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2割負担の判断基準は、本年末の予算編成過程において検討。負担増の人は増えるのか? 〜介護保険部会

12月7日開催「第109回社会保障審議会介護保険部会」をオンライン傍聴しました。


●2割負担については経済財政諮問会議の内容を追認

前回の部会で「1号保険料負担の見直し(1号被保険者間での所得再分配機能の強化)」については、了承されていました。
「2割負担の一定所得以上の判断基準のあり方」については、部会の中でも、2割負担について容認派と慎重派とどちらの意見も出ているという状況で、数回結論が先延ばしになっていました。

そんななか、来年度(2024年度)に実施する取組として「具体的内容については、本年末の予算編成過程において検討すべきである」と、12月5日行われた経済財政諮問会議で先に内容が明らかになり、部会としての結論は出ないまま、最終的には諮問会議の内容を追認するという形になりました。

●介護利用者の負担と介護制度の維持

高齢者の応能負担については、介護保険制度の維持としては必要、というところに理解はあると思いますが、どこまで負担を求めていくかの基準は難しいですね。

資料に高齢者の貯蓄の平均が1500万円とあり、委員からはこれは誤解を生じる、平均ではなく中央値は幾らかと問われ、事務局からは「たぶん500〜700万円程度では」との回答がありました。数字一つとっても、印象はだいぶ変わります(貯蓄なしまたは貯蓄額100万円未満は17.8%)。

もちろん介護利用料が2倍になれば、当然高くなったと感じ、利用控えはあるようにも思いますし、本当に必要な人が利用できなくなるという不安もあります。
とはいっても、介護職の処遇改善などにお金が回らないと、介護保険制度自体の維持が困難になるのもわかります。これ以上働く世代の保険料を上げるのも限界ですし…。

介護給付の部会も傍聴していますが、介護サービスの効率・生産性の向上などのことばが飛びかっていますし、事業者も収支が合わないままでは撤退していくかもしれません。お金は世の中で回っていて、どこかにあるはずなのに、介護という世界にはなかなか回ってきていないように感じます…。

●自分らしく暮らし続けられる「地域共生社会」の実現のために

ただ、悲観ばかりしていても始まらないので、今後どのようにしていくかに目を向ける必要があります。介護予防の効果からか、要介護の割合が年々減っていることなども報告されました。

参考資料1-1 給付と負担について(参考資料)

議題2の報告では「総合事業」はフルモデルチェンジし、自分らしく暮らし続けられる「地域共生社会」の実現を目指す地域づくりもスタートします。少子超高齢社会をどうしていくか、知恵を絞っていくしかないかと。

事務局として提出された

○2割負担の一定所得以上の判断基準のあり方については、負担能力に応じた給付と負担の不断の見直しの観点から、現場の従事者の処遇改善をはじめ、地域におけるサービス提供体制の確保に係る介護報酬改定での対応と合わせて、予算編成過程で検討することとしてはどうか。
○ その際、以下の点に留意しつつ、検討することとしてはどうか。
介護サービスは、医療サービスと利用実態が異なるため、単純な比較は困難であること
判断基準の見直しの検討に当たっては、見直しによるサービスの利用への影響について、留意すること
仮に、判断基準の見直しを行う場合には保険者の実務への影響や利用者への周知期間に十分に配慮する観点から、十分な準備期間を設けること

参考資料1-1 給付と負担について(参考資料)

上記を部会として了承したということになります。委員からは、具体的に今後誰が決定するのかという問いに「厚生労働省です」という回答があり、委員からは、部会での意見を反映して総合的に判断してほしいとの要望が出ていました。
ただ、印象では2割負担の人の割合が増えることは確実ではないかと思われます、たぶん……。

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