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インド料理のこと4-1 Ethnic Cuisine: the significant 'other'/Ashis Nandyを読んで

このエッセイには、2003年版と2021年版があります。2003年に発表されたエッセイのタイトルは、「Ethnic Cuisine: the significant 'other'」でしたが、2021年に出版された本ではタイトルが 「ethnic cuisine」に変更されています。
以前から、2003年のエッセイに目を通していましたが、2021年の新しい本に「ethnic cuisine」というエッセイが掲載されているとのことで、「Ethnic Cuisine: the significant 'other'」の続きか?と、すぐに買って到着を楽しみにしていました。が、同じエッセイでした….。
せっかく買ったのだから、このエッセイをまとめようと思いました。
数ページの短いエッセイですが、エスニック料理が好きな人は、ぜひ読んで欲しいです。私のまとめより断然面白いと思います。

序文では、アパデュライがエッセイで掲げた?問い[1]に答えています。

Arjun Appaduraiの「なぜ、一般的なインド料理[2]は発展しなかったのか」という問いの答えとして、50年前の非都市部のインド人からみた他の地域の料理は外国の料理ではなかった。 彼らから聞いた食べられない料理のほとんどは、「奇妙な」インド料理だった。
他の種類の食べ物という考えがなかったわけではない。
しかし、そのようなものとして認識されるには、重要な「他(の)」料理である必要がある。

Ethnic Cuisine: the significant '
other'/Ashis Nandy

このエッセイは、現代人とエスニック料理(民族料理)の関係を題材にしています。
著者は、エスニック料理が、現代社会のコスモポリタニズム(世界平等主義)のもとで、ある文化を代表するものとして大切にされている反面、現地の文化や生活と異なった象徴的な代用品になっていると指摘しています。
本来、世界平等主義のもとで尊重されるべきものは食や料理を生み出した文化なのに、食や料理が文化と同じように尊重されていることへの違和感を問題にしています。

「他(の)」重要なという考え方が1つのキーワードになっているのかなと思います。

続く

脚注
[1]アパデュライの問いとは、なぜ、これまで一般的にインド料理といえるヒンドゥー料理が生まれなかったのかだったと思うのですが。Nandyの言及は違うエッセイなのかな?一応、原文載せます。 Let us now consider the question of why a pan-Indian Hindu cuisine did not emerge in India. (Appadurai1988:11)
Arjun Appadurai's question—why a pan-Indian cuisine did not emerge(Nandy2002:1)。
[2]本文ではpan-Indian cuisine。

参考文献
Appadurai, A. 1988 How to Make a National Cuisine: Cookbooks in Contemporary India. Comparative Studies in Society and History Vol. 30(1), pp. 3-24. Cambridge University Press.
Nandy, Ashis. 2002 Ethnic Cuisine: the significant 'other'.India International Centre Quarterly Vol. 29, No. 3/4, India: A National Culture? (WINTER 2002-SPRING 2003), pp. 246-251.India International Centre.


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