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真っ赤なTシャツ

GW中、姉tomoeさんがネイルの仕事だというので、ひとりで実家へ。

私の実家はずっと昔からそこに住んでいたわけではなく、私の中では「帰る」という感覚より「行く」という感覚の方が近い。

実家の最寄り駅から行く道はほぼ一本道だが、その脇道を通るのが私は好きだ。

そこはアパートや戸建てが並ぶ住宅地の隣なのに、東京とは思えない空間がパッと広がって、ちょっとトトロの世界に入った気がする。

小道に入ると緑が清々しく、ひんやりと涼しくてキモチイイし、なんか空気って美味しいかも、と感じる非日常的な空間。
普段は耳ざわりな虫の声も気にならない。

緑の間の青空に浮かぶ雲がくじらに見えちゃったり。自然の錯覚。

両親は毎日この辺りをウォーキングしている日常が羨ましいく思えた。

父は体力が少し回復してきて白いお米が食べられるようになったらしい。一時よりも頬が若干ふっくらしていた。ちょっとだけ安心。

退職してからは一日の大半をパソコンの前で過ごし、色んな情報をデータ化するのが昔から得意だったけど、こないだは自分の検査データをExcel表にまとめていた。

「この部分が12月から良くなっていて、でもここが高いままなんだよ」とサラリとパソコンの中のデータをゆび指した。

ここ、というは転移している値を示す数値らしい。もうそこは致し方ない。

父が癌だとわかってから、死が近いという現実を知る事がこわくて具体的な数値を聞く事を避けていたのだが、今回は何気ない会話だったからすんなり受け入れられた。その数値が平均値からかなり高いというのだけはわかった。

あーあ。と悲しくなった瞬間に目に飛び込んできたのは、振り返った父のTシャツの文字‼︎

「努力と根性」

悲しさ吹き飛ばし!ウケる!
スゲーな!父スゲーよ!
あとどのくらいかわかんないけど、努力と根性でもう少し生きてほしい。

(文・撮影 イガラシナオ)

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