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平凡な主張も納得感のある理由付きだとグッとくる(3歳の娘に教わった)

バースデイという子供用品店に、家族で行った時のこと。玩具コーナーを一周してきた3歳の次女が棚から取ってきたのは、アンパンマンのスマホ型のおもちゃ。電話のおもちゃも時代に合わせ進化中だ。

「パパ、これ買って」と言いながら、カートに入れようとするので、
「買わないよ、戻してきて」と拒否するいうやり取りを数回した。
そのあとも、ずっと手に持ったまま、戻しに行く気配がないので、

「だって、持ってるでしょ、ワンワンのやつ」
と言って、似た電話のおもちゃを彼女が持っていることを思い出させて、諦めさせようとした。

家にあるワンワンのおもちゃ電話

このワンワンのやつはガラケーだし、貰い物で、だいぶ使い込んだから、彼女も何かの理由を付けて、食い下がるだろうとは、予想していた。
 ・だって、こっち(アンパンマン)の方が色が可愛いんだもん
 ・こっちの方が好きなんだもん
 ・ワンワンのやつ古いんだもん

しかし、私の安易な予想は外れ、彼女が返してきたのは、

「パパみたいに、二つ、持ちたいんだもん」

彼女は、私のように会社と個人の2つの携帯を持つことに憧れて、二つ目として持ってきたのか。

事前の私が予想した回答は、今新しい方を欲しがる根拠という点で、理に適ってはいた。ただ、それらはどれも感覚の話で、説得力に欠ける。もし、私が「そんなことないよ、あっちも可愛いよ」とでも返せば、議論は平行線になって、収拾がつかない。

一方、彼女がした返答は、私が携帯を二つ持っているということが事実であり、否定できない。二つ目を買わないと、二台持ちは実現しないので、水掛け論にはなり得ない。理由として、スマートだ。

加えて、アンパンマンを持ち上げるためにワンワンのことを不必要に貶すこともないし、ワンワン電話をくれた人の気分を害することもない。なんてエレガントなんだ。理由一つで、こんなにも清々しい気分になるとは驚いた。

とはいえ、どんなに彼女の理由に感銘を覚えても、狭い家に似たような玩具を増やすのは、気が進まないので戻させることにした。スマホのおもちゃを持ったまま、可愛い洋服コーナーや靴や傘のエリアを回りながら、他のグッズで気を引いた後に最初の場所に戻り、最後は自分で元の棚に返せた。

本音では、彼女にあっぱれをあげたかった私は、彼女が好きなアンパンマンのラムネをレジ横に見つけたので、今回はすんなりと買ってあげました。物事の理由の良し悪しを教えてくれて、ありがとう。

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