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Daylight

空が燃えている 稜線を縁どって 雲の隙間から閃光が迸る あの光をなんと呼ぼう 赫耀たるあの空を 悠々と流れる雲をただ見つめた 空が近い 手を伸ばしても触れることはないのに それでも、空はすぐ傍に在る 原風景に希望を見た 必死に手を伸ばす 高く、高く、どこまでも もう何度目か分からない、眠れないまま迎える夜明け。カーテン越しでもわかる空の色。 僕は慌てて窓を開ける。 朝焼けであった。 ただひたすらに美しいだけの景色だった。 僕は瞬きすら忘れてじっと空を見上げた。少し

    • 寒い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。

      冷え切って、冷え切って、冷え切ったら、透明になれるのかなって、最近はなんかそんな感じです。冬だし、雪国生まれ雪国育ちなので仕方ないですね。 透明になろうとすればするほど自分が浮き彫りなっていくような感覚があって、自分はなんなのかとかそういう在り来たりで意味のない問いに何度も戻ってきながらなんとなくぼんやりした日々を送っています。 鮮明でないことが悪いことだとは思わないです。 新しい年になったからと言って、新しい自分に生まれ変われるわけではないということを一週間ほどかけてよ

      • 白粉花が枯れたら

        泣きたくなる。 あなたの優しさに触れる度、わたしの弱さが浮き彫りになっていく。 いろんな4文字を飲み込んだ。 言わなきゃいけない4文字までどさくさに紛れて飲み込んでしまった。 吐き出す術は忘れたことにした。 夢で逢う。 目が覚めるといつも泣いてしまう。 夢の中の温もりを忘れられず3センチ浮いているような心地で過ごす。 ピントがあなたに定まったままのせいで世界の輪郭はぼやけ、何も手につかなくなる。 思い出の中でしか息ができなくなってしまう。 それでもわたしは、過去のわたし

        • 蝶と蛾

          蝶になんてなれるわけなかった。 だから何も言わなかったじゃないか。 僕は蝶だなんて名乗らなかった。 君が勝手に僕を指さして蝶だと喜んだんだ。 僕は蛾だ。 みんな綺麗だとか言って近づいてきては、勝手に失望して去っていく。 なんだ、蛾かよ。 「ほらね」 なんて忍び笑いが聞こえてきて、僕は耳を塞ぐ。 やめてくれ。 耳鳴りがして息ができなくなる。 過去と現在の境目が曖昧になって、次いでに明日が来ないようにと未来を呪った。 火の中に一直線に飛び込んでいけるのなら良かったのに。

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        Daylight

          僕はここにいるよ

          昔から、変な人が好きだった。 「なんであいつ?」 そう首を傾げられるのが常だった。 なんで、と言われるとちょっと困ってしまう。 顔がいいとか優しいとかスタイルがいいとかそういうところに惹かれるわけではないからだ。 磁石で砂場を掻き混ぜると砂鉄がくっついてくる。 人混みの中でもそこにいるのがわかる、みたいなそういう感覚。 "好きになる"というより"見つける"って感じ。 個性を飲み込もうとした日のこと、今でも憶えてる。 "見つけ出した"彼が後ろ指さされていた。 「"なるしす

          僕はここにいるよ

          私を見て

          線香花火みたいだ。 今年も夏は死んでしまって、もうどの店も花火の商品棚は撤去されている。 それでも火を灯そうとしている。 冷たくなった夜風から護ってくれる人がいない。 無慈悲に揺すられて、それでも振り落とされないようにしがみつきながら弾けてみる。 火の玉を落としてしまわないように。光を絶やしてしまわないように。 拝啓、 そう書いて手が止まる。言葉を忘れる。 吐き出したい想いが多すぎて喉が詰まる。 喉の奥に指を突っ込んでみても出るのは消化液くらい。 言葉が生まれるところ。 想

          私を見て

          ピアスを開けた話

          ピアスを開けた。 左耳に2つ。 右耳は長い前髪でいつも隠れているから左耳に。 僕は、リストカットとかオーバードーズとか言う自傷行為を生まれて此方したことがない。 未遂ならある。 あとそういう脅しもしたことがある。 でも実際にしたことはただの一度もない。 それは単純な話で僕が臆病者だからだ。 痛いのは嫌だ。怖いのも嫌だ。痕が残るのも嫌だ。と言った我儘ぶりで、一線を越える直前、恐怖に叩き起された理性が重たい体を起こして、まあまあ、なんて適当に宥めてくる。 剃刀を手にして、手首に

          ピアスを開けた話

          思い出と共に夜明けを待つ

          酒に溺れた者の部屋の安い発泡酒の空き缶の如く床の上に無造作に転がっているエナジードリンクの空き缶を、ひとつひとつ拾ってビニール袋に入れる。新フレーバーが出ると忽ちTwitterで話題になるお馴染みのそれは、フレーバーごとに缶の色が違っているが、どれも明らかに身体に悪そうで、外国のお菓子のように攻撃的な見た目をしている。自暴自棄になり自己破壊的衝動に駆られながらも、臆病故に結局行動には移せない僕を慰めるには丁度良い量の355ml。様々なことに対して過敏に反応する体質のせいか、カ

          思い出と共に夜明けを待つ

          祈りと呪い

          「死にたいくらい辛かったんだろうな...」 というツイートの真上に 「生きててよかった」 なんてツイートがある。皮肉だと思った。 ぐちゃぐちゃ。 部外者である。 僕は彼のことを何一つ知らない。僕が知り得るのは、其処に存在しているということだけだ。名前も歳も声も容姿も何も、知らない。その存在だって、ついさっき知ったのだ。 だからこんな僕に何かを話す権利はきっとない。 だけどこのままだと何かに押しつぶされてしまいそうだから、許して欲しい。 人の死を前にしては何もかもが無力だ

          祈りと呪い

          音楽を愛している

          音楽が好きだ。 音楽が好きだったのだ。確かに。 中学生の頃に初めて好きなアーティストというものができて、それ以来ずっと。 音楽が生き甲斐だった。 そのはずだった。 それなのに、近頃何故か音楽を聴けない日がちょくちょくあった。 勿論、音楽を聴くための環境が無いわけでも、時間が無いわけでもない。 精神的な理由だ。 とはいえ理由は自分でもわからなかった。 なんとなく、聴きたくないと思ってしまう瞬間が確かにあって、音楽アプリの見慣れたアイコンをタップできなかった。 そしてそんな自分

          音楽を愛している

          拝啓、かつての相棒だった君へ

          僕の脳みその中に住まう、記憶を必要なものと不要なものとに仕分ける仕事をしているであろう住人は、どうやら僕本体に似て、ものを捨てられない性分らしい。 くだらない忘れていいようなことも、何時か何かの役に立つかもしれない!とばかりに押し入れにそっと仕舞い込んでいるようだ。 すぐ使うような、例えば授業で習った事などを入れておく箱とは別に、膨大な数の記憶を収納できる押し入れが存在しているらしく、何かのきっかけでその押し入れの扉が開かれると堰を切ったようにドバドバと思い出と呼ばれる記憶た

          拝啓、かつての相棒だった君へ

          (2020/04/18 16:11)

          雨が降っている。 何もする気になれなくて、何となく窓を開けて、屋根を叩く水の粒たちを意味もなく眺めてみる。 低気圧とストレス。 ぼやけた頭は判断力が鈍り、思考を放棄している。 僕が住んでいるところは葡萄の生産が盛んなため、この時期になると、自室のある二階の窓から見える景色にはビニールハウスが一面に広がる。 冬の終わりと春の始まりは似ているようで違っている。 ビニールハウスのせいで雨音が変わるからわかりやすい。 同じように、秋の終わりと冬の始まりも似ているようで違っている。

          (2020/04/18 16:11)

          『蓮水レイ』について

          書きたいことはあるはずなのに上手く書けない日々が続いて、"書く"という行為の感覚を忘れてしまうのでは無いかと恐怖に駆られている。 書きたいことが書けないのなら書きたくないことでも書こうか、と思い立ったが書きたくないことはやっぱり書きたくないし、そもそも書きたくないことが思いつかない。 それならどうでもいいことを書こう、という結論に至りこの文章を書いている。 肩の力を抜いて気楽に綴っていこうと思う。 誰も興味は無いだろうが暇潰しがてら御付き合い頂けると嬉しい。 「蓮水レイ」と

          『蓮水レイ』について

          夏の終わり、初期衝動。〜ヨルシカ新曲「夜行」に寄せて〜

          5分前からのカウントダウンのせいで気が急いていた。 5分前どころではない。 公式Twitterからの新曲のお知らせがあった6日前からこの瞬間を今か今かと待ち望んでいたのだ。 震える手で液晶をなぞる。 鼓動がうるさい。 再生マークをタップ。 音量を上げる。 程なくしてアコギが爪弾かれる。 凪いだ海のような、優しく、穏やかな音がイヤホンを伝って流れてくる。 深呼吸をひとつ。 まだ鼓動は高鳴ったままだ。 《ねぇ、》 優しい問いかけ。 誰かが誰かに何かを話しかけている。

          夏の終わり、初期衝動。〜ヨルシカ新曲「夜行」に寄せて〜

          家族愛なんてクソ喰らえ

          家族の話が得意じゃない。 綺麗な家族愛が描かれている何かを見たり聞いたりすると、胸糞が悪いというか虫唾が走るというか……モヤモヤっとする。 怒りとも悲しみとも、似てて非なるもので、羨ましくもあり、虚しくもあり、言葉にするのがどうにも難しい、そういう気持ちが蟠る。 最近とても話題になっている「鬼滅の刃」を見た。 率直に、面白かった。 アニメ版を見たのだが、原作漫画も読んでみたい、と思うくらいとても面白かった。 アニメに限らず音楽等でも、話題になればなるほど流行に流されている

          家族愛なんてクソ喰らえ

          人間は神様には多分なれない

          ハッキリとした理由もなく、ただどうしようもなく自分を傷つけてしまいたくなる瞬間がたまにある。 かと言って臆病者の僕はリストカットなんかできっこなくて、『泣ける曲』だなんて在り来りな検索をかけて音楽の力を借りて泣いてる、そんな弱虫だ。 でも今日は何となく泣きたい気分でもない。 今必死になって取り組んでる文章へのモチベーションが下がってきてしまったから息抜きも兼ねて、ココ最近考えてることを断片的にでもいいから書き出してみようと思い立ってこれを書いている。 神様みたいな存在だ

          人間は神様には多分なれない