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睡眠のためにはカフェイン摂取量がたった400mg以下とは 〜睡眠指針改訂案のシートから

10月2日開催「第2回 健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会」を傍聴しました。資料 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35535.html

第1回のレポートはこちらに

第2回は、改訂の構成案として指針にプラスして、推奨事項3種類、参考情報7種類、合計の10種類のシートが提示されました。

【資料1】健康づくりのための睡眠指針の改訂について(案)P3

○推奨事項 世代別の推奨事項を提示した3種類のシート。
1 成人     4P
2 こども 4P
3 高齢者 3P
【参考資料2】睡眠に係る推奨事項(案)https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001151836.pdf

成人版    1P/4P

○参考情報 保健指導実施者等が睡眠に係る取組を推進するにあたって参考となる情報として7種類のシート。
良い睡眠の概要(総論) 4P
1 からだと心の健康のための睡眠について 3P
2 良質な睡眠のための環境づくりについて 3P
3 運動、食事等の生活習慣と睡眠について 4P
4 睡眠と嗜好品について 3P
5 睡眠障害について 4P
6 妊娠・子育てと睡眠健康について 3P
7 就業形態と睡眠の課題について 2P
【参考資料3】睡眠に係る参考情報(案)https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001151837.pdf

検討会は、事務局から資料1を用いた全体の説明後、それぞれのシートごとにコンセプトを栗山構成員(睡眠の科研代表研究者)が解説して、質問を受ける形で進行しました。
いくつかの構成員からの質問やコメントに対しては、ほぼ研究班で論議した内容だったようで、的確で明快な回答がされていました。まだじっくりとは読んでいませんが、検討会の進行の印象では、とてもしっかりと丁寧に作成されているようです。

解説と質問、コメントからいくつか。

○それぞれの世代の取るべき睡眠時間を明確にしたこと。睡眠の質(睡眠休養感)だけでなく、睡眠の量にも言及していること(成人6時間以上、高齢者8時間未満、こどもはより細かな年齢別の数値が示されています)。
○こども版の「スクリーンタイム」の記載は中高生で急増することから。成人へも同様の影響があるので、これは「良質な睡眠のための環境づくりについて」の光の環境づくりの項目で記載。
○構成員から、栄養と睡眠の関係で、バランスのよい食事は睡眠によいといった記載を入れては、というコメントには、睡眠と食事のタイミングの関係はエビデンスが確立されているが、睡眠と栄養素の研究は様々で賛否両論ある段階であること、またバランスのよい食事の定義も曖昧なので、どのような記載にするかは保留として、次回に提案とのこと。
○睡眠に影響のあるカフェインの摂取量について摂取の時間帯だけでなく「400mg以下に控える」という数値が示されたこと。400mgを超えるカフェインを摂取することは、1日のどの時点であっても(仮に朝の摂取であったとしても)、睡眠に悪影響を与える可能性がある。なお、カフェイン400mgの目安は、ドリップコーヒーでマグカップ2杯分(700cc)、市販のペットボトルコーヒーで1.5本分(750cc)に含まれる量とのこと。
○睡眠への女性ホルモンの影響などは、「妊娠・子育てと睡眠健康について」に記載しているが、女性のみが読むものにしたくなかったので、タイトルは「女性の睡眠」とはしなかった。夜泣きについて、しばらく対応せずに様子をみるというテキストを記載したのは、起きて対応すべきであるという価値観から、別な価値観を広げる意図とのこと。

座長から、
「国民の関心ごと」ということばが何回か出ていましたが、
栄養素と睡眠(どんな食事が睡眠によいか)、
サプリメントと睡眠(睡眠によいというサプリが販売されていること)、
エネジードリンクによるカフェインの摂取(こどもの摂取が増えている)など、
こうした「国民の関心ごと」に対応するテキストの記載などにも意識したつくりになっているようです。
他にも、シートによる成果物など、改訂を予定している「身体活動の指針」の検討会の成果物もコンセプトやデザインはほぼ同じなので、今回の指針の改訂は全て同じ感じでいくのかと思われます。
国からの発信として簡潔にシートでまとめるという方向性もよいと思いました。
ただ辛口で言うと、シートという媒体を「伝えたいことを簡潔にまとめる」ツールとして制作するのと「伝わるように工夫した」ツールとして制作するのは同じではないのでは、と。
この10種類の睡眠のシートは、私のように知りたい人には「伝えたい」情報がわかりやすい内容ですが、一般向けに「伝わる」ものとしてそのまま使うのは、少し厳しいかもと個人的には感じました(←もっと熟読してみます←追記/参考情報は保健指導実施者のため情報で一般向けではないようです。失礼しました)。



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