「逃げるのは卑怯だぞ 正々堂々と戦うんだ」『アメリカン・ヒストリーX』(2000)

今回はトニー・ケイ監督による2000年の映画「アメリカン・ヒストリーX」について感想を書いていこうと思います。私がこの映画に出会ったのは作家の伊坂幸太郎先生がきっかけです。伊坂作品の中にはハリウッド映画がよく登場するのですが私にとって一昔前の作品に出会うきっかけになっています。この映画もそんな伊坂先生を通して出会えたものです。

この映画を見て私が考えたことは「偏った考えが家族の上から下に伝わっていってしまうことってあるよね〜」です。この映画で言うと尊敬し模倣の対象としていた人が変化してしまった時に自分の指針を見失ってしまったように感じることが描かれているのですが、これを身近な体験に感じる人もいるのではないでしょうか。例えばわたしの友人の話なのですが親が極端に嫌韓だったりするために彼女自身もそのような考えがかなり大きくなってからも抜けきらない、ということがありました。

この映画でいうと刑務所から出所した後ネオナチ的思想が消え失せ団体からの脱退も決断した兄デレクは弟ダニーに対し今までの自分の考えが間違っていたこと、それは己の無知を怒りに託した激情であったことを説きますが彼を慕ってきたダニーは心底驚くと同時に「それでは自分は兄に習うのか、それとも今のままの自分であるのか」という二つの分かれ道に出くわすことになります。家族の上の立場にいる人間から受けた影響は良いものも悪いものも断ち切ることは難しいと思います。しかしお手本とする人の変化をもって再び青年は自身について考えることになるのです。

またデレクに関してですが、どれだけ自身が変わることを望んでいたとしても過去の罪は巡ってくるいうことを描いた点でこの作品はドキュメンタリー性よりもストーリー性を多分に含んでいるのだと私は感じました。(この是非を問うつもりは全くないですし個人的に好きなエンディングです!)つまり、「デレクが改心できました、おしまい♩」で終わらせない部分に映画の意地を感じた気がします。以上が書き殴りアメリカンヒストリーXの感想です〜!

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