いつも元気な訳じゃない。

いつも笑顔な訳じゃない。

いつも泣いてる訳じゃない。

時にはぶつけようのない怒りの拳が
私に思い切り飛んでくる。

今日はボッコボコにやられた。

いわゆる『フルボッコ』ってやつ。

不安定な状態が怒りに変わるのは
分かってる。
それが障害であり
その方の特性であると言う事も
分かってる。

ぶつけようのない怒り
湧いてくる怒り
それは誰にでもある事だから。
ぶつける相手が私しかいない事も仕方ない。

フルボッコは久しぶり。
そんな事も支援する中であるのは
この4年間で経験した。
初めてじゃない。

怒りで言葉が矛盾している。
さっきと言ってた事が真逆になってる。
色んな事に怒りが飛び火する。
『だから話したって無駄なんだ』
そう言って怒鳴られる。
『最初から信用なんかしてない』
そう言って怒鳴られる。

サンドバックだって泣きたくなるよ。

いつでも
その怒りは受け止めようと思う。
それが仕事でもあるし
その方が社会に出た時も
ぶつかる壁であるのだから
その怒りを誰かにぶつける事では無く
違う形で流せる様に。

今はその途中なのだ。
私は大声の中、静かに聞く。

『私はただ、大丈夫だと言って欲しいだけ』
怒りの目は私に留まったままだ。

『不確かなものを私は大丈夫といわなきゃならないのですか？』
私が言うと
そうだと言う。

『大丈夫でない事を大丈夫だと言って、
私は嘘つきになるのですが、それでも大丈夫と言う言葉だけが欲しいのですか？』

『不確かな事だから、少しでも本当の大丈夫に近づける様、努力しているのですよ』

そう言う私に
駄々っこの様に
『大丈夫と言う言葉があれば良い』を繰り返す。

そうですか、と静かに私は嘘をつく。
『では、言います。大丈夫です』

サンドバックだって泣きたくなるよ。
嘘を付いた私も悲しみから怒りになるんだから。

先輩にその事を話すと
『今日は早く寝ちゃってね』と言ってくれた。

人と向き合うってのは、色々とあるものだよね。

その人を思い気遣って付く嘘を
white lieと言うけれど
これってちっとも優しい嘘じゃない。

仕事からの帰り、
『あぁ、今日は月曜だったな』と思い出して
コンビニに寄ってジャンプを買う。
ついでにコーヒーも買って
しばらくぼんやりと過ごした。

この気持ちを家に持ち帰りたくないなと
そう思ったから。

嬉々としてジャンプを読む息子を見て
のんびりいつもの様に長風呂を楽しむ娘を見て
私は私を取り戻す。

今日は頑張ってご飯を作る気になれなくて
サラダを作って
野菜の天ぷらを揚げて
買っておいた生ハムを出した。

子ども達の大好物の生ハム。
番長皿屋敷の様に1枚、2枚と
均等に分けられていく生ハムを見ながら
やっと私は笑う事が出来た。

そんな1月の終わりの日。

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