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「自転車ヘルメット」。

 時々、妻と一緒に、バンド名を考える。

 自転車ヘルメット。

 そんな名前を妻が出してくれて、なんだか、いいと思った。

ヘルメット

 2023年の4月から、自転車に乗るときも、ヘルメットを着用するのが「努力義務」になった。もしかしたら、交通違反として罰金が発生するかもしれない、という話を聞いて、珍しくあわてて、ヘルメットを購入した。

 自転車用は、売り切れ寸前の上に6000円以上もしたので、バイク用のヘルメットを3000円台で購入し、それだけだと少し寂しかったので、ステッカーを貼った。これまで、行き場のないステッカーの場所ができたと思った。

 それ以降、近所の、特に隣町の図書館に行くときは、ヘルメットを着用する。坂道を下る時に、風を切る音が、以前より大きく聞こえるようになった。

 でも、なんとなく気になっているのが、自転車に乗ってヘルメットを着用している人が、思ったよりも少ないことだ。あ、つけてる、と思うと、今のところは、ほぼ高齢者で、こんなに少ないのなら、急いで買わないほうが良かったかも、などとも思うこともある。

 それでも、ヘルメットをかぶって、とったときに、髪の毛がやたらとぺったりして、ちょっと面白い感じになるところは気になるものの、バイクも乗らなかったし、通学用の自転車用のヘルメットをつけたこともなく、工事現場で働いたこともないから、ほぼ初めてのヘルメットに少し慣れてきた。

 今までは、自転車とヘルメットは、それほど関係がなかったのに、誰にでも縁ができそうな時期だけに、「自転車ヘルメット」という名前に、いくつもの意味が乗っかりそうで、いい名前だと思った。

バンドという組織

 ただ、私自身も妻も、楽器が演奏できるわけでもないし、人に聞かせるような歌の力があるわけでもない。だけど、私は、運動部にいたから、チームという組織は少し知っているし、会社にも正社員として1年半いた経験もあるので、企業もちょっとだけわかっているつもりだけど、バンドという組織には縁がなかったので、勝手にあこがれがある。

 実際は、当たり前だけど、人間が作っているシステムだから、他の組織と同様に、いい面も悪い面もたくさんあって、その独特さは、そこをよく知っている人から見たら、あまりにも自然なことだから、実はそれほど語られていないような気もするし、実際にバンドを組んだこともないのに、勝手にあこがれるな、みたいな批難はされそうな気もする。

 それでも、そのバンドという組織の不思議さまぶしい印象と名前の由来への興味は、縁遠い人間にとっては、やっぱり変わらないのだと思う。

結束バンド

 フィクションだけど、このアニメで、主人公がギターを担当するのが「結束バンド」という名前だった。

 実際に存在するもので、ここ何年かで知名度が上がったように思える、コードなどを束ねている実用品と同じ名前だから、ダジャレでもあるのだけど、そこに「結束」という、組織に大事な意味も含まれていて、その上で、あまりロマンチックな思いをこめすぎていないし、どこかで無造作さもあるので、微妙にクールさも加わっている。 

 そうなると、フィクションなのに、バンドTシャツのようなものまで、ちょっと欲しくなる。

ゲスの極み乙女

 名前は大事だけど、意味や思いを込めすぎると重くなるし、恥ずかしい。

 そのあたりは、バンド名については、(あくまでも外部から見ていての)、共通する意識のような気がする。

クリス:一夫多妻性なバンドですね(笑)。バンド名の由来は、ちゃんMARIさんのトートーバッグに書いてあった言葉だと聞いたけどそれは本当?
川谷:ちゃんMARIさんが鹿児島出身なんですが、地元の友達が“ゲスの極み乙女”と書いたトートバッグを個人的に作っていたんです。彼女の友達界隈で自虐的に「私たちゲスの極み乙女だわ」って言うのが流行っていたのが由来です。そのバッグをちゃんMARIが持ってたのを僕が見て、これでいいじゃんと思いました。

「ゲスの極み乙女」というバンド名は、ものすごく狙ったような名前だったのに、でも、偶然に決まったという話は、ファンでない人間にも届いていて、まるで都市伝説のようだったのだけど、こうして確認してくれたパーソナリティもいた。

 このエピソード自体が、運にも恵まれているようだし、とてもかっこいい。


神聖かまってちゃん

 中年になってから、初めてライブハウスに行ったのだけど、それが「神聖かまってちゃん」のライブだった。

 たまたま、若い世代の人に教えてもらって、絶望や、絶望の後の希望のようなものを、これだけ音楽にしていることがすごいと思った。

 さらに、このバンド名の由来は、はっきりと語っていることはなかったらしいが、もし、適当だとしても、結果としては、考え抜かれた、矛盾したものを抱えたバンドそのものを表しているような名前で、すごいことだと思った。

 近づくな。そばにいてほしい。
 理解できるわけがない。わかってほしい。
 届かない場所にいる。近くに来て。

 糸井重里氏に「キャッチコピーを」ということをTwitterを通して依頼をして(この方法も、このバンドらしかったけれど)、その返答が「バンド名がキャッチフレーズ」という反応も、すごかったと思う。


(この書籍↓も「ほぼ日」に関係していますが、バンドマンの方達の言葉が魅力的だと改めて思います)。

バンド名の由来

 遠くのバンドにあこがれて、バンドを始める人間は、いつの時代にもいる。

 そういう人たちが思ったよりも多いことに、学校に通っている頃は、文化祭という場所で知った。

 その学校の中、もしくは、その文化祭の期間の間だけ、という限定のことがほとんどだけど、音楽を通して、とてもかっこよく見える人たちがいる。その演奏に接して、新たに、バンドを始める人たちまでいる。

 だから、文化祭という時間の中だけかもしれないが、その人間を直接知らなくても、その演奏を見て聞いた後だと、瞬間的にでも、その言葉は、とても届く。

 私が通っていた高校では「うまい」と噂されていたボーカルは、文化祭のステージで、何曲か演奏をしたあと、言葉を発した。今では「MC」と言われているが、その頃は、それは一般的な名称ではなかった。


 そして、この、おそらくは文化祭の時だけの存在かもしれない、バンド名の由来を話し始めた。

…… バンドの名前をどうしようか、ということになって、なかなか、決まらなかった。それで、その時、誰のうちにいたんだっけ…その時、テレビで、「ウルトラマン」の再放送をやっていて、もう、名前決まらないから、今回、出てきた怪獣の名前にしよう、ということになって、それで、「ガボラ」になりました……。

 このことを、まだ覚えているのは、バンドの名前の由来というのは、このくらいの偶然性があるものだということを、私にとっては、最初に教えてくれた話のせいかもしれない。



 ほぼ関係はないのだけど、「ガボラ」は、「シン・ウルトラマン」にも登場していた。




(他にも、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。





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