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その名前を見る度に思い出すこと。

今日は一日フリーな休日だったので、家のPCにへばりつき、過去のnoteを読み返したり、仕事資料の整理に時間を充てていた。

休憩の合間にYou Tubeを開くとアメリカの音楽フェス「コーチェラ・フェスティバル」のライブ配信がお勧めに表示され、「Underworld」のライブの時間に偶然当たった。

懐かしい。
90年代のイギリスエレクトリックムーブメントの代表的グループである彼らは、数々の名曲を世に送り出し、自分も当時発売されたばかりのライブアルバムを買いに走るほど一時期ハマっていた。

ライブは有名曲を王道ルートで演奏し、途中に代表曲「Born Slippy (Nuxx)」が流れた。

一般的にこの曲と同時に思い起こされるのは、96年ダニー・ボイル監督作品の映画「トレインスポッティング」。

スコットランドの若者が薬物中毒に陥りながらも懸命に生きていく様子を描いた大ヒット作品。

その主題歌として上記のBorn Slippy (Nuxx)が流れるわけだが、リアル世代ではないものの学生当時その作品の世界観に陶酔していた私は、この曲を聞くとある黒歴史を同時に思い起こされるのである。

東日本大震災の発生したあの年、私は社会の混乱の最中、特に就職口を見つけることもなく暫し興味のあることをして送ってみようと決意。

アフィリエイト本を数冊ブックオフで購入し、ブログを書いて収入を得ようとあらぬ方向へ足を踏み入れたのであった。

現在はもうそのブログは存在しないが、管理人の名前を当該映画の主人公の名前にあやかり「レントン」と名付けて記事を書いていた。

当初のアクセス数はブログ初心者であった私でも稼いでいた方だったと思う。
書けば書くほどアクセスが集まるその状況にすっかり天狗になり、都内に日払いのレンタルオフィスを借り、丸1日籠もって毎日1〜3記事を更新していたように記憶している。

題材は不謹慎ながら時代の流れに乗じた放射線汚染に関する関連記事。
放射能測定器や無農薬野菜の宅配サービス、地下シェルターの紹介なども行っていたと思う。

当時はスマホが世に出始めた頃で、モバイルアフィリエイトとの融和性が期待された時代。PCとのダブルチャンネルでのアクセスを集めていた。

「こうやってお金って稼げるんだ!」

トレインスポッティングの主人公と自分を重ね合わせ、社会の混乱に乗じて一人舞い上がっていた私は、やがて現実の厳しさに直面する。

震災発生に伴う原発事故から半年もすると、放射能汚染の対策がニュース等を通じ浸透され世間の知識も瞬く間に増え、過度な対策グッズの購入や地下不動産の確保等を行うことが少なくなっていった。

あっという間にアクセスはなくなり、ブログ1本で生計を立てていた私は収入減により1日3食を食べることができなくなると、体重も一気に減っていった。

ある日、帰宅した親が自分の体格の異変に気づいたのはそれから間もなくしてのこと。

以来、きっぱりこの生活から足を洗った私はここからちゃんと就職するまでいばらの20代を歩むことになるのだが、こういった黒歴史を知るのはもはや当事者しかいない。

関連していたのかはわからないが、前職のネット通販の会社で一時期PCとスマホそれぞれのアクセス解析に関わっていたのは今思うと不思議な縁である。

レントンという名前を見るたびに思い出す。
ちなみに映画は今でも好きである。

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