はるのふみ/教育者/コーチングインストラクター

新しい教育のスタイルを日々模索中。余暇はセミナー講師。 伝えるって楽しい🎵 つながる…

はるのふみ/教育者/コーチングインストラクター

新しい教育のスタイルを日々模索中。余暇はセミナー講師。 伝えるって楽しい🎵 つながることは財産。 教えることは成長すること。 気分転換は、カフェ巡り。温泉巡り。読書会。 「伝えたい」が心にたまって、 この度デビューすることになりました。

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好々爺しげさんの独り言は         かるくて深くてせつない

この世を去った後に その人の存在が さらに 大きくなるということがある。 しげさんが亡くなったのはコロナ禍真っ只中の春だった。 葬儀はひっそりと行われ、家族だけに見送られて旅立った。 あれから1年半。しげさんの言葉は生き続けている。いや、その言葉の重みは増しているのだ。 しげさんの生前の生活は平凡だった。穏やかな日々。でも、だからこそ心豊かに生きるヒントがいっぱい。 ちょっと覗いてみましょうか。 第1章 縁側でにゅうめんを      すするしげさん しげさんの好物は

    • 若葉の季節の雨はヤサシイ

      ありがとう   ありがとう      ありがとう さようなら 今年も優しい季節はやってきた 「さよならの数だけ愛を知る」 お別れの会で 恩師がくれた言葉 どこかの 映画監督さんの受け入りらしい 知らない人の言葉も この時期はやけに心に刺さるんだ 守られてきた私 両親に 先生に友達に そっと離された手のぬくもりを 自分の両手で包み込む このぬくもりは愛なのだろうか 窓のそとで 風が声をあげる 桜の蕾は膨らみを 優しい雨がしっとり濡らす そっとそっと 私は中学3年間で

      • 「普通って何だろう」の答えはここにある

        普通って何だろう 普通って何だろう 普通って何だろう 少女は空を見上げる 秋の空 雲の塊を ほんのりピンクに染めて 暮れなずんでゆく 季節に乗り遅れた金木犀の花が 少女の鼻をかすめる 普通って何だろう その答えを探しつづけている 公園のベンチに風が通り抜ける さっきまでボール遊びをしていた 子どもたちは もう家路に着いたのだろうか 足元に寄ってきた鳩たちに混じって カラスが一羽 まるで 自分のようだと少女は思う 普通 まだ夏服じゃない? 昼間クラスメートは

        • 指先の言葉は大きなフォントとなって動きだす

          もくもくのくも もくもくのくも もくもくの雲 もくもくもくもく 雲の頂が揺れる 隙間から 僅かに差し込む光に心が揺れる ゆらりゆらり 揺れているものは何? 上手く言葉にならない想いは 淡くて 儚くて 口の中で何度も転がして 再び胸にしまい込む ゆらりゆらり ゆらゆら 人生に マルなんてないのに 選ばなかった道を振り返る もくもくのくもは いつの間にか ちぎれて 漂って 季節の終わりを告げるよう ああ 今年の盆は お参りできながったね 生前によく父が座っていた椅子

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        好々爺しげさんの独り言は         かるくて深くてせつない

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        • はるの先生のホームルームシリーズパート2
          10本
        • はるの先生のホームルームシリーズ
          10本

        記事

          老婆の手と蛍三つ四つ

          雨の匂いが 自分の体を包み込んでいる 蛙の鳴き声 田んぼに水が張られたらしい 夜の帳がゆったりと降り始めた 誰もいないと思っていた暗闇に 人の気配 目的は皆、同じだろうか 見えない目的地に歩みを進める 仕事を辞めて 環境が変わって 人間関係も変化した いや 変化させたのは自分の意志だ それでも 時々 行き先は見えなくなる 自分は何処に向かっているのだろう 蛙の鳴き声 さわさわと木々が揺れる 歩みを速める あっと 後ろで母が声をあげた 慌てて 小さな手を握る 小石

          くだらない日常を鞄に詰めて旅立つんだ

          窓から見える山並みの向こうに 青々と田んぼが広がっている あぜ道には クローバーとシロツメクサが 敷き詰められて 緑の絨毯みたい 小川に 朝日がきらきらと反射する 今年も 両岸のなだらかな土手には 土筆の帽子が風に揺られているだろう ひよよひよよと 野鳥の声が聞こえる 近所の子どもたちの笑い声 旅立ちのときがきた 景色はいつもと変わらない ここで ずっと生きてきた レンゲ草を集め 花かんむりを作り 土筆取りに夢中になった 藁を集め 木々を拾って 小さな秘密基地を

          くだらない日常を鞄に詰めて旅立つんだ

          第二卒業式という名の旅立ちに光はきっと差す

          人気のない廊下を ひたひたと歩くスリッパの音が響く 春の予感 春風は切なさも連れてくる 今日が最後かもしれない ほろりと苦い淋しさが 指の先から零れ落ちる 私は淋しいんだ そんな 自分の気持ちに今ごろ気がつく 旅立ちの予感 ひよよと ヒヨドリが悲しくないた 別れは迫っている 廊下の端に ひっそり隠れるように 図書室はある きしきしと音を立てて扉は開いた 本の匂い この匂いに どれほど癒やされたことだろう まもなく旅立つ ここには 二度と来ることはないかもしれ

          第二卒業式という名の旅立ちに光はきっと差す

          ソツギョウといふ始まりの歌

          あと3日 遂に 卒業までのカウントダウンは ひと桁になった あと3日 数字が重くのしかかる 晴天とはうらはらに 窓に打ちつける風は 春の嵐みたい 卒業という扉を開けたら いったい何が待っているのだろうか 私はどうなっていくのだろう 思えば3年前 私は小学校卒業という扉を開けた 希望に胸を膨らませて 叩いた中学校の門は 入学式だけ開かれて すぐに閉じてしまった 感染拡大による休校 ぽつりぽつり始まった分散登校 やっと教室での授業ができたのは 6月だった 新しい扉

          想い出は雪の結晶のように

          窓の外には 白い粉雪がちらちらと舞っている ガラス窓から冷たい空気が伝わって 思わず 身震いした 卒業まで学校にくる日 あと13日 教室の掲示物が伝えてくる そう考えると 胸の奥がぎゅっとなる クラスメートは みんな前を向いて 先生の説明に聞き入っている 入試が近い その事実が 卒業への切なさを 焦燥感に変える 隣に座る友の横顔を盗み見た 真剣な表情 難関高校入試に挑戦する彼女に 周りを見回す余裕はない 別々の道 つい最近まで 小さなことで笑いあい じゃれあっ

          まほろばはずっと心の中にある

          音もなく 夕べから降り積もった雪が 南天の赤い実を隠している 立ち込める灰色の雲は まるで 朝が永遠にこないようにと 遮っているみたい 今、楽しいですか? 手に握られた学級通信「まほろば」 中学3年のときの担任の写真が 笑いかけてくる 中学校時代 毎日出された学級通信は 思春期のでこぼこした心を 少しだけ平らに近づけてくれた 「まほろば」は 素晴らしい場所 住みやすい環境のことだと そのときに知った あれから5年 成人式で 担任の先生から手渡されたのは まほろば

          三日月の夜はあたらしい靴で旅をする

          西日を受けて ひらひらと栴檀(せんだん)の葉が舞っている 赤い実が揺れる 徐々に街に灯りがともり始めた 三日月がうっすらと空を飾る 美しい言葉たちに逢いたい どきっとするような 単語の結びつきに出逢いたい 日々の喧騒が 感覚を鈍らせている 言葉に触れたい 感覚をくすぐる言葉に出逢いたい そんなときは 詩の中を旅する 名詞 動詞 形容詞      感動詞 疑問詞 茨木のりこの ふわりと重い言葉たち 心にさざ波がおきる 声のない子守唄に耳を傾ける 室生犀星の 洋々

          三日月の夜はあたらしい靴で旅をする

          南天の実は満月に向かっている

          見上げると 南天の赤い実が 漆黒の空を彩っている 風が吹く 南からの風は新しい年の風だ 目標を連れてくる風だ 木々の匂い 仄かに香って胸の奥を刺激する 準備している 春を待つものたちの匂い 春を待つものたちの声 春を迎える準備は進んでいる 感じろ 見えないものの力を感じろ 時は刻々と流れて力を溜めている 溢れ出す木々の匂い 風の声 空との語らい 目を閉じて感覚を研ぎ澄ます たしかな足音が聞こえる 新しい風が 目標を示している ああ 今日は満月だ 雲間から顔を出し

          幸せの師匠さまがあなたのそばにもいる

          からっからっと 音を立てて メタセコイアの木の周りを 木枯らしが回っている 寒い コートの前をギュッと締めて 顔を上げる はらはらと 粉雪が舞っている 縮こまった肩をぎゅっと伸ばして 校門のほうをみると きたきたきたきた 今日も幸せの師匠が ぴょんぴょんと跳ねるように歩いてくる ほっぺは真っ赤っか ちょっとかさかさの唇を 今にも歌い出しそうに尖らせる まだ中学1年生の彼女を 私は密かに「幸せの師匠」と呼んでいる 口ぐせは 「ああ、幸せ」  いつも笑顔でこう呟く

          幸せの師匠さまがあなたのそばにもいる

          君の祈りは粉雪となりきっと降り積もるだろう

          家よりも ここは 居心地がいいですから 彼は 児童相談所の1室で ぽつぽつと語り 無邪気な顔でにっこり微笑んだ こんな表情を ご両親は知らないだろうと思うと 胸の奥が きりきり痛んだ 乾いた風が からからと 葉を落とした木の周りを ずっと回っている 風も行き場がないのだろうか 切なさをのみ込む 私も彼に笑顔を返した 思ったより元気そうだね ダイジョウブ? 私の言葉に 彼の瞳がわずかに揺れる 母親に虐待を受けたときのことを 思い出したのかもしれない すれ違う親

          君の祈りは粉雪となりきっと降り積もるだろう

          森のニンフは言葉を食う

          風が死んだ 暮れも押しつまったある日 木々の枝を揺らしていた風が ぴたりとやんだ 葉の影は震えず 光の輪の眩しさは 水の奥底に潜って沈んだ 遂にそんな瞬間が訪れた 頭の中に流れていた文章たちが 浮かぶ前に消えてゆく 手を伸ばして掬いとろうとするが するりと 指の間から抜け墜ちた noteの住人たちが 時折嘆いていたことを思い出す 文章にしたいことはなに? 心の中を覗く 頭の中に問いかける 伝えたいことは? 心も頭も沈黙している 風は吹かない noteの海に

          優しい雨が君の悲しみを洗い流してくれるように

          朝から冷たい雨が降っている。色づいた葉たちは枝にしがみついて、最後の抵抗を試みている。 秋明菊の花びらがはらりと落ちた。 傘もささないで少年は家を飛び出した。 夜中のことだ。 さっきあったことが、まだ信じられない思いだった。 ふと目を覚ましたとき、母親の顔がすぐ目の前にあった。声を出す間もなく、首に巻かれたロープ。必死で払い除けて家を出た。 冷たい雨は容赦なく少年に降り注いた。 ずぶ濡れの少年が警察に保護されたのは、それから3時間も経っていた。 暗闇の木陰で雨と人目を避

          優しい雨が君の悲しみを洗い流してくれるように