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甘い宝石、回るお菓子売り場、小さなわたし。



みなさんは回るお菓子売り場を知っていますか?
上から見ると大きな円状のドーナツ型で、ひとつひとつのケースにこれでもかと言わんばかりにたくさんの飴玉やラムネ、クッキー、チョコレートなどのひと口お菓子が詰め込まれているのです。
幼少期の私にとって、このゆったりと回り流れるお菓子売り場はキラキラしていて宝石の山に見えたものです。(上の写真はまさに私のこよなく愛した地元の百貨店にある回るお菓子売り場です。現在もあるというから帰省する時には聖地巡礼しなければ!笑笑)
右回転するお菓子を眺めて、そのまま追いかけてみては私が左回りで先まわりしてみる。
目がぐるぐるしても飽き足らずに回転し続ける。
疲れた頃には手に入れた甘い宝石たちを口に頬張って家族に抱っこで揺られる。
このようなちょっとした特別が夢のような時間を創り出してくれていたものです。
最近ではめっきり見なくなってしまいましたが、百貨店の出入り口や子どものおもちゃ&洋服売り場には必ずと言っていいほど設置されていた名優です。


わたしは同級生にインスタグラムのストーリーで「回るお菓子売り場」を知っているかアンケートを取ったところ、約7割近くの人が知らないと回答していて肩を落としました。
確かに回るお菓子売り場の全盛期は昭和ですから、1999年生まれの私が知っているのも奇跡かもしれませんね。


ちなみにこの話を友人に話したところ、「なんでそれは回る必要があるの?」と言っていましたがこれは愚問だと感じました。
だって、「遊園地のコーヒーカップや観覧車、メリーゴーランドなどはなぜ回っているの?」と聞くのと同じものですよね。
これを丁寧に説明できる人には拍手を送って差し上げたいと思うほどです。
わたしの中では回ることに深い意味などはないけれど、円を描くものに夢中になって心をときめかせることになんとも言えない幸福感を覚え満たされるのです。



さてさて、ここで回るお菓子売り場の思い出をひとつ。
私はおばあちゃん子だったので幼稚園が終わるとおばあちゃんと一緒に夕飯の買い出しへ出掛けたり、週末は祖父母の家で過ごすことが当たり前でした。
ど田舎に住んでいたから、連れて行かれるのは決まって近所の公園と山。
だからおばあちゃんの編み物教室のために百貨店にお出掛けするのは最大イベントでした。
お気に入りのワンピースと靴とポシェットでめかしこむ。
大人と同じように小さな買い物かごを抱えて、回るお菓子売り場で好きなものを自由に選んで手にとる。
肩から下げた小さなポシェットに溢れんばかりの甘い宝石をそっとしまいこむ。
その優しい膨らみが今日の私の戦利品と優越感に浸る。
編み物教室の待ち時間も苦にならない百貨店で得た胸の高鳴り。
買い物の楽しみを教えてくれたのは、きっと、あのキラキラ光る回るお菓子売り場だったのです。



ちなみに回るお菓子売り場の話を書こうと思い考えていたら衝撃的なニュースが舞い込んできたのです。
それは老舗アメハマ製菓が廃業することでした。
私が回るお菓子売り場で一番のお気に入りだった「いちごミルクキャンディ」も終売することに胸が痛みました。(こちらはサクマ製菓の「いちごみるく」とは全くの別物なのでお見知りおきを。)

あの場所で私の中の殿堂入りを果たしたいちごミルクキャンディのあの子とパインアメの僕の姿をもう二度と一緒に見られらないなんて…涙がちょっぴり流れてしまうわ。



今日はいちごみるくとパインアメを買ってみようかしら。
きっとあの子と僕には敵わないかもしれないけれど、キラキラは確かに私の心に残っている。

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