見出し画像

【連載小説】『パタイトのテル』2s3w「幻覚」

 気がつく。また白い空間にいることが朦朧としながらもわかった。

「ふpふ、こいつにケメカを売ったバツが当たったム」

「そんムも xOゃムいよぅまさか目をやられるとは思わAかった…・.」

「まぁ仲良く◎てやってくれ私の息子へんだからム」

「ホメトに恐ろOいやつだよ」

 かすかに話声が聞こえた。

*****

 目を覚ますとアイノウがタハトの手を握ってそばにいた。

「君も、難儀だな……。苦しいことも悲しいことも、僕の知っていることも知っているんだろう?」

 タハトは弱った体で言った。アイノウはしばらく黙ってタハトを見ていた。細い指を彼のおでこに滑らせる。彼は再び目を閉じた。

*****

 目が覚めると広い平原に出た、あたりを見渡すと森に囲まれている。

「.........」

 タハトはさっきのことが嘘のようにすがすがしく気持ちがいい気分だった。腕を大きく広げ、笑顔で深呼吸したりする。少し歩くと、この広い平原は池に囲まれているということが分かった。

 タハトは誰かいないか探すことにした。所々にきれいな花が咲いている。ヒマワリ、アジサイ、スイレン。そよ風が花びらをなですーっと彼の足元を通っていく。しばらく歩き続けていたら、子供の楽しそうな声が聞こえてきた。近くで見てみると身長が低い子もいたり、タハトと同じぐらいの子供もいる。みんな楽しそうに遊んでいる。少し離れたところに眼帯をした大人が一人立っていた。

 タハトの記憶は、そうまた消えていた。

 今度の彼は、子供たちと遊ぶことにした。サッカーや、鬼ごっこ、かくれんぼ、水切りたくさん遊んだ。彼は少し離れた場所にいる大人の人を見つけた、その人はじっと左目でタハトを見ている。

 すぐに仲良くなったマイクが言った。

「早くこっち来いよ~」

 マイクは何かに気を使っている様子だ。

「うん!」

 タハトはすぐに元気よくマイクのほうへ走って行った。

 その途中、少女が一人で花畑のなかにいて、蝶と遊んでいるのがタハトの視界に入った。

「何か大切なものを忘れている気がする。でも、どうしても思い出せない」

「早く早くー」

 とみんなが呼ぶ。タハトは幸せそうに再び走り始める。

 みんなと一緒に鬼ごっこをしているその時だった。急に女の子たちが割り込んできたのだ。

「ちょっと!ここはあたしたちの遊ぼうと思ってたところなんだけど、遊ぶなら向こう行ってくれる?」

 と一人の女の子がとげとげしく言った。

「なんだよ姉貴!あとから割り込んできといてなんだよ!」

 マイクが強く言い返す。どうやら、二人は姉弟らしい。

「あんたがいつも水辺の近くで遊んでるから、こっちに来てやったんでしょ!」

「おれだって!う、」

 マイクは言おうとしたことを口でふさいだ。

「おれだってなによ!」

(またマイクとカミーラの大ゲンカだよ……)

(最近多いよね~)

(特訓中にも維持張り合うし)

 かすかに声が聞こえた。

 そして、二人の喧嘩が肥大化していくと、姉であるカミーラが泣き始めてしまった。

 マイクはそれを見ると、瞳孔を縮ませ、口を軽く開けた。

「あーあ。なーかしたー」

「ねえ、カミーラ。もうあっち行こう!」

 次々に、女の子たちはその場を離れていく。マイクはぎりっと歯ぎしりをした。気まずくなったのか、男の子たちもその場から離れていってしまうのだ。

すると広場の真ん中にはマイクとタハトだけになった。

「なぁカミーラのことどう思う?」

(ギくっそれ僕に聞くー?!)

「ん、んー。仲良し、かなぁ」

 タハトひどく、マイクの顔色を伺いながら言った。

「なんでだよあれ見ててそんなとこあったかよ」

「まぁまぁ喧嘩するほど仲がいいっていうし」

「ちゃかすなよ」

 そういうとマイクもどこかへ行ってしまった。

「……どうして、あの二人はいつも喧嘩ばかりしてしまうんだろう」

 タハトは、マイクとカミーラを探しに歩き出した。

「マイクぅー!。カミーラぁー!。みんなー」

 どれだけ呼んでも返事がない。おかしなほどに。みんなはどこかに行ってしまったようだ。

「ええ、ほんとにどこー」

 毎日が賑やかだったこの島にみんなが急にいなってしまった。タハトは心細くなったのだろうか、あたりをキョロキョロし始め、腰を低くした。

 しかし、そうやって歩いていると一人の子供がたっていた。マイクだ。

「おーいマイクー!もーやっと見つけたぁー。みんなはど、」

 タハトは、声をひきつらせるほど恐ろしいものを見た。一体、そこにあったものとは……。


次回 明後日 投稿。

To be continued..

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?