辻 喜久

札幌医大・滋賀医大総合診療学講座 所属

辻 喜久

札幌医大・滋賀医大総合診療学講座 所属

最近の記事

地域医療、研修、インセンティブ

医師国家試験の結果が発表されました。 今年は滋賀医大95.5%、札医大95.3%(全国平均92.4%)でした。ボチボチと言うところでしょうか?関係の皆様、お疲れ様でした。 合格された方、これがゴールではなくスタートですよ!頑張ってください。 残念ながら再度受験しなければいけなくなった方、この経験を乗り越えれば、大きな成長が待っています。遠回りしても、道端に咲く花の美しさに気がつけるよう、十分休憩をして、捲土重来を図ってください。 ところで、m3で調べていたら、札幌医大の

    • 傷つく、生きる、見守る

      いわゆる「思春期の危機」という言葉を久しぶりに聞いた。 ある若い患者さんで、詳細は言えないが、浪人して、人が嫌いで、なんで勉強しているのかわからなくなって、夜も眠れなくなって、、、 とりあえず、ずっとどうでもいい話をした。ずっとブルーハーツの歌とかRadの話とかばっかりした。その時にキラっと光る良い笑顔をしていた。不安や身体症状が強く出てきたので、心療内科の先生に引き継いでもらった。 今春、合格したと連絡があって、向こうの主治医から「辻先生に本当に感謝している」と連絡が

      • 成長、自他、共感

        意思疎通の困難な疾患があるとして、その場合の病気の輪郭は観察者が作ることになる。我々の前提である「意思疎通できている」ことに疑念を持つと、この問題の根の深さに気が付く。私たちは本当に患者さんの想いを、もっと言えば、目の前にいる人の想いを理解し、”共感”できているのだろうか? 文化的な背景の違う患者さん、言葉の違う患者さん、世代の違う患者さんなどは、”共感”が難しい部分もあるだろう。「共感」って何だろう?自分から切り離された”私の想い”が、他の人に取り込まれたり、人と人との間

        • 学び、巣立ち、成長

          「今日が来るから明日が来る様に、今日の自分が明日の土台になる」という考えがあったとして、多くの人は異論ないだろう。 さて、成長とはコツコツと連続した道をいく様なものか? そうではなくて、一束跳びに途絶した道や断崖からジャンプする様なものか? 子供を見ていると急に成長する瞬間がある。「子、三日会わずば刮目してみよ」(三国志演義)ってやつだ。 ボルノーや実存主義的教育論の興味深い点は、後者の立場に立ち、成長における連続性を否定(!)したところにある。 であれば、成長のため

        地域医療、研修、インセンティブ

          医学教育、地域医療、生きる

          気づいたことを備忘録的に書きます。 正しい選択 「あの経験があったからこそ今の自分がある」と言う人は多い。旅の終わりや節目となる俯瞰的な地点から、過去の自分を読み解いて結果だと思う。 研修医や医学生の相談に乗っていると「これ今やる事にどれだけの意味があるんですかね」「キャリアプランとして、この選択は正しんですかね」なんかよく質問されるけど、「それは君の生き方が決める」と答える様にしている。 少し突き放した言い方をすれば、高校で習った数学が役に立たないと言う人は、そうい

          医学教育、地域医療、生きる