いい病院・医者はどこに?(その7):当たり前の事ができるしあわせに気づく
再発した卵巣脳腫の手術が、2024年1月の始めに無事に終わった。
卵巣脳腫が大きくなり、手術が必要になったのが、今回で二回目であったため、再発予防の為に両方の卵巣と卵管を切除する予定だった。
そして、多少迷ったが、やはり予防の為に子宮も摘出する事に決めた。子宮の摘出は、医者に提案された事ではなく、自分でそうした方がいい気がして、相談した上て決定した。
手術は問題なく終わり、病室に戻って、流動食が採れる様になったところでその日は終わった。
手術前日と当日の様子はこちら。
手術の翌日は土曜日だった。
手術後48時間は経過観察の為に入院予定で、点滴の管を付けられ、排泄用の装置も付けられていたので、ひたすらベッドで横になって休んでいた。
午前中に執刀医である先生が来て、状態を確認した。「経過が良いので、午後に排泄用の装置を外すから、ゆっくりと体を動かし始めてね」との指示だった。
例えば、上体を起こす、左右に寝がえりをしてみる。
排泄の管が外されたら、立つ、歩く、トイレに行く、等だ。
その時に、摘出した子宮・卵巣・卵管の写真も見せてもらった。
写真だけでは具体的な大きさまではよく分からないが、子宮は握りこぶしぐらいの大きさにしか見えなかった。
こんな小さな臓器が、私達(女性)を毎月生理で苦しめたり(言い方が悪いけど笑)、体長50cm程にもなる赤ちゃんが中に入っていたりするのか、と思うと不思議で仕方がなかった。
ベッドで休んでいたのはせいぜい24時間程だったが、ずっと同じ体勢だったからか背中も首も痛い。少し体勢を変えようと動いてみるが、お腹の傷が気になるし、点滴の管が邪魔だ。
(点滴の管は結構太いのが手の甲に突き刺さっているので、角度が悪いと大怪我をしそうで怖いのは私だけだろうか?)
この日から、流動食(スープ)に加えて、柔らかい食事も食べてよくなったので、食事に変化が出て来た。まあ基本カレー味と言うか、マサラ味なんだけど笑
手術の後でぷくぷくでぷにぷにになったお腹は気になるが、食欲はあるので、基本的に出されたものは全部食べた。
手術の影響として、突然襲われる吐き気と闘ったりしていた。吐き気はあるのに(手術で絶食していたからか)何も出てこない。それもその日の晩になる頃には治まっていた。
付き添ってくれるはずの友人は「ごめ~ん」と言いながら、お昼近くにやって来た。(夜は家に帰っている)溜まった家事を終わらせるのが大変だったらしい笑
ちょうどお昼を食べ終えた頃で、排泄用の装置も外してもらっていた。
その時までトイレに行きたい感覚は全くなかったのだが、(尿を溜める装置の)バッグには尿が溜まっているらしく、定期的に取り換えられていた。感覚は無いのに排尿があるのは不思議な事だ。
装置を外した後、なんとなくトイレに行きたい様な気がしたので、行ってみる事にした。ちょうど点滴につながれていない時間帯で、ちょうどいい。少しは動くように言われているし。
友人が見守る中、そろそろと動いて、まずは両足を床につける。
お腹の中がぽっかり空いた様な感覚があって、背中がどうしてもまっすぐにならない。わずか24時間で筋力が衰えてしまったのを感じる。
お腹の感覚は出産直後のそれに似ていた。
お腹の中にあった何かがなくなってしまったような。
自分で立つ事はできたので、ゆっくりと歩いてみた。
お腹がだるんと下がっている様な感覚で、お腹に手をあてながら部屋の奥にあるトイレに向かう。体がこわばっているのと、激しい痛みはないが傷口の存在を確かに感じながら、そろそろとトイレに座ってみた。
しかし、今までは何も考える事なくできていた行為が、突然、分からなくなってしまった。
あれ?トイレってどうするんだっけ?
しかし、頭はポンコツでも体は覚えているのか、しばらくすると用を足す事が出来た。なんとか一人でトイレを済ませ、手を洗ってベッドに戻る。これだけの事でぐったりとしてしまい、息切れがした。
1人で立つ、座る、体勢を変える、トイレに行く。
これらの事が一人ではできなくなってしまい、また赤ちゃんからやり直しをするかの様に、ひとつひとつ、できる様になっていく。普段は意識していないこれらの小さな行為は、どれも健康だからできる事で、私達はそれを「当たり前の事」と贅沢にも忘れている。
健康である事に心から感謝したい。
入院生活の状況は人それぞれだと思うが、「ヒマな時間をどうするか」はみんな抱えている課題じゃないかと思う。いくら安静にする様に言われたって、24時間ずっと寝続ける事は難しい。
今はスマホやkindleがあるので、時間を潰す事が容易になったと思うけど。
私も夜眠れない時はイヤホンをしながら好きなポットキャストを聞いて過ごした。笑い過ぎて傷口に響いたのはマズかったかもしれないが笑
段々と元気になってきたので、友人がおしゃべりにつきあってくれるのがありがたかった。スマホでも時間は潰せるが、気の合う人とたわい無い事を話すのも活気を与えてくれる。
友人とは元々お茶に行く計画をしていたのだが、スケジュールが合わずに時間が経ってしまっていたので、この機会にゆっくりおしゃべりできてちょうどよかった。おしゃべりの場所が病院になったのは予想外だったが。
この日は友人がにゃん達の様子を見に行ってくれたが、それもビデオコールしながら、指示したり、にゃん達に「ママだよ~」と声をかけてみたりもした。
・・・にゃん達には無視されたけど笑
段々と日が暮れてきて、友人がそろそろ帰ろうかと支度を始めた頃、スタッフがやってきて、「ああ、あなたは今日退院よね?先生に診てもらった?」と聞いてきた。
あれ?日曜日に退院じゃなかったっけ?
そう思ったが、退院する事に否は無い。聞くと、18時頃に先生が夜の巡回をするので、その診察結果に問題無ければ、退院できるとの事。退院できる場合は時間帯は20時頃になるそうだ。
私と友人は顔を見合わせて「え~、良かったねえ~」と喜んだのだったが、やって来た先生は驚いた様子で「何言ってるの!手術後48時間は病院で安静よ。きっとスタッフが間違ったのね。」と一蹴。
ここの病院は、先生は良かったのだが、スタッフ同士の横連携がイマイチであった。インドあるあるなのだが・・・。
まあ、この状態で一人家に帰されても、身の回りの事ができるか心配だったので、あと一泊することに異存はなかった。
そんなワケで、先生の巡回が終わった後、昨日と同じ様に友人はそそくさと家に帰ったのだった。(彼女の家族からも「早く帰って来て~」と連絡が何度も来ていた。)
入院3日目は、赤ちゃんに戻ったような気持ちにさせられ、自分の健康に改めて感謝した一日だった。
(過去のnote)
「あれ?」と思ったきっかけ。
一つ目の病院。ほったらかしにされてムカつく。
二つ目の病院。友人から紹介してもらったお医者さん。
手術は確定。セカンドオピニオンを取る。
ついに入院時の付添人が決定!!みんなありがとう。
入院直前。病院で事前検査をするのかと思ったら、自分で終わらせておく必要があったと発覚。てんやわんや。
手術当日。付き添ってくれた友人の存在が心強く、ありがたかった。
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