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父に愛されたかった女の子の涙の色。

彼女は、先日1日で600万位ホストに使っちゃったと笑って言った。600万といったら年収だという人がいてもおかしくないだろうその大金を、1日で消費して笑っていられる彼女は、家賃80万の都内高級マンションに一人暮らししている無職の22歳。それだけの情報源だけでも十分頭の中で黒い糸がこんがらがって固結びしてシコリになりそうな話だけど、なぜか彼女に不思議と興味が湧いたのは、その日 私の横でふかっとソファーに座っていた彼女が、賢そうで 媚がなく 端正に黒髪を真っ直ぐ伸ばした至って普通の

    • 言語表現できないキオク

      例えば自分の好きな本の中で出会った最高に素敵な1小説とか、何度も観た映画の中の忘れ得ぬ風景。そうした言葉だったり映像だったりの中から、着想をせずにはいられない事がある。きっと自分の癖か性癖に近い何かなんだろうけど それは 匂い 人間の思い出や記憶というのは、実体験として出来事を記憶しているのがほとんどなんだろうけど、私はそれ以上の強烈な記憶の中に その時の その場所の その人の その時代の 匂いを思い出す。だから、小説や映画の物語の中で、匂いを連想させる話が好きだ。勿

      • カッコイイや素敵を求めるのは人間の容姿だけじゃない。

        友人のお宅にお邪魔する際、手土産にリキュールやワインのボトルを持参する事が多いのだけど、お酒というのは拘りだすと実にキリがなく奥深いものだし、自分が以前飲食経営をしていた時は、やはり銘柄や味にとことん拘ってメニューリストにしこたま能書き垂れたものなんだけれど、すっかり商売魂が抜け、単純に友人とお酒を愉しもうと大きなスーパーのアルコール売場に出向く今、お酒は確かに原産地とか銘柄もちろん 味も大事なんだけれど、いち消費者になって1番重要視しているのは断然design。 ラベ

        • 恋の持ち腐れ

          仲の良い友達が最近同じワンピースを良く着ているので似合ってるねと褒めたら、驚く程可愛らしく顔を紅くしながら彼女は少し早口で、 「そう!このワンピ凄い気に入ってるの!一目惚れしてね、だから毎日でも着たいくらい好きなんだよ」とあまりに無邪気で、まるでその服とは運命的な出会いだったと言わんばかりのその笑顔が可愛かった。好きなものを好きと言える人がする太陽みたいな表情がずっと脳裏に焼き付いていた。 そして、私はその日の夜、なんとなしに自分の1番気に入っているワンピースを取り出し、

        父に愛されたかった女の子の涙の色。

          Girls

          女性に対する褒め言葉はいっぱいあるけれど、女として生まれたからには、何だかんだ言われて嬉しいのは「かわいい」だろうなと思う。それは多分万国共通だろうし、女性の心に近づく為の、通行手形のような役割を果たす事すらあるかも知れない。 かわいいというそれは、顔立ちだったり 装飾だったり 髪型やメイクを抜かりなくする事で取得できる努力の賜物であり、かわいいの数は女の子達の勲章だ。当然私も言われたらそりゃ嬉しい。 ただ言われないだけだ でも数年前から仲良くなった友人を見ている

          答え合わせのない恋の行方

          女という生き物は、小さな頃から恋に纏わるあれこれが大好きだ。思春期の頃は何時間だって友達と好きな人の相談を長電話して親に叱られたり、20歳を過ぎても恋人の不満や悩み事を女同士で朝まで語り明かす。それが女という生き物なんですよね。わかります 私も一応女だから。 でもそれは、相手ありきのお話なんだという事を横に置いて、自分語りしたい!私の話を!私の気持ちを!ただ聞いて!って具合なのも女の特徴だなぁと思ってる。 私は友達なんかの失恋話を延々と聞いている事が全く苦ではないし、気持

          答え合わせのない恋の行方

          部屋と愛犬とわたし

          犬の一生は人の何倍速もの速さで終わりを迎える。 15年前、千葉県のブリーダーさんから1匹の犬を引き取って来た時、私はそのフワフワで小さいパピーを抱きしめながら、この先 あなたと私が一緒にうまく暮らして行けるのかと正直戸惑っていた。 私には自分の日常があり、仕事があって友達がいて週末の予定がある。 そんな当たり前の日々の中で、犬というのは仕事もなく友達も週末の予定すらない。 それどころか、ご飯を自分で支度したり、排泄の始末や寒暖の調節すら出来ない生き物で、まるで人間

          部屋と愛犬とわたし

          おせっかい

          おせっかいな人が苦手なんです。だけどおせっかいな人ってそれが親切だと思ってるから悪気がないのが大半で、余計なお世話だと邪気にはできないんですよ。むしろそれが会社関係の相手だったりすると心にもなくありがとうなんて御礼をする自分がいるじゃないですか。疲れる。 おせっかいの帝王はやはり母なんだけど。多分母親のおせっかい魂は、90%心配性からきているのだろうと思うと、もしも雨が降ったら困るからと何の根拠なしに折りたたみを持って行かされた子供の頃も、そのおせっかいに反抗せずに大人にな

          おせっかい

          『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』

          先日友人との話しの中で、自分の親は毒親だったからさ。。なんて話が上がったのだけれど、そう皆んな其々多くを語らずとも色々な環境で状況にもまれながらもこうして大人になって、いつしか幼かった自分が親と人として向き合う年齢になったのだなぁとしんみり感じた。 映画東京タワーは、原作は当時飛びついて直ぐに読んだしいわずもがな号泣したのだけれど、主人公のボクが母に対して向ける感情や思いに胸を打たれるというより、1人の母として子供に愛を与え続けるという形の在り方、1人の女という人間から母に

          『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』

          自分を大事にして欲しい

          先日、私が18歳で社会に飛び込んだ当時それはもう本当にお世話になった親愛なる人の命日だったので、晴れた日の午後御墓参りに行ってきた。 ラベンダーの香りがするお線香に火をつけ、私は今年もまだ春を待っている事を独り言のようにお墓に向かって話していたら お前はきっと一生嫁になんかいけないな とあの垂れた目でげらげら笑われているようで、嬉しくてとても悲しくて、また泣いてしまった帰り道 地下鉄に揺られてあの頃私が見ていたテシさんの事を思い出していた。 私の知るテシさんは、いつも自分の

          自分を大事にして欲しい

          イライラしない人

          私の周りには、何かとイライラしてる人が多い。イライラしてすぐに不機嫌になる人というのは、お腹が空いているとか短気だからではなくて、不機嫌になるものの考え方をする癖がある人なんじゃないかと思っていて。不快に思う事に対する対策や回避能力がない、出来事に対して意味付けをして飽く事なく何故だ!何故こうなる!と自分が不機嫌になる理由を見つけてはそもそも自分が嫌だと思い込んでいる(又は決めつけた)認知能力が働いて途端にイライラしだす。 イライラ人間とは勿論関わらないに越した事はないけれ

          イライラしない人

          彼女

          真夜中とんでもない音量で電話の着信が鳴って、何事かと目をこすって画面を見ると大体「彼女」からだ。まだ知り合って日が浅いけれど彼女は懐っこい女の子。彼女からかかってくる着信音は、聞いて!きいて!きいて!と鳴り叫ぶ。それを無視をした事はなくて、でもいつだってこっちの都合は御構い無しで一方的で衝動的だから正直ウザい。のだけれど、私は彼女の着信を無視した事はない。 はいはい… と私が電話に出ると間髪入れず、ねぇ聞いて!ちょっと聞いて!と自分の言いたい事を話し出す。常識がないといっ

          嫉妬の話

          私は嫉妬深くて嫌な女だと言い切りながらも、友人である彼女は白状な薄ら笑いさえ浮かべて恋人への嫉妬心を私に聞かせてくれた。人間誰もが抱く感情の代表格「嫉妬」という感情に苦しめられた経験がある人は少なくないはず。私だって嫉妬した事が無いわけじゃない。 けれど子供の頃に抱いた○○ちゃんが持ってる新しいバービちゃんが羨ましいとか、○○君の足の速さに憧れていたそれと、大人になって抱く嫉妬の正体はまた別の話であり、ましてや恋愛絡みの男女が取り巻く嫉妬心はなかなかのドツボ感が匂う。友人が抱

          嫉妬の話

          可愛くない人

          私は可愛くないから。という言葉を耳にする機会があまりない。というのは、自分に自信がある女の子 はたまた自分を肯定して生きられる女性に私は囲まれているからなんだと思う。 そんなある日に、私は顔が可愛ければ人生が違ったと嘆く女の子と話す機会があった。 彼女は仮に理想通りの可愛い顔になったなら、どんな人生が待っていると思っているのだろう。私は、自分の周りにはびこる造作美人なりの心の穴も知っている。 ちまたでは、可愛いは正義 なんて言われてきたけれど可愛いに属する女の子は誰かにと

          可愛くない人

          何もかも覚えている

          人間に生まれて生きていく過程で、辛い過去や痛ましい出来事に遭遇する経験というのは、決して珍しい事だとは私は思っていなくて、平凡な日常の中や平和に見える暮らしのどこかで哀しみや憎しみを秘めるきっかけはそれぞれあらゆる理由から抱く経験があるんじゃないかなと思っている。 その人がどれ程の苦悩であったかを計り知る事はできない。 それを前提で言うならば、自らの体験や経験から抱えた苦しみに対して絶対に忘れられないとか忘れてはいけないんだという精神だけで自分の自我を保ってしまうと、それが

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          火傷やけど、

          そう先日予期せぬ事故で首と腕に火傷を負ったのですよ。 誰でも生きていれば何らかの理由で火傷をした事があるはずだし、それが軽度であれ重度であれ、痛みを知ってるはず。ヤケドは熱いというか痛い。代表的な皮膚の怪我として、裂ける又は擦れる、はたまた打ち付ける 強打を受けるなんていうどれもこれも痛い怪我があるけれど、皮膚が焼けるってこれはもう独特の痛みで、その度を越すと痛みすらなくなる。昔飲食を経営していた頃は何もかもががむしゃらで夢中だったから、オーブンだったりフライパンだったりで年

          火傷やけど、