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これから始める海外進出 #4中国と米国市場は〇〇が必須!

「海外進出したいけど、どこにどう売ればいい?」

というざっくりとした相談を受けることが、実は、結構な頻度であります。それだけ、漠然としたイメージで海外進出を捉えていらっしゃる企業さんが多いのだと思います。「どこに売るか?」については、#3無料のJETRO最強ツールが絶対オススメ をご参照いたきたいのですが、「どうやって売るか?」は、なかなか難しい質問です。なぜなら、進出国や商品によってベストな方法が1つではない、というか、全然違うからです。

ただ、海外ビジネスの成功を ”海外マーケットで継続的に利益を出すこと” と定義するならば、実体験として、次の2つのことが言えます。

市場と国土の大きい国は、現地代理店と組んで進出した方がいい

市場も国土も小さい国は、直接進出した方がいい

です。今回は①について、データと実例とともに理由をご紹介します。市場と国土の大きい国の代表は、中国アメリカですが、理由は全く異なります。

■中国は「通関」と「天猫」問題をクリア出来れば半分成功

中国は、当局の規制がコロコロ変わるため、現地通関のことをよく理解している中国企業と組んだ方が何かとスムーズです。当社も初めは自社だけで頑張ってしまったため通関で荷物が止まってしまうなど何度もトラブルに見舞われ約1年棒に振りました。

さらに、中国のBtoC-EC市場は世界一の規模を誇り、JETROによると2021年の成長率も対前年比約21%増とその勢いは止まるところを知りません。その巨大市場を支えるのが、中国BtoC-EC市場の約5割を占めるECプラットフォーム「天猫」(Tmall)で、去年の11月11日「独身の日」セールでは、一日で7兆円超の流通総額を記録しました。中国進出を考えるなら「天猫」は外せませんが、中国本土での営業許可証を持った法人でなければ出店できないため、やはり中国企業と組む必要があるのです。というわけで、中国の良きパートナー(代理店)さえ見つかれば中国進出の半分は成功と言えるほど、代理店探しは重要です。

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天猫国際の弊社サイト

ちなみに越境ECの「天猫国際」(Tmall Global)は、中国本土に現地法人を持たなくても出店が可能なため、資生堂、花王、ムーニー、ミキハウスなど有名日本企業も出店していますが、知名度が低いブランドは広告費をかけてかなり露出を増やさないと、まとまった売上を作るのは難しいと感じます。当社も1本600円(現地価格1360円)の歯ブラシを「天猫国際」で約3年間販売しましたが、売上が伸び悩んでいたため、2021年から現地代理店と組んで「天猫」に切り替えました。結果は、「天猫」を始めて約1か月で「天猫国際」の3年間の売り上げを超えました。これは、翌日配送が基本の「天猫」と比べて配送スピードが遅い「天猫国際」は、「このブランドのこの商品が欲しい」と目的を持った顧客が多く、知名度の低い当社の商品までたどり着く顧客が少なかったためと思われます。

■アメリカは、大手チェーン店導入を目標に代理店を選ぶのがオススメ

一方、アメリカは、海外企業が活躍できるビジネスのインフラが整っているのが、中国と一番違うところです。世界一の経済大国とあって、人々の購買意欲は盛んで、目新しい製品、ライフスタイルが豊かになる製品、品質の良い製品、デザインの良い製品はよく売れます。パンデミックの影響もあり、2022年の米国のEC比率は15.0%と増えてきていますが、依然最大の販売チャネルは実店舗です。一社でもいいから大手チェーン店と取り引きができれば、一気に売上を伸ばすことができます。例えば、世界15か国に進出している「ウォルマート」は全米だけで約5000店舗、高級グロサリー・ストアの「ホールフーズ・マーケット」は米国・カナダ等で約480店舗を運営しており、一店舗あたり年間10万円分買ってくれたとしても、4800万円の売上です。当社も、現地代理店がパンデミック中もがんばって全米最大の高級百貨店「ノードストローム」に何度も売り込んでくれたおかげで、数百万単位で商品(歯ブラシ)を定期購入してくれたので大変助かりました。求められる品質と規模を見ても、日本のものづくり企業にとって一番やりやすい市場ではないかと思います。

ただ、先程、依然最大の販売チャネルは実店舗と言及しましたが、近年は、顧客の行動の変化、小売業界の激しい競争により、成功している小売店は、オムニチャネルが当たり前になってきています。(オムニチャンネルとは、ネットとリアル店舗のマルチチャンネルで購入でき、受発注、梱包、配送、代金回収までの買い物体験を、シームレスに一貫して提供する販売形態のこと)

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オムニチャンネルはもはやスタンダート

ディスカウントストア大手の「ターゲット」は、オンラインでの注文を実店舗とEC配送センターを通じて受けることで様々なチャネルの在庫を連携させ、顧客に「宅配」(当日配送、無料での2日以内の配送)か「店舗での受け取り」の選択肢を提供しています。
つまり、「ネット」と「リアル店舗」のマルチチャンネルで購入できることは当たり前で、決済や会員カードの管理から、顧客サービス担当者とのやり取り、商品イメージの確認や価格比較に至るまで、様々な形でモバイル端末(スマートフォンなど)を使って買い物をする前提に、「売れる商品」であることをアピールすることが大切です。#2価格で勝負かブランディングか で触れているように、日本のものづくり企業にありがちな「技術」や「伝統」アピールではなく、ユーザーが欲しいと思う商品作りと売り出し方が必要なのです。

話はもとに戻りますが。。。大手チェーン店のバイヤーは、常に目新しい商品を探しているので展示会で出くわす頻度も高いです。しかし、日本のバイヤーと決定的に違うのは、商品の仕入れに「首」がかかっていることです。文字通り、売れない商品を仕入れてしまったら「クビ」なので、真剣です。そのため、導入するまでに時間がかかるのが普通です。
当社商品を米国大手チェーン店のバイヤーに買ってもらうまでに、商談をはじめてから約1年かかりました。何度も確認されて、日本と違うな~と感じたところは、以下の通りです。

①納期は厳守できるかどうか

ホリデーシーズンに向けて、店頭での販促やマス広告による宣伝だけでなく、インターネット広告やメールでのアプローチ、SNSを活用したマーケティングなど、デジタルツールをフル活用して顧客との接点を作っていくため、商品が間に合わなかったら全てがパー。必ずバイヤーのクビが飛ぶので、納期は死守です。

②商品のWebサイトやECサイト、SNSでの運用

消費者は実店舗で商品を目の前にしながら、スマートフォンで情報検索や価格比較をするため、WebサイトやECサイト、SNSや口コミサイトでの情報は売上に大きく影響します。これらの運営と管理は各ブランドの責任で必ずチェックされます。ちなみに、独調査会社スタティスタによると、2022年には「買い物の前や最中のデジタル端末の利用」実店舗の売上の58%に影響を及ぼすようになると予測しています。

①納期は厳守できるかどうかの話し合いは、通関や各店舗への配送に問題はないか、求められる書類を迅速に提出できるかなども含み、長期間かかりますし、粘り強く交渉するには、やはり現地の物流と商流に知見のある代理店の力が必要になってきます。

②商品のWebサイトやECサイト、SNSでの運用に関しても、現地代理店と組むのが、多少フィーは取られたとしても、結果的に近道です。私たちも当初は自分たちでやってみようと模索しましたが、ちょっと調べただけでやめました。なぜなら、アメリカには、デジタルマーケティング業務を請け負う専門の会社がかなりあり、費用もそこまで高くありません。
ちなみに「日本のWebページがあるから、とりあえず英訳しよう」というのはやめた方がいいです。(詳しくは、#5海外向けWebサイト構築で気をつけるべきこと をご参照ください)

以上のことから、市場と国土の大きい国(中国とアメリカ)は、かすっただけでもかなり売上が期待できるので、多少フィーを取られても、良い現地代理店を探すことが、成功へのカギになると考えています。

#5海外向けWebサイト構築で気をつけるべきことへ続く

これから海外マーケット進出を考えられる企業様から、すでに海外展開されている企業様まで幅広くサポートしております。お気軽にお問い合わせください。

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