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リトル・マーメイドは単なる恋物語じゃない。

Disneyをあまり知らない方でも劇中歌の「Part of your world」はご存知ではないでしょうか。お話の元となったのはグリム童話の人魚姫。人魚姫が人間の王子様に恋をして、グリム童話だと悲しい結末になるわけですが、そこはDisneyMagic。安心してみれるハッピーエンドで締めくくられます。

「あーはいはい、人魚姫と王子様が恋をして、結果めでたしめでたしね。まぁ歌は素敵だしいいんじゃないの」レベルに思っているそこのあなた。「リトル・マーメイド」は単なる恋物語ではなく、もっと違う視点でみれることを知ってほしい…!そのためにもまずは登場人物を見返してみましょう。

まずは主人公のアリエル。海の王様トリトンの7人もいる娘の末っ子です。年齢は16歳。ちょうど高校生1年生ってとこですかね。海にいながら陸の世界に憧れる女の子。映画の冒頭では自分が主役のコンサートなのに、大好きな陸の国のグッズ探しに夢中になってすっぽかすという、なかなかにやんちゃなこともしてくれてます。

もう1人注目してほしいのは、そんなアリエルの父親であり海の国の王様であるトリトンです。末っ子のアリエルのことが大好きなお父さんなのですが、陸の世界と人間を危険なものと考えており、海の王様として陸の世界と人間と関わることを禁じているため、陸の世界に憧れるアリエルと度々衝突します。

その衝突が決定的となるのが、アリエルがこっそりと大切に集めていた陸の世界グッズ(恋しちゃった人間の王子エリックの銅像含む)をトリトンが破壊するシーン。小さいころに映画を見ていた私は、このシーンがとてもとても怖かったのを覚えています。アリエルの気持ちにシンパシーを感じていて、自分の大事なものがお父さんによって全てめちゃくちゃにされた、ひどい!みたいな。。。。マジでみるのが辛かった。

でも今見るとトリトンの行動もまぁ過激なんですが、わかるんですよね。唯でさえ知らぬ間に大事な娘が危険を侵して数多くの陸のグッズを集めていただけでもショックなのに、エリックの銅像を前に「(彼を)愛してるの!」なんて言われるんですもの。王様としても、親としても、人間との恋なんて応援できない。これ以上危険な世界と娘を関わらせちゃいけない、だからとても心は痛むけど、過激な手を取ってでもわからせねば、と。
エリックの銅像も破壊して、泣き崩れるアリエルの姿を背にその場を去る時のトリトンの表情にその辺の気持ちが出てる気がしてなんともいえない。(著作権的に画像貼れないのが悔しいですね…!)

さてこの衝突が決定的となり、アリエルは海の魔女アースラと契約して自分の声と引き換えに、人間の足をもらって陸へあがります。話せない状態なのに、陸へあがって3日目の日没までにエリックとキスをしないと、アースラのものになるという条件付きで。
その間海ではトリトンがいなくなったアリエルを探しまくります。「あぁ、わしが悪いのか…どうすればいいのだ…」と憔悴。あれですね、16歳の高校生の娘が家出して、方々探しても全く見つからず心配しまくりなお父さんです。

そして最終日の3日目の日没。まんまとアースラに嵌められ、海に連れ戻されるアリエル。そこにトリトンが現れます。アースラは待ってましたとばかりに、アリエルの代わりに自分のものになれ=王座を渡せと、トリトンに話をもちかけます。
契約書は自分の王の力をもってしても壊せないことがわかると、トリトンは迷うことなく自ら身代わりとなります。王様としての力でも娘を守れないなら、父親として身を挺して娘を守るという決断…!!!愛だよなぁ。

さてそんなアリエルの身代わりとなったトリトンがどうなるかというと、安心してください。アリエルが人魚だと知ってもなお、彼女を愛する王子エリックが果敢に海に飛び込み、アースラと戦い見事倒して、トリトンも元の姿に戻ります。

そして陸に上がったエリックを切なく海から見つめるアリエル、さらにそのアリエルの姿を見つめるトリトンのシーンにうつるわけですが…このときのトリトンとお供のセバスチャンの会話と行動がきゅっと胸を締め付けます。

「アリエルは彼を愛しとるな、どうだセバスチャン」
「さよう、いつもわたくしめが申し上げていました通り陛下、子供達には自由な生き方を選ばせたいものですな」
「いつも、申しただと?」
・・・
「はぁ、しかし1つ問題が残るな」
「なんでしょうか、国王陛下」
「娘がいなくなると、とても寂しい」

だ・よ・ね…!!あんなにかわいがってた末っ子が本当に人間を愛しちゃって、しかもその人間も自分たちの命の恩人で、本当に娘を愛してくれているようだし、きっと彼らを応援してあげるのがアリエルの一番の幸せになる…でもやっぱり娘がいなくなるのは、寂しいよね…!!!
そんな寂しい気持ちを押し殺して、トリトンはこういった後に自らの力でアリエルを人間にします。娘の幸せのために。

そして最後の結婚式のシーン。アリエルは陸の世界で、トリトンは海の世界で、袂を分けて生きていくことになります。そこでのアリエルのこの台詞。

「愛してるわ、パパ」

最近の私の涙腺はここで崩壊します。ちゃんとトリトンの愛がアリエルに伝わって通じ合ったことがわかる台詞とシーン。本当に本当によかった…!

そんなわけで、リトル・マーメイドは単なる恋物語ではなく、思春期の娘とその娘を大切に想い守り愛する父親の、そんな2人の物語でもあるのです。

映画は文字だけでは表せない、アニメーションならではの表現や歌でさらに素晴らしい物語に仕上げています。子供の頃にしかみたことがないなという方や、そもそもまだ1度も見たことないなという方は、ぜひこの年末年始のお家時間にぜひご覧頂きたい。ということで本日は1989年11月15日公開の「リトル・マーメイド」をご紹介でした。

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