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ひとりで見知らぬ土地で暮らすの、さみしくないですか?と問われた話。

ちょっとずつ、距離が縮まって、ぽつぽつとパーソナルな話をして、そんな友だち……って言ったらあれかな、知り合いができた。半年以上かけて、お互いの扉をちょっとずつ開いている感じ。そんな人から、真面目なトーンで言われたのだ。「ひとりで見知らぬ土地で暮らすの、さみしくないですか?」えっ。どうなの? わたし?

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こんにちは、こんばんは。くりたまきです。

東京から長崎県波佐見町に引っ越してきて、今年の5月で住んで2年になるわたしは、虚をつかれて、瞠目した。

「えっ? えーっ?! どうだろう? うーん、そんなさみしくは、ないですね」

真面目なトーンで訊かれたし、真面目な人が相手なので、わたしも茶化すことなくその場で考え、答えた。

横浜生まれ横浜育ちのわたし。だが、新卒で入った会社で、大阪に住んだことがあるため、未知の土地で暮らすことへの免疫があった。ひとり暮らしもそこそこ長いから慣れている。だから引っ越す前に悩むことはすくなかった。

世の中はすでに感染症が流行したあとで、みんなzoomやらオンラインでのつながりを強化していたから、会えないなりにうれしい機会もあった。っていうか、Twitterがある。Twitterでいろんな人とコミュニケーションを取ることでさみしさは薄れたし、Twitterつながりで九州でもわたしのことを見守っていてくれる人がいる。

車の免許さえ取れれば、暮らしもスムーズ。まあこれはさみしさとはまた違う話か。

絵付とか習い事をすると知り合いも増える。よくしてくれる町の人も何人もいる。

それに、自然が豊かなところで暮らすことの必要性を養老孟司さんは『超バカの壁』のはじめ、いろんなところで述べている。東京や横浜は友だちがいて便利で楽しいところだけれど、癒やされるのは田舎だ。さみしさよりも癒やしが勝っている。

それから。

お笑い芸人のオードリー若林さんのことばを思い出して、話した。

「ネガティブを潰すのはポジティブではない、没頭だ」

これは若林さん『社会人大学人見知り学部卒業見込』で言っていたことばだ。さみしさは没頭に負ける。いまのわたしには、没頭できることがある。

そういうことを、問われたわたしは話した。そのとき思いつく、ぜんぶだった。まだ自分でも腑に落ちた感じまではしないのだけれど、現時点での結論として「歳を重ねて鍛えられて強くなった」ということなのだと思う。図太くなったとも言えるかもしれない。

今日、わざわざ言わなかった話があった。ちょっとばかし重いかなと思って。

新卒で入った会社で、わたしはうつ状態・適応障害になって仕事を休んだことがある。あのとき、没頭できるものがなかった。広告のコピーについて勉強ははじめていたけれど、まだちょっと習った程度で仕事にできるとも言えない状態。コピーは没頭より不安のほうが大きな対象だった。

いまのわたしには「書くこと」を中心に、没頭できることがいくつもある。ちいさなことでも、驚き感動し楽しみを見出す眼も手に入れた。

過去の挫折に、いまのわたしは強くしてもらって、助けられて暮らしているんだなあ。

もちろん、さみしさがゼロになることは、どこに住んでいてもない。ないんだけど、わたし、この焼きものの町で、今日も元気にやってます!

30minutes note No.962

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