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5年目の冬のある日


今年はどこ行こか。
ずっとほしいなて言うてたプレーヤーを買いに行こや。
そういえばさ、ケーキを準備するのを忘れてたな。
あ、ほんまやな。

私たちの記念日は2人で使えるものを買うこととオーダーケーキを頼むことが毎年のお決まりなのだが、4回目の記念日の数日前に頼んでいないことを思い出した。
慣れというものなのか、有難みが薄れているのか、そういう特別重要とまではいかなくても忘れたとわかるとちょっと落ち込むようなことが疎かになってきているような気がしている。
ついでに手紙もしばらく書いていない。思っていることを口に出すことが苦手だから、少し前までは割とこまめに書いていたのだけども、いつからか書いてない。

パートナーとの生活が私にとって日常で、特別ではなくなっているということなんだろうが、今までできていたことができなくなっていると気づいてしまって、少し悲しい。


当日は行ってみたかったお店でランチをして、お目当てのものを買いに行った。
ランチの場所は相談して決めるが、大体が私の提案が発端となる。また、出かける前の私の支度は時間がかかるが、それも嫌な顔ひとつせずに待ってくれる。最初からそうで、いつもやさしいなと思う。
私の準備が大体終わったころから、服や持ち物に悩み出すこともあるので私が待つこともあるが。

ひさしぶりに”おでかけ”をして休日を満喫し、お目当てのものを買って、思いがけずたくさんのお土産を手に家に帰った。そして、パートナーの好きなお店のケーキを食べて、私のごきげんメータは最高潮に達した。そして、1日ごきげんに過ごすはずだった。

眠気に襲われて一眠りしてしまったのが、雲行きが怪しくなる原因となってしまった。

少しの居眠りが、比較的しっかり眠ってしまい、辺りが暗くなってきた頃に目を覚ました。
今からごはんをつくらなけければいけない。そして、家に材料はないので買いに行かないといけない。その前にごはんを炊いて、洗濯物を入れないといけない。今からやることで頭をフル回転させる。相方はラウンジチェアでのんびりスマホを見て過ごしている。寝てしまった前と変わらない風景、でも時間だけが経ってしまった現状に苛立ちを感じ、溜息をついてしまった。


私の悪い癖がある。
計画的に物事を進めたい性格で、のんびり自分の気の向くままというよりは一日の流れをある程度固めて、できれば無駄のない時間を過ごしたいと思っている。だから、私がてきぱきしている一方であまりにもマイペースに過ごしていると、「なんでやねん」と思ってしまうことがある。
多少なりともこう思ってしまうのはパートナーに限らずなのだが、外では気遣い屋を発揮するのでそんなものは奥に押し込めていることが多い。まあ、彼の前では多くの時間を過ごしているので、その仮面は剥がれ落ちてしまった。

私の準備が終わりそうなのがわかっていたら自分の準備もすればいいやんとか、お店の場所的にこうまわるのがいいとか、ごはんはこの時間に食べたいからそれまでに準備しなあかんやんとか、そういうのを考えてしまう。

おまけに私は言葉にするのが苦手なタイプだ。
なのに、顔や態度に出てしまう(普段はがんばって隠してる)。
直接言えばええやんということも溜め込みがちで、気を許してしまうと黙っていても機嫌を損ねたという雰囲気は出てしまう。
帰宅したときとは裏腹に言葉を交わさなくても、空気は激悪。察する能力は高いパートナーは、こりゃやばそうだと思っているに違いない。
この状況をつくりだした私が120%悪いので、どうにかこうにか自力で機嫌を直し、無事スーパーから帰る頃にはいつも通りの私でいた。


付き合って4年。一緒に暮らして1年。
気が付いたら付き合って”長いほう”になっていた。

そんなに一緒にいるのかとも思うし、まだそんだけかとも思う。
でも、一緒に暮らしてから彼の知らなかった一面を知れたし、家族以外の親密な人に見せてしまう自分の知らなかった一面があることにも気づいた。
上記のようなことも生活を共にするようになってからのほうが多い。
なかなか他人に対して心を開けないので、こうやって自分に我儘でいられる環境があることは有難い。付き合いが長くなってきたことで当たり前になりがちだが、素をさらけ出せるのは私の性格的にも稀有な存在だよなと思う。

いつだってごきげんな彼女でいたいけども難しいこともあって、コントロールする中で自己嫌悪に陥ることも多い。自分の内で奮闘している傍で荒波が過ぎ去るのを待ってくれるのはある意味マイペースな彼の良さでもあるかもしれない。なんだかんだで助けられている。


記事の冒頭に書いたように、付き合った当初や一緒に住み始める前後とは少しずつ変化していることに気づくこともある。ああ、よくないなと反省することもある。

パートナーとしてはもちろんだけど、人として、感謝を忘れず尊敬する気持ちは忘れないでいようと改めて心引き締まった日だった。


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