見出し画像

Kanye West(現:Ye)の『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』を聴いてみた編

こんばんは、内山結愛です。

Pitchforkの年間一位を取ったアルバム縛り編!

今回は Kanye West(現:Ye)の『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』(←2010年一位)を聴いてみた編をお届けします。

強気なリリックで描かれる華やかな内省、壮大な構成、印象的でキャッチーなメロディ、豪華なゲストボーカル陣。

Pitchforkから10点満点の最高評価を受けた一枚。

ぜひ、読んでみて聴いてみてください!

1.Dark Fantasy

冒頭のキュートな声の語りは女性ラッパーのNicki Minaj。少し前にレビューしたJustin Vernon(Bon Iver) もバックボーカルで参加してるんだ…!0:25〜「Can we get much higher?」を皮切りに一気に壮大な展開へ。包むコーラスとバロック式のオルガンの音らしい。1:20〜格好良すぎる。トラックのズンズンしたビートが気持ちいい〜!退廃と快楽、酒、痛みを歌っている。 3:50〜コラージュの仕方が面白い。こんな壮大な HIPHOPなかなかない。

2.Gorgeous feat. KiD CuDi & Raekwon

ワイルドだけどオラオラしすぎてなくて、余裕がある大人なワイルド。お洒落ブルース。これは自分が強くなったと錯覚する。人種問題の不正義に立ち向かう姿を歌っている。トラックは淡々と進んでいるけど、メリハリと高揚感のあるラップでまったくダレることがない。3:45〜ここの一連の流れが最高。4:52〜良いギターの音。

3.POWER

これは圧倒的パワー。コーラスに掻き立てられる高揚感。団結感なんかも生まれる。ビートが暴力。0:35〜King Crimsonの「21世紀スキゾイド・マン」が超クールにサンプリングされていてビリビリ来た。ダークヒーローのようなラップもめっちゃ格好良い。アタックが強くて、ボコボコなビートと合わさって最強。ヒートアップしていくような展開にテンション上がる。4:35〜笑い声とカオティックなラップ、サンプリングが入ってくるタイミング、全部素晴らしい。

4.All Of The Lights (Interlude)

寂しげで美しいピアノの音。バイオリンの音が冬。切ない…苦しい…

5.All Of The Lights

繋がり方アガる。「All Of The Lights」と言うたびに格好良い。ビートのズンドコボコボコ具合堪らない。ドラムンベースがイケてる。歌詞にMJ(Michael Jackson)が出てくる。スーパースターになった時の重圧を歌っている。3:14〜ここ好きすぎる、ビートがインダストリアルのような凶暴さ。興奮して壁殴りそうになる。ホーン系の楽器が鳴ると壮大になる。どの曲もゲストボーカルが豪華だな〜

6.Monster feat. JAY-Z, Rick Ross, Nicki Minaj & Bon Iver

凄くハロウィンだ。早速ガチ獣が吠えてる。0:15〜ビート気持ち良すぎておかしい。凄く過激なフレーズが5秒に一回くらい聞こえてくる。何回「Mother 〇〇」と言っているのか数えたくなる。1:20〜ここ周辺のフレーズ、リズムが最高。言葉の置き方が良い。2:55〜この音数の少なさでこの迫力。またガチ獣が放たれる。Nicki Minajが凄いな、女王が君臨。4:15〜アクセントとがなりによる表現力が凄まじすぎて超格好良い。歌詞もKanye Westと、選ばれしゲストボーカルたちが歌うからから説得力がある。

7.So Appalled feat. JAY-Z, Pusha T, Prynce Cy Hi, Swizz Beatz & The RZA

悲壮感に満ちている。悲しげだけど、激しいラップ。強い言葉が重たく吐かれる。トラック自体の曲調、リズムの変化は無いのに、表情豊かなラップとその抑揚でずっと集中力と緊張が続いている。4:04〜音が無くなる毎回グッと来ちゃう。5:45〜声がめちゃくちゃ太くて強そう、格好良い…

8.Devil In A New Dress feat. Rick Ross

うっとりするようなロマンチックな雰囲気。Smokey Robinsonの「Will You Love Me Tomorrow」がサンプリングされているらしい。元のボーカル、めちゃくちゃ加工されていて面白い、こんな風に遊べるんだ。ピアノの音に胸がときめく。壮大。アウトロのギター格好良い。HIPHOPでギターソロ聴けちゃうの、やっぱり新鮮な気がする。Kanye Westは開拓者。

9.Runaway feat. Pusha T

一音ずつ弾かれているピアノの音が鳴り続けている。ちょっと不気味な雰囲気。0:40〜ピアノの音がこんな風に活用されるなんて想像もできなかった。凄い。コーラスの使い方がゴージャスで煌びやか。1:20〜メロディがめちゃくちゃ良い。Kanye West自身の不名誉な行いを「Let’s have a toast for the douchebags」と、明るく歌い称えているのがまた良い。世間からのバッシングから逃れるために、隠居していたり、制作時期の困難や制作背景を含めてリリックを読むと、凄く強い人だなと思う。ダメな自分を認められるのってとても難しいことだ。6:00〜イントロで鳴っていたピアノの音をベースに、さらに見たことない景色を広げてくれる。加工されたカニエウェストの声と、ストリングス、ビリビリなギター?電子音?のような音。美しきノイジーさ。

↓MVはなんと34分にも及ぶ超大作!もはやショートフィルムだ…

10.Hell Of A Life

引き続きビリビリしている。なんかクセになる。ちょくちょくプチ爆発が起こっている。0:50〜メロディが好きすぎる。その後急にほんのりアジアンテイストな電子音のメロディが流れ込んでくるの面白い。この曲もダークヒーローなオーラで満ちていて格好良い。夜が似合う。2:28〜この爆発、凶暴さが好き。4:00〜突如声が近くなって、リアルで、両耳に直に語りかけられているみたいになる。怪しげで摩訶不思議な世界観が広がっていく。危なげな呼吸音。

11.Blame Game feat. John Legend

哀愁漂っている。ピアノが相変わらず良い。過激な言葉に耳が慣れていたせいで、甘めの声で「I love you」とか聞こえてくると動揺しちゃう。過激とI love youと過激のサンドウィッチ。凶暴さと美しさの駆け引きが見事。ずっと荒地に咲く一輪の花みたいなバランス感覚。2:42〜John LegendとKanye West が交互で両耳に語りかけてくる。二人の会話の中継役…伝言係みたいな気持ちになってくる。ストリングスとピアノのコンビネーション、良い。6:30〜気になる男女の会話。ヒートアップしていく。美しいトラックと過激な言葉たち、この歪な組み合わせ中毒性ある。

12.Lost In The World

アカペラで始まる。機械感のある声の加工。声が良い。これまたBon Iver!「woods」という曲がサンプリングされている。近未来と民族的なエッセンスが混ざり合っている。迫力ある。このサンプリング曲が主軸となって壮大に展開していっている。格好良い。「よくそんなこと思いつくな〜」の連続。

13.Who Will Survive In America

凶暴なビート格好良い〜!とか興奮していたらいつの間にかこの曲に繋がっていた。Kanye Westは天下を取ろうとしているんだなと感じる。「誰がアメリカで生き残るでしょうか?」と繰り返し問うラストが格好良い…



↑CDジャケット中央の画像は差し替えられたもの
オリジナルジャケット写真の検閲版では、ピクセル化されている(↑サブスクはこんな感じ)…!
オリジナル版のイラストはCDの盤に描かれていた…!㊙️


Kanye West(現:Ye)(1977年6月8日- )は、アメリカ出身のラッパーであり、音楽プロデューサー、ファッションデザイナー。2020年の段階でグラミー賞に69回ノミネートし、21回受賞している。本作は2010年にリリースされた5thアルバム。


このアルバム制作時期は、恋人との破局で精神的にも疲れていたり、2009年VMAで最優秀女性アーティスト・ビデオ賞を受賞したTaylor Swiftのスピーチ中に泥酔した状態で乱入し、Beyonceが受賞すべきという旨の言葉を放つという事件を起こし、Kanye Westの世間からのイメージはかなり落ちていたそうです。

この事件で大きな批判を受けたKanye Westは音楽制作を一時休止して、しばらく隠居状態を続け、最終的にハワイに六ヶ月間移住していたとのことで…相当メンタルに来てただろうな…

Kanye Westも隠居とかするんだ…

本作のレコーディングも秘密裏に行われることが徹底されていて、スタジオには「ツイート禁止」、「写真禁止」など、「カニエ戒め」と呼ばれる紙が貼られていたらしい。

「カニエ戒め」がツボすぎる。

確かに授賞式での時間は良い行いではなかったかもしれないけど、音楽で世の中を黙らせる(という言い方はあれだけど)ことができるのは格好良いし、実際にこのアルバムが彼のキャリアを救っているから凄い。

辛口なメディアで知られているPitchforkで満点を取るのもイカしてるな〜

本作が「世界初のプログレラップアルバム」や、「68分間のプログレラップの巨大作品」と評されているを見たけど、とても納得感があった!

どの曲も壮大でビックリした…とても新鮮な感じがしました。

King Crimsonの「21世紀スキゾイド・マン」がサンプリングされている「POWER」が好き!

名声に固執するというのは生きづらいかもしれないけど、無敵感があって、強くて、過激なリリックが逞しくて格好良かったです。勇気を貰える。


次回からはジャーマンプログレシリーズに突入!なんだか久しぶりな感じ!

次回は Faust 『Faust(ファースト・アルバム)』を聴いてみた編をお届けする予定です。

最後まで読んでくださり、有難うございました。


サポートをしてくださった貴方には57577で貴方宛のお礼のメッセージをお送りします!