歩幅は狭くした方がいい?

訪問でお伺いしている方からお話をお聞きした内容が気になるものだったので、再度考えてみることにします。

というのも、
「スムーズに歩くために歩幅を狭くしようと思ってる」
とのことでした。

そもそも歩幅がもたらすものは?

高齢者において歩幅がもたらすものは、「歩行の安定」です。
健常人の場合、歩幅は少し広め、やや早歩きが健康にいいとデータもあります。ですが歩幅を広めるという事は、
・立脚期(片足支持)の増加
・支持基底面の減少
・重心の上下幅が増える

つまり、安定性が低下が発生します。
安定性の低下があろうと、健常人の場合は筋力があるのでそれでカバーされます。

ただ高齢者の場合は話が別です。
安定をカバーする筋力がそもそも低下しています。
片足支持の時間が長い事はそれだけで転倒のリスクに繋がります。
結果、歩幅は狭くなります。歩行において安定を確保するために。

歩幅は狭くなると、
・歩行効率は悪い
・足を高く上げる必要がないので摺り足気味に。
これは日常生活においてとても大事で、ただでさえ安定性が低下している状態でどこかに引っ掛けて転倒するリスクは避けたい。となると摺り足はしたくありません。

さらに歩行に関しては、いや立っていることに関して必要な要素はまだあって、「ankle strategy」と「hip strategy」があります。
ankleは足首の関節とそれに関係する筋肉が働く必要があります。特に小さい動揺に対して耐える働きがあります。
hipは大きな動揺に対して働き、制御範囲は大きいですが、その分カウンターが働きます。つまり身体も比較的大きなブレが生じます。

高齢者に関しては足関節周囲の機能が低下し、ankle strategyが低下し、hip strategyが優位になります。
その分動揺性が増し、転倒しやすくなります。

どうするのが必要なのか?

まず第一に必要になるのが「足関節機能を低下させない」
ankle strategyを働かせられれば身体動揺性は減らせます。

第二に、安定性が増す歩行を身に付ける。
安定性を増すためには、「歩幅」と「歩隔」縦方向と横方向のバランスが必要です。歩幅を大きくするためには筋力とスピードが必要になります。歩隔は適度であれば安定性が増しますが、広くしすぎると左右の動揺性が増します。安定性が増す歩行は個人によって異なると思います。
杖をつくつかないでもかなり変わります。

つまり

つまり、日常的に歩いて歩きやすい歩行を身に付けましょう。
リハビリとも言えますが、繰り返し行うことが重要かなと思います。

これっていう正解は無いです。

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