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ちょっと待って!その「共感」でいい?

昨今、人間的な側面として「共感力」の重要性が語られることがあります。今回は、その「共感」について考えてみました。

さて、相手の話を聴いているとき、こんな気持ちになることありませんか?
「わかるわかる!私も同じ経験したから、その苦しさわかる~!」

一方で、相手の話を聴く時にこんな気持ちになることもあります。
「あなたと同じ経験はしてないけど、今のあなたからは苦しさを感じるよ」

どちらも「共感」という言葉でまとめてもいいのかもしれません。しかし前者の共感の主役は自分です。つまり、聴く側が自分が経験した時の気持ちを味わいながら相手の気持ちにすり合わせている感じでしょうか。同感とか同情に近く、英語でいうなら“Sympathy”に近いのではないでしょうか。

他方、後者の共感の主役は相手です。自分の経験とは別のところにある相手の気持ちを察することで、相手の深い気持ちを理解しようと努めるのです。これは英語でいうなら“Empathy”に当たるのではないでしょうか。

Empathyの方がより汎用性の高い感性ですね。ただ、どちらが良いとか悪いとかいうことではなく、自分が共感していると感じた時、それがどちらなのか自己俯瞰できていると良いということです。

Empathyを育むためには絵画や写真、映画、小説、食事、自然、そして人との会話に意識を傾けて味わうこと、それらをできるだけたくさん経験することが大切です。

さて、ここからは蛇足ですが…
カウンセリングを学び始めた頃の未熟なカウンセラーによくある応答で、クライエントの語った出来事に触発されて、つい「わかります、私も同じ経験がありますから…」なんて語ってしまいますが、これは控えたい応答です。

笑うに笑えない話ですが、悩みを抱えた相談者って、カウンセラーの話をよく聴いてくれるんですよね(笑)、だから気がつけば自分がどのように乗り越えたかを饒舌に語る未熟なカウンセラーと、それをしっかりと傾聴する相談者に逆転したりします。

カウンセラーが人の話を聴くときに大切にしたいのは、「あなたと私は違う人間で、生きてきた環境も違うし感じ方も違う、だけど『今、ここにいるあなたの気持ち』を心から理解しようとしている私がいます」というEmpathyとしての共感的な態度でしょうね。

人の話を聴く時の共感、それはSyimpathyとしての共感なのか、それともEmpathyとしての共感なのか、自己俯瞰してみましょう。



二つの共感

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