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指先の言葉は大きなフォントとなって動きだす

もくもくのくも
もくもくのくも
もくもくの雲
もくもくもくもく

雲の頂が揺れる
隙間から
僅かに差し込む光に心が揺れる

ゆらりゆらり
揺れているものは何?

上手く言葉にならない想いは
淡くて
儚くて
口の中で何度も転がして
再び胸にしまい込む

ゆらりゆらり
ゆらゆら

人生に
マルなんてないのに
選ばなかった道を振り返る

もくもくのくもは
いつの間にか
ちぎれて
漂って
季節の終わりを告げるよう

ああ
今年の盆は
お参りできながったね
生前によく父が座っていた椅子は
今年も揺れたんだろうか
母は 
はしゃいで
仏壇に甘いお菓子をどっさり
供えただろうか


知らない土地で
せめてと
炊いた送り火が揺れる

ゆらりゆらゆら
ゆっくりゆっくり

ナスで作った牛は
きっと
無事に送り届けてくれたのだろう

笑っていればいい
笑っていれば幸せになれる

父の口癖だった言葉が
胸に膨らむ

選ばなかった人生
選んだ人生

正解はない
正解にする

昔から
道草が好きだった

人生が大きく迂回する
そして
たどり着く場所がある

もくもくのくも
もくもくのくも
くもくもくも雲
もくもくもく

止めているのもは何?

そろそろ
塊から離れてみようか
ちぎれて
漂う
広い空へ空へ

牛みたいなカタチの雲が笑ってる
胸に溜まった言葉が
指先に伝わって
大きなフォントとなって
動きだす


笑っていればいい
笑っていれば幸せになれる

もくもくの雲の向こうに
太陽は隠れている


指先の

言葉は大きなフォントかな
止まった時間が動きだす空



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