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気持ちを込めて、名前を呼びたい。

いま、大学生のときに家電量販店でカメラ売りのアルバイトをしていたことを思い出している。

なにか困ったこと、アクシデントがあると、レジ裏のところで社員さんに声をかけて助けを求めていた。

「Tさん、大変です! お客さんが……!」
「お客さま、でしょ」
「はい! お客さまが〜〜」

きつくでもなく、なんならちょっとリズミカルに、なんどもそう訂正してくれた。もちろん困っていることや、アルバイトではできないことには丁寧に対応してくれるし、やさしいお兄さんだった。少しヘンなひとだったけど。

これを「大したことない」と思うだろうか。お客さまの前ではないし、誰もほかのひとは聞いていない。その状況で、別に「客」と言ったわけでもなく「お客さん」と一応呼んでいるわたしに、「お客さま」だというTさん。

わたしは、すごいことだなあと思っていた。わたしは派遣のアルバイトで、まあ長くそのお店にいたけれど、しょせんはアルバイト。いつ辞めるかもしれない。そんな存在にも、「ちゃんといつでもお客さまって呼ぼうな」と教えてくれる。

かっこいいひとだ、と尊敬している。

それに、思っていることは態度に出る。とっさの場面ではとくに。だったら、ふだんからきちんと敬意を持った呼びかたをすることは、とても大事なことだと思っていた。おそらくそれは、カタチはないかもしれなけれど、滲み出るものなのだろうな。

わたしは、正直でいたい。

だから表では「お客さま」と呼んでるのに、裏では「客」と雑に呼ぶようなことはしたくないし、せっかくだったら、いつだって「お客さま」と呼んでいたい。

きっと、いろんなことに当てはまるんじゃないかなあ。どっかでは褒めているのに、ちがう場面では悪口を言うような人間ではいたくない。そういうことを試されることが、日々いくつもある。

わたしが表裏のない人間かというと、まったく無いわけでは無いし、ふらつくこともある。

だからこそ、相手への呼びかたを丁寧にしておきたいのだ。

「○○さん」と呼びたいし、できるなら下の名前で呼びたいし、会話のなかで名前を雑に省きすぎたくない。

いつだって、誰に対しても。敬意を持って接していきたいなあと、大学生のあのころからずっと思っている。

なのにときどき、毒舌って言われちゃうんだけどね。気をつけよう。

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