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花より団子よりアラサーの娘が見たいらしい父。

今年はお花見、しましたか? 誰かと一緒に桜を眺めましたか。写真を撮ったでしょうか。

わたしの趣味のひとつは、健やかに生きてる父の『遺影スプリングコレクション』を撮ることです。けれど、実家のある横浜から遠く離れた長崎県に引っ越したことで、この趣味も満足に楽しめなくなっています。

▼『遺影スプリングコレクション』についてはこちらのnoteをご覧ください。

もう2年連続で、桜と父の写真を撮っていません。ちょうど桜が咲く時期には、住んでいる波佐見町でもイベントが増えて、週末も仕事になってしまいます。なかなか帰れるタイミングがありません。

でも、一緒にお花見はしています。

わたしは父と、ほぼ毎日電話をしています。引っ越してきてすぐなので、2年くらい経つでしょうか。父はひとり暮らしなので、「感染症に罹患したらどうしよう」という心配もあって電話をかけるようになりました。その延長で、桜が咲くと近所にお花見しに行って、父とビデオ通話をします。

波佐見町には、とってもいいお花見スポットがいくつもあって、しかも都会ほど混んでいません。ゆっくりしゃべりながら、延々と続く桜並木を画面越しに見せることができます。

「どう? いいでしょ」
「すごい、きれいだねえ〜」

月並みな会話をしながら、仕事終わりの夕暮れどきの散歩。10分くらい他愛もないやりとりをして、カメラの向きを変えました。

「じゃ、また明日電話かけるわ」
「まきちゃん、髪の毛伸びたね。顔も元気そうでよかったよ」

満開の桜を見せていたときより、弾んだ声の父。明らかにうれしそうでした。そうか、もう30歳をとっくに過ぎた娘でも、桜よりも見たいと思ってるんだなあ。なんて本人に言ったら「そんなことないっ!」とムキになりそうですけど、そういうことにさせてもらいましょう。

今度、5月に一度実家に帰ります。そのときには、また父のうれしそうな表情を撮って、遺影のコレクションを増やすつもりです。まだまだ使う予定はない(使いたくない)コレクションですけど、写真はたくさんあってもいいですよね。

来年の桜は、一緒に撮れるといいなあ。

30minutes note No.994

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