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【読書記録】2024年4月7日〜4月13日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 今週の話題といえばなんと言っても「本屋大賞2024」の発表でしょう。
 とは言うものの、気になる作品はいくつかあったにもかかわらず、なぜか今年は触手が動かなくて、結局ノミネート作は一冊も読んでないという。

 とりあえず、本屋大賞の公式ページはこちら↓↓

 そうそう、今年の本屋大賞で気になったのは、いわゆる「大賞」ではなくて「超発掘本部門」。
 受賞したのは井上夢人さんの〝プラスティック〟。
 実は3年前に井上夢人さんがマイブームだった時期があったのに、なぜかこの本だけは読んでなかったという。
 惜しかった。
 もし読んでたら「オレ、この本読んだことあるぜ!」的な感じで自慢できたのに(誰にだよ)」。

 さぁ、気分を切り替えて今週出会った本たちをご紹介します。

【2024年4月7日〜4月13日に出会った本たち】

⚪️(再読)お誕生クロニクル

著者 古内一絵

【内容紹介】
 誰もが平等に迎え、一つずつ年を取るお誕生日。喜びに溢れ、生まれたことに感謝する楽しいお誕生会。大事な人たちに祝ってもらう特別な一日。でも、そんな理想の誕生日は、現実にあるの――? 昭和、平成、令和。現代を惑いながら生きる様々な世代の人々が、大切な誰かの、自らの、誕生日を迎えて新しい一歩を踏み出していく感動の連作短編集。

出版書誌データベースより

【感想】
 この本の単行本が刊行されたのがコロナ真っ只中の2020年9月。手に取ったのはほぼ2年前。
 コミュニケーションが苦手な図工専科の教師、シングルで娘を育てるヤンママ、意識高い系中堅社員、最新ガジェットについていけない中年人事部長、東日本大震災当日に双子を出産した母親、認知症の母親を介護するベテラン教師など、どの主人公も悩み苦しみ疲れ果て…。それでもなんとか踏ん張って立ち上がろうと奮闘する連作短編集。
 物語の中に出てきた対話式AIの話で「話しかけるより自分で検索した方が早いのでは?」という感想には、大いに共感。
 なにせウチのア◯クサに「Zeebraの曲をかけて」って話しかけたら、なんとシマウマの鳴き声流してくれたからね。

⚪️透明カメレオン

著者 道尾秀介

【内容紹介】
 ラジオパーソナリティの恭太郎は、素敵な声と冴えない容姿の持ち主。バー「if」に集まる仲間たちの話を面白おかしくつくり変え、リスナーに届けていた。大雨の夜、びしょ濡れの美女がバーに迷い込み、彼らは「ある殺害計画」を手伝わされることに。意図不明の指示に振り回され、一緒の時間を過ごすうち、恭太郎は彼女に心惹かれていく。「僕はこの人が大好きなのだ」。秘められた想いが胸を打つ、感涙必至のエンタメ小説。

出版書誌データベースより

【感想】
 道尾秀介さんはずっと気になる作家さんで、いつかは手に取りたいと思っていましたが、YouTubeの紹介動画なんかを観るとけっこう心を抉ってくる作品が多いようで二の足を踏んでいました。
 そんな中見つけたこの本は、見た目はちんちくりんだがイケボのラジオパーソナリティの恭太郎と、恭太郎が通うバーに集う個性豊かな客たちが、ある事件に巻き込まれるという、小劇場演劇っぽい設定と展開の物語。
 バーに集う人々がみんな心に傷を抱えていて、その真相が明らかになった時、とっても切ない気持ちになりました。
「完璧じゃないって、いい」。

⚪️深追い

【内容紹介】
 不慮の死を遂げた夫のポケットベルへ、ひたすらメッセージを送信し続ける女。交通課事故係の秋葉は妖しい匂いに惑い、職務を逸脱してゆく(表題作)。鑑識係、泥棒刑事、少年係、会計課長…。三ツ鐘署に勤務する七人の男たちが遭遇した、人生でたった一度の事件。その日、彼らの眼に映る風景は確かに色を変えた。骨太な人間ドラマと美しい謎が胸を揺さぶる、不朽の警察小説集ー。

裏表紙より

【収録作品】
深追い
又聞き
引き継ぎ
訳あり
締め出し
仕返し
人ごと

【感想】
 横山秀夫さんの、地方の警察組織が舞台の7つの短編集。
 ド派手な事件は起こらないし、やる気満々のカッコいい刑事も登場しません。その代わりと言ってはなんですが、組織に縛られたり、権力を傘にきたりする刑事や警察組織では裏方的な存在の人が出てくるので、かえってリアルと言えるかもしれませんが。
 どの話も誰でも持っているココロの中の仄暗い部分をチクッと刺激してきます。でもその中にも一筋の光があって…。
 引退宣言をした伝説の大泥棒が語った「せっかく生きているんだから、何か残したい」という言葉が心に染みました。自分は死ぬまでにこの世に生きた証を残せるだろうか。
 警察組織の人間関係が子供の世界にまで波及する話がとてもツラくて、なんだかやるせない気持ちになりました。

⚪️W県警の悲劇

著者 葉真中顕

【内容紹介】
 W県警の熊倉警部が遺体となって発見された。彼に極秘任務を与えていた監察官の松永菜穂子は動揺を隠せない。県警初の女性警視昇任はあくまで通過点。より上を目指し、この腐った組織を改革する。その矢先の出来事だった。「極秘」部分が明るみに出ては県警を揺るがす一大事だ。事故として処理し事件を隠蔽できないものか。そんな菜穂子の前に警部の娘が現れ、父の思い出を語り始めたー。

出版書誌データベースより

【収録作品】
洞の奥・
交換日記
ガサ入れの朝
私の戦い
破戒
消えた少女

【感想】
 架空のW県警が舞台の連作短編集は、どれも読了後「エー、ウソ、マジ!?」と声をあげたくなる展開。
 物語の中心的な人物はW県警の松永菜穂子警視。彼女は優秀で志も高く、古い体質の警察組織を変えるべく出世街道を直走ります。
 それはそれとして各話に思わぬトリックが仕掛けられていて、これがまさに「度肝を抜かれる」展開。
 純粋に驚いたのは〝ガサ入れの朝〟これはまんまと騙されました。
 個人的には〝交換日記〟も捨て難いけれど、〝洞の奥〟と〝消えた少女〟の繋がりは秀逸!
 「真実とは暴くものではなく、コントロールするもの」なんて平気で言ってのける組織はうんざり!

⚪️政治的に正しい警察小説

著者 葉真中顕

【内容紹介】
 飛ぶ鳥を落とす勢いの新鋭作家・浜名湖安芸は、「ポリティカル・コレクトネス」をコンセプトにした警察小説という“意識高い”依頼を受けた。パワフルでエキセントリックな編集者を相手に、ハマナコは超大作を書き上げる!?(「政治的に正しい警察小説」)大学生の僕は、偶然通りかかったカレー店で思い出の味に再会した。幼いころに生き別れた母の味だ。女店主にその「秘密の隠し味」を訊ねると…。(「カレーの女神様」)そのほか、児童虐待、将棋、冤罪、尊厳死など、多彩なテーマの六編を収録するブラックユーモア・ミステリー集。著者初の文庫オリジナル作!

出版書誌データベースより

【収録作品】
秘密の海
神を殺した男
推定冤罪
リビング・ウィル
カレーの女神様
政治的に正しい警察小説

【感想】
 すべてが「ええっ!?」となるブラックな6編。
 ブラックとは言ってもそれぞれ角度が違っていてしばしば考えさせられることも。
 〝リビング・ウィル〟はタイトル通り「尊厳死」を扱っていて、本文中にあった「間違って生かすのと、間違って殺すのは、前者の方がいくらかマシ」という言葉と、一捻りある展開に現代医療や介護の闇を感じました。
 〝カレーの女神様〟は感動話かと思ったらまさかの展開に唖然。
 表題作は最近流行りのポリコレがテーマのドタバタ劇ですが、言い換えたからって差別は無くならないし、問題の解決にはならないのではないかと。

⚪️花々

著者 原田マハ

【内容紹介】
 島を愛する旅人の純子と、故郷の沖縄を出て東京のキャリアウーマンとして生きる成子。「おんな一人旅の宿」というテーマで奄美諸島の神秘の島々を取材する二人だが、彼女らが見つけたものは、取材の目的以上の大きなもの。それは、それぞれが背負う「宿命」だったー。第1回日本ラブストーリー大賞・大賞作『カフーを待ちわびて』の明青と幸の暮らしの傍でくり広げられていた、もう一つの感動ストーリー。

裏表紙より

【収録作品】
鳳仙花
ねむの花デイゴの花
さがり花
千と一枚のハンカチ
花だより

【感想】
 〝カフーをまちわびて〟のスピンオフとのことで手に取りました。
 沖縄の離島を舞台にした、立場や境遇が異なる二人の女性を中心に据えた物語は、家族旅行で行った沖縄の日差しや海の青、そして色とりどりの花々を思い出させてくれました。
 SNS全盛のこの時代に手紙で近況を伝え合える友人がいるって、本当に素敵だと思いました。
 今まで2回沖縄に行って、その度に住んでみたいと思ったのだけれど、たまに遊びに行くのと実際に生活するのはやっぱり違うんだろうな。まぁ何処でもそうなんだろうけど。
 あーでもやっぱり憧れるなぁ、沖縄。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか。
 今週どハマりしたのは葉真中顕さんの2作品。
 実は3年前に〝ロスト・ケア〟を読んでいて気にはなっていたのですが、あの月は本屋大賞2021のノミネート作、夏川草介さんの〝神様のカルテ〟シリーズや阿部暁子さんの〝パラ・スター〟、おまけに新興宗教がテーマの小説を集中的に読んでいたりと、まぁ、早い話が埋もれてしまったんですね。
 …で今回手に取ったのも本当に偶然。まさに読書の神様が引き合わせてくれたのではないかと。
 今月後半はこのまま葉真中さんの作品と向き合うことになりそうな予感。

最後に、
 読書っていいよね。


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