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ウインド・リバー🇺🇸自分の常識だけで他者の陣地を訪問するのは危険と学んだ映画

おすすめされて「グラン・トリノ」を観たときに、その映画の中のギャングの手口に私はすごく気分が悪くなったことを改めて思い出す作品だった。グラン・トリノは、隣人の少年やその家族と接するなかで親類のような感情を抱いた老人が、捨て身の作戦で復讐の連鎖を断ちありったけの財産を残したことだけは救いになった創作(フィクション)だが、こちらのウインド・リバーは現在進行形の問題が関わっているらしいのでただ悲しく、とても虚しい気持ちだけが残った。

ウインド・リバーは、一触即発の雰囲気。外部の者に対してだけでなく内部でも銃を使うことに躊躇いはないようで、映画の中では自衛なのか護衛なのか正直わからなくなるような銃撃戦もあった。

別の大陸での争いに関してだけど、インテリの人が「対話」を重要視している意見を聞いたことがある。「武力ではなく対話」「人類は対話でわかりあえる」というような言い分だったけれど、相手の信頼を得るのは簡単なことではないと思う。相手が敵対していたり、追い詰められて極端な思考になっているとか、幼い頃からの無意識下の洗脳だって考えられる。

口先だけではなく実際に行動した人には敬意を表すが、対話というのは相手の協調があって実現する手段なので、人の成功例を真似れば必ず効果があるというものではないと思う。理想主義という意味だけでなく、「自分はそうだから相手もそうなんだ」「自分ならそうするから相手だってそう」という発想や、自分の考えを絶対だと思うのは危険だと再確認した映画だった。


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