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秕
2020年4月3日 22:03
春花束金鳳花爪先立つ別れの瞬間またねと呟くぎょっとする癖嘘をついたような後ろめたさが刺さるもう偶然では逢えない餞別なんか渡さなければさよならさえ言わなければ別れを遠ざけられると信じてこどものように口をとがらせてただ背を向けることしかできない私を置いて春になる生暖かい空気にやり場の無い気持ちをぶつけてみてもきみがいないと私はなぜか息ができない
2020年4月5日 00:59
みな最前線に居たはずなのに安全圏から放たれる矢自分の体を、正しさを守るポーズで矢を放ち勝てそうな敵を見付けて殴り正当防衛と高らかに君は弱い 私も弱い君がふるふる震える手でその矢を掴んで構えるわけを私はどうして解ってしまう弱いことは罪ですか?いつしか言葉は貌を持ち呟きは声より遠くへ届き自ら放ったその矢尻を誰かが拾ってまた放つ始まるのに終わらない終わらないのにまた始
2020年4月23日 23:11
随分呆気なく学生生活が終わってしまった。小学校に入学してから16年。私の人生の大半だった。今更になってくるくると記憶の破片が脳裏を廻る。高校大学の7年は、ほとんど同じ通学路を行き来していた。広瀬川は青葉萌ゆる新緑の季節が一等美しく、秋になると歩道まで枝を伸ばす母校の紅葉がガラス細工のように陽を透かし、そして散らしていた。心理学を学んだ。自分の苦しさ、あのこの生きづらさ、彼の父が死んだ
2020年4月26日 12:40
或る秋の夕暮れ大学の松のひび割れた肌に何やら光るものを見つけた近づいて見ると蝉の抜け殻が獅噛付いていたふと視線を落とす、と、そこにも居た随分長い間踏ん張れるものだなと、感心した或る冬の朝雪を柔らかく肩に掛けたあの松を見てどうだろうかと近づいてみたまだ彼はそこに居たふと視線を上げる、と、そこにも居た君、もう冬だよ君の出番は茹だるような夏だろう草木が蒼く萌え盛る あの夏だ