死ぬことすら出来ない辛さ 28 〜訪問入浴

今までは清拭だったけど週二回湯船に浸かれる。

訪問入浴が利用出来る様になるから。

時間は朝九時から。
流石に夜は無理だから夕方が良いって思ってたけど、残念ながら他の時間は空いてなかったのよね。

まぁ、お風呂に入れるだけでもありがたいとしましょうか。

訪問入浴は在宅に分解できる浴槽を持ち込んみ、看護師一名、介護士二名のチームで入浴介助を行う。
私の場合は室内にブルーシートを敷き、そこに浴槽を組み立てる。浴室からホースでお湯を入れて洗髪、洗身、入浴ができる。
ホースを繋げば排水も出来る。

ベッドの側に浴槽を設置できるから移動距離が短くて済む。
移動は介護士が抱えるわけではなく、担架を使って行う。
脱ぐのも着るのもベッド上。
広いところで安全安心。

ベッド上で裸になるから事前に室温を上げておかないとね。
暑いくらいが丁度いいかしら。

鎖骨の下のポートは濡れない様にガーゼを敷いてテープで覆う。
本当は針を抜きたいけど交換は週一回。入浴は週二回だから覆わなければならない。

覆うテープはふわっと貼ってね。
ふわっと貼らないと痛いから。
痛かったらやり直し。

テープやハサミはタンスの中。

訪問入浴の看護師はバイタル測定して入浴出来るか判断するだけだから、訪問看護師に貼ってもらう。
時間が過ぎていてもやってくれるって言うから良かったわ。

着替え、オムツ、バスタオル二枚、フェイスタオル、シャンプー、コンディショナー、ボディソープ、洗身タオル、入浴剤、そして全身に塗るクリーム

入浴剤は足浴に使う良い香りがするやつを準備する。

・・・夫がね。


訪問入浴の車が庭に入って来た。

おばさん看護師がバイタル測定。
体温、脈拍、血圧・・・。

痛い痛い。

このおばさん手荒いわ。

体温計を無理やり入れるし、血圧計を手首に巻くのに変な風に腕を持つから痛くて仕方ない。

「 大丈夫? 」

大丈夫じゃないから痛いって言ってるのよ。

「 腕が痛いから乱暴に扱わないで。ゆっくり持ち上げて 」

「 ・・・ 」

返事しないのね。

頭にくるわ。

バイタル測定し、ベッド上で服を脱ぐ。
これもまた痛いのよね。
ゆっくりやってと伝えても痛いと伝えても優しくやってもらえないなんて。

悲しくなるわ。

服を脱いだら担架を身体の下に入れ、介護士二人で持ち上げる。

あ、耳栓を忘れないでね。

脚だけ湯船に浸かりながら頭を洗う。
力強くやらないでね。首の力がないから頭が振られて気持ち悪くなる。

「 痒いところはありませんか? 」

「 大丈夫だから早くやって 」

シャンプーを洗い流す時に顔にお湯がかからないようにやってね。
口に入ったらうまく吐き出せなくて誤嚥しちゃうから。
おでこに手を当ててお湯を堰き止めながら流してよね。

って、思っているそばから顔にかかってるじゃない!

「 顔にかからないようにやってよ! 」

タオルで拭いてもらったけど恐怖でしかないわ。

シャンプーの次はトリートメント。
シャンプーの時の様に失敗しないでね。

トリートメントが終わったら身体を洗う。

腕、体、脚、お股。
横向きは痛いから背中は軽くで良いからね。

洗い終わったら湯船にドボン。

「 ぬるいから1度上げて 」

「 42度にします 」

5分くらい浸かれば満足。
長いと疲れちゃうから。

お湯を抜いて身体を拭いたらベッドに移動。

全身にクリームを塗ってね。

足の先から首まで全部。

クリームを塗ったらオムツをして、洋服を着させてもらう。

介護士がいるから大丈夫と思っていたけど下手すぎる。

今度から訪問介護のヘルパーさんにも手伝ってもらえるようお願いしよう。

洋服を着たらドライヤー。

ドライヤーはタンスの中。

髪は短いからすぐに乾くと思うけど、横になっているから顔の向きを変えるか頭を持ち上げないと乾かせないからね。

勝手に向きを変えたり持ち上げたりすると唾液を誤嚥するからやめてね。

髪が乾いて落ち着いたらバイタル測定。
記録に残してさようなら。

入浴自体は気持ちいいけど、色々と最悪でしかない。

訪問入浴のおばさんもう来なくていいわ。

よろしければサポートお願いします。この費用は看護や介護が必要な人達へ有効に活用していこうと思います