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ダークファンタジー小説 奈落の王

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ダークファンタジーの小説、「奈落の王」のまとめ記事です。
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記事一覧

(一次小説 ・ ダークファンタジー )奈落の王 その三十 わらわら、わらわら。

右からも左からも、そして正面からも規則的に聞こえてくる、太鼓の音。 それは低く、うねりを…

燈夜(燈耶)
6か月前
3

(一次小説 ・ ダークファンタジー )奈落の王 その二十九 一難去って。

砦の門前で、未だに争いは続いている。 喧騒と、叫び吠えと雄叫びが、とめどなく聞こえてくる…

燈夜(燈耶)
7か月前
2

(一次小説 ・ ダークファンタジー )奈落の王 その二十八 森の中で、光と闇に出会…

暗き森。 その森にたたずむ者がいる。 森に生き、森に住み、森を命の糧としてきた生き物が。 …

燈夜(燈耶)
7か月前
6

(一次小説 ・ ダークファンタジー )奈落の王 その二十七 敵襲

──それは黒い森から湧き出てきた。 雄叫びを上げて、一番乗りを競うかのように、森の出口か…

燈夜(燈耶)
7か月前
3

(一次小説 ・ ダークファンタジー )奈落の王 その二十六 急使

──ッシュ! 窓から首を出した一人、ロランは風の音を聞く。 「危ない!」 と、隣のタスク…

燈夜(燈耶)
7か月前

(一次小説 ・ ダークファンタジー )奈落の王 その二十五 犬頭の軍勢。迫る妖魔。

アリアがいる地下へと向かおうとした、銀仮面卿ことロランとタスクラン公子に、砦の兵士が急報…

燈夜(燈耶)
8か月前
1

(一次小説 ・ ダークファンタジー )奈落の王 その二十四 帰り道

二人の男、銀仮面ことロランとハルフレッド公子の兄であるタスクラン公子が水晶球の中で動き回る黒ドレスの女の子を見ている。  水晶球。 『遠見の水晶球』と呼ばれる、古代の魔法文明の遺物だ。  現在の魔術では作り出せない、強力な力を込めた遺物(アーティファクト)。  その輝きも怪しく光る、強大な力を秘めた魔法の品である。 その女の子とはアリア。 ロランの実の妹だ。 今黒ドレスを着ている彼女から受ける印象が、気のせいか代わっていた。 ロランは首を捻り、先ほどの神魔とやらが……とぶ

(一次小説 ・ ダークファンタジー )奈落の王 その二十三 邂逅

アリアは洞窟のむき出しの岩肌に躓いて転んでいた。 「あ痛!」 あちこちさする、幸い強く打…

燈夜(燈耶)
8か月前
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(一次小説 ・ ダークファンタジー )奈落の王 その二十二 遠見の水晶球

黒ドレスのアリアが所在もなしに、砦内をうろついていた──いや、ただ単に、迷っただけなのだ…

燈夜(燈耶)
8か月前
3

(一次小説 ・ ダークファンタジー )奈落の王 その二十一 前線の砦にて、銀仮面挑…

砦の中庭に照り付ける日差し。  そして蒸せる森の緑に聳える砦の中庭には、男たちの喧騒が聞…

燈夜(燈耶)
8か月前
2

(一次小説 ・ ダークファンタジー )奈落の王 その二十 貴族の食事

キノコとコーンのスープである。  ホワイトソースに芋がゴロゴロ浮いている。  そしてその…

燈夜(燈耶)
8か月前

(一次小説 ・ ダークファンタジー )奈落の王 その十九 前線の伯爵公子。そして砦…

何人が人数を減らすことになったロラン達一行の前に、辺境伯の城に負けず劣らずの石壁とそれを…

燈夜(燈耶)
8か月前
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(一次小説 ・ ダークファンタジー )奈落の王 その十八話 初陣

殲滅した、はずだった。 妖魔、ゴブリンどもが煙玉を使う。 ──逃げる気だ! ロランは直感…

燈夜(燈耶)
8か月前
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(一次小説 ・ ダークファンタジー )奈落の王 その十七 深き森の砦。照葉樹林も深まった人間支配領域の最前線。向かうも一行の前に何かが現れる。

木々が密集している。 昼間でもなお、暗い森。 森が動く。 道の悪さのためでなく、明らかに森の枝葉が動いた。 うん。 ──確か、不自然に揺れたような……。 そう。ロランの目には霞んで見えた。 「ん?」 見直す。 うん、今度も枝葉の動きがやはり変である。 ロランはもう一度凝視する。木立が確かに揺れている。 そしてその陰。 ロランは黄ばんだ二つの目を視認し。 彼は彼自身『銀仮面卿』がこの補給隊一行のリーダーであることを思い出し。 ロランは一度つばを飲み込み、次の瞬間、