなる
時もあると思います。
でも考えてみてください。
「ここで投げ出したら、また最初から始めますか?」
●気分転換する
仕事のできる人は、自分のマインドコントロールが上手です。
しかし、中身はみんな同じ人間ですから、
いずれ心身の不調とかに出てくるときもあります。
メンタルな物事ほど、
「気にしない」というより「気にならない性分」という
心の鈍感さが経営者には必要と考えます。
●甘い言葉で近寄る人に要注意する
経営者になって本当の実力が身につくまでの期間は、
「チヤホヤ大切にしてくれる、持ち上げてくれる人が良い人」
に思える時期があります。
でも、年齢を重ねるたびに気が付きます。
そう言う人は、
自分に恩恵を求めて自分をチヤホヤしてくるんだな!って
気づくことになります。
こういう人の助言を真に受けて物事を実行すると、
周りの人から
経営者としての品格を問われることになりかねません。
いくつかの事項が参考になれば幸いです。
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後継者にとって、成功すれば、働く人生の終着駅迄行ける
ロングランのチケットを手に入れたことになります。
また、万が一事業で破綻した場合ても、経験を生かして
乗り越えるパワーがあれば、別事業から再度経営者を行なえます。
何事も、
心の中に「太陽」がある人=周りの人に出会ってよかったと思っていただける人間味のある人=は、人に好かれ、
人に信用してもらって、
人に助けられる良き人生を歩むと固く信じています。
(了)
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