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ぬくぬくおふとん

以前別の記事で書いたが、私は生まれつきのロングスリーパーである。
そのことが関係しているかどうかはわからないが、私はとにかく眠ることが大好きで、お布団が大好きだ。

まあ、そもそも眠ることが大嫌いだという人は少ないかもしれない。
大人も子供も、許されるのであればお布団でゆっくりぬくぬくしていたいと思っていると思うし、なんならお布団に入りながらスマホを触ったりテレビを観たりゲームをしたり、ちょっとした軽食をとったりなどして生活したいと思っている人も多いのではないだろうか。

ちなみに私は、ベッドに寝そべってスマホを触ることはまれにあるが、お布団に入ったままテレビを観たりゲームをしたりご飯を食べたり、ということは基本的にしない。ご飯は特に、お布団が汚れちゃいそうだし。
私が好きなのは、ぬくぬくの毛布にくるまって、睡眠と覚醒の間をふわふわと漂いながら、ぼんやりと次々頭の中に浮かんでいくあれやこれやを、ぬふぬふと吟味している時間なのだ。
もちろん、睡眠そのものも好きだ。けれど、睡眠中の記憶は残念ながら私にはないため、それは感覚としてはほとんどタイムスリップに近い。

寝つきがかなり良い方なのもあり、布団の中で微睡んでいる時間は、そこまで長くない方だと思う。寝る前と、起きてからベッドから出る前で、それぞれ数分間くらいだと思う。
ああ、起床時間を決めていない休日なんかは、目覚めてもそのまま布団の中でまた微睡み、二度寝して、また目が覚めてふわふわ、というふうに過ごすことも多い。最高のひとときである。

そして、そんな数分間の微睡みタイムで一体何を考えているのかということなのだが。
考えるというほどのことは、特にしてないのだけれど。

体系立てて物事を思考できる時、それはもう微睡みではないと思う。そのとき脳は覚醒していると思うし、なんなら「考え事をしているうちに眠れなくなった」みたいな状況にもなり得る気がする。
微睡みの中にある意識は、決して思考はしていない。
潜在意識とか、無意識とか、そういうものの中に住んでいるあれやこれやが、ぽんぽんぽんと浮かんでは消えて、私はそれをなんとなくぼんやりと、認識しているようなしていないような。
そんな感じだ。

そう、寝つきが悪い人へのアドバイスで、「関連性のない物事を頭の中に順番に浮かべるといい」というものを読んだことがある。
「プール、きゅうり、達磨、高層ビル、キツネザル、鉛筆、ぷっくりシール、黒電話」
そんなふうに、なんの関係もない出来事を順番に思い浮かべていると、脳が「あ、思考しなくていいんだ」と勝手に休止モードに入ってくれるらしい。
私はおそらく完全に無意識に、こういう行動をとっているのだと思う。

そうやって本当に「なんでもない」、おおよそこの世の中で最も無意味と断言できるくらいに、どうでもいい考えで頭の中を満たす。
だんだんと意識がぼんやりしてきて、毛布はふわふわのぬくぬくで気持ちが良くて、手足はじんじんと温かくて、頭がふっと重力に絡めとられるようになってきて、やがて意識を失う。
その数分間が、あまりにも贅沢で、あまりにも心地好いのだ。

さて、この最高の時間に重要なのは、眠りやすい環境と、肌触りのいいお布団である。
眠りやすい環境とはすなわち、暗くて、静かで、適温であることだ。
カーテンの隙間から朝日が顔に差し込んでいては絶対に二度寝なんてできやしないし、夜中に部屋の中で響く時計の秒針の音も睡眠の邪魔になるし、寒すぎて・暑すぎて寝付けないなんて以ての外だ。
できれば部屋は真っ暗にして、音は自分が寝返りを打つときの衣擦れの音くらいでいいし、室温は空調で20℃前後に維持したい。

そして、お布団の質も重要だ。
最近の私はマイクロファイバー製の薄手で温かい毛布に包まって眠ることが多いが、昔はガーゼケットがないと安心して眠れないくらい、ガーゼケットが好きだった。
多分、模範的なタオルケット症候群(タオルケットやぬいぐるみ等の特定のアイテムに触れていることで精神的な安寧を得ようとする症候のこと)だったのではないかと思う。

ガーゼケットの、あのガーゼの部分の、柔らかくて、優しくて、さらさらでふわふわの肌触り。その表面を指でやんわり撫でたり、撫でなかったりしながら眠りにつくのだ。
今でもお気に入りのガーゼケットはクローゼットに保管してあるし(結婚に伴う転居の時に、どうしても処分できなかった)、それはシングルサイズなのでもう使うことはほとんど全くないのだが、それでもそれは私の精神の安寧そのものであったように思う。

とはいえ、今の毛布にも相当愛着があるし、気に入っている。
マイクロファイバー製なだけあり、表面がさらさらとしつつもふわふわを感じることができ、とにかく肌触りが良い。断熱効果が高いため、薄手なのにも関わらず、ひとたび包まれれば起きるまでずっとぬくぬくだ。
私はクイーンベッドに合わせてかなり大きめのサイズを所有しているため、毛布にぐるぐる巻きにされ抱きしめられることができるというわけだ。

そんなふうにお気に入りの寝具に包まり、だらだらと、まったりと、無意味な時間をただただ過ごす。
どうでもいい妄想をしたりしなかったり、毛布の肌触りをなでなでと感じたりしながら、ゆるやかに眠りに落ちていく。

たぶん、おそらく、それは私の人生における幸福の中で、トップ3に入るくらいのひとときだと思う。
そのくらい、お布団でふわふと眠ることが大好きだ。

今回はそんな感じのお話でした。
書いているうちに、だんだん眠くなってきちゃったな。
寒い日が続いているから、温かいものを食べて、温かいお湯に浸かって、温かいお布団の中でぬくぬくと眠りにつきたい。

みなさんもそんなふうに、ゆっくりご自愛くださいね。

ではでは、今回はこのへんで。

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