おせっかいおばさん

 そう昔のことではありませんが、あるところに、おせっかいおばさんがいました。もちろん、自分でそう名乗っていたわけではありません。周りの人たちから、そう呼ばれていたのです。おせっかいというのは、必要以上に人の身の上を心配したり、困っている人がいると事情を根掘り葉掘り聞こうとするような人のことです。おせっかいおばさんは、たしかにおせっかいでした。たとえばこんな具合です。

 ある日、おばあさんが杖をついて歩いていると、どこからともなくおせっかいおばさんがやってきて、こう言いました。
「おばあさん、杖はよくないわ。腕や肩に負担がかかるし、腰を曲げたまま歩いていては、腰の筋肉は衰えていくばかりよ。おばあさん、まだ十年は生きるつもりでしょ。その十年を楽しく過ごすために、今のうちから体を鍛えるといいと思うわ。そのためには、まず、寝転がって毎日ストレッチをすることから始めることね。ある程度体がやわらかくなってきたら、次は、背中を鍛えること。あたしに聞いてくれたら、いいトレーニング法教えるからね、それじゃあ」
 おばあさんはキョトンとしていましたが、おせっかいおばさんは、一方的にまくしたてると、上機嫌で走り去っていきました。

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