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病気とつきあう(7) 入院生活その5 ネットと読書

3年半前の冬、脳出血で約半年入院、退院して丸3年経つ。そこから始まった心身の変化がいまの生活や行動に大きく影響している。3年ひと区切りで、病を得て何を感じ何を思ったか、何が変わったか、セルフドキュメントとして、少しずつ書いていくことにした。闘病記ではなく誰かの役にたつものではないし、楽しい話ではない。興味のある方は付き合ってほしい。今回は入院生活での暇つぶしの続きでテレビ以外の話を。


閑な時間は気が滅入る

入院生活では退屈な時間は自然気が滅入る。暇つぶしの趣味や娯楽はとても大切だ。心身のリフレッシュになるし、リハビリのモチベーション維持に役立つ。前回(6)はテレビのことを書いた。出川哲朗のことばかり書いてしまったが。今回はネット環境作りと読書の話を。

病室でのインターネット

入院当初、病室に無線LAN設備はなく、インターネットはスマホでのデータ通信ばかりを使っていた。家族や知り合いへのメールやLINE、仕事に関する職場とのやりとり、ネット情報閲覧はスマホを使ったが、動画や音楽はデータ通信料金の不安があり、遠慮がちに使用していた。
入院して1か月半ほど経った頃、病室のベッドで有線LANを無料で使えるということを作業療法士の方が教えてくれた。たしかにベッドの頭上の壁にはヘッドライト、吸引の瓶、酸素設備、各種コンセントの並びにLANケーブルを差し込めそうな四角い穴があった。
もっと早く教えてほしかった。入院時は緊急でゴタゴタしていたが、急性期病棟から回復期リハビリ病棟に移ったときもLANが使えるという説明を受けたことがなかった。また、インターネット環境について何度か看護師に聞いたが、わからないといわれていた。知っている職員はごくわずかだったということだ。

病床でネット環境構築

LAN使用の申込書を病院に提出し、家族にケーブルを用意してもらい接続した。その瞬間インターネット環境は劇的に改善したのだった。
当時使っていたAirMacというApple社純正の優秀なWi-Fiルーター(今は販売されていない)を持ち込み無線LAN環境を作った。日々愛用していたiPadとMacBookAirも持ち込んだ。

ネット環境は整ったが・・・

せっかくネット環境を充実させたのだが、残念なことにそれを使いこなすには健康な身体と一定の体力が必要だった。
映画のような長時間の動画は集中してみると疲れるのでほとんど見られなかった。YouTubeで短い動画を見たり、急速普及中のZoomで仕事関連の教育的な講演を視聴できたのはありがたかった。インターネットのポータルサイトからその日あったでき事を次から次へとおさらいする昔ながらのネットサーフィンが速くて楽になったのがいちばんのメリットだった。

読書の苦労と愉しみ、Kindle本はありがたい

読書はもともと好きだが、脳出血で左手の力が落ち本を保持するのが難しくなったのは痛かった。薄っぺらい文庫本でさえ苦労した。入院直前まで読んでた本はあるし、読むつもりで買いだめしていた本や今後読みたいと思う本もたくさんあって、もう読めないかと思うと悲しかった。
ネット環境が整い、アマゾンからKindle本を購入し、iPadをスタンドに立てて読書できるようになったとき、自分としては画期的ですごくうれしかった。それまでの読書は紙の本ばかりで、電子本はほとんど読んだことがなかったし。
入院生活後半では好きな作家である吉田修一や佐藤正午の作品を昔のものも含めて好んで読んだ。古い作品ほどKindleなら現物の本より安く購入できるのもありがたかった。ヒマな時間のつぶし方の質が一気に向上した気がした。


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