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きのこちゃんの きのこ豆知識

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福岡市にあるABURAYAMA FUKUOKA自然観察センターのきのこちゃんがお届けするきのこブログです。
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オオセミタケ(大蝉茸)Paraisaria heteropoda

時期 春に見られるきのこで、セミの幼虫から生えています。(福岡県では3~5月頃見られます) 発生環境 本種は寄生菌。広葉樹林や針葉樹林の地上で見られます。比較的多湿で一年を通して肌感がひんやりするところに発生していることが多いです。 特徴 【宿主】「アブラゼミ」「ヒグラシ」「エゾハルゼミ」などの幼虫 ちなみに…地中に住んでいるセミの幼虫は目の色が白色ですが、羽化直前の終齢幼虫は目が黒色になっています。感染したセミ幼虫の形から推測すると、子実体が出てくるときは羽化直

ミドリコケビョウタケ(緑苔鋲茸)Mniaecia jungermanniae

時期 冬から春にかけて(福岡では1月~3月頃まで観察することができます) 発生環境 遊歩道脇の土手や石のすき間などに生えるタイ類に発生するとっても小さな美しいきのこです。 特徴 直径1㎜ほどのクッション状のきのこで、湿気ている時は緑青色で乾燥すると黒っぽく目立たなくなります。本種はとても小さいため見逃されていることが多いかも…。 実際に探している様子を撮影しました。赤矢印の先にミドリコケビョウタケが写っていますが、わかりますか…? (よく見ると、他にも生えていま

ヒラタケ(平茸)Pleurotus ostreatus

時期 冬から春にかけて (福岡では11月~3月まで観察することができます) 発生環境 白色腐朽菌で、広葉樹(まれに針葉樹)の切り株、倒木などに重なり合って発生します。 特徴 【傘】傘の大きさは3㎝から15㎝ほどで、まんじゅう型から半円型、ときにじょうご型になります。表面はなめらかで、幼菌時黒っぽい色をしていて、成長すると鼠色、褐色、淡褐色、老菌は白っぽい色になります。 【ヒダ】ヒダは密。初め白色をしていますが、成長するとともに淡黄土色のような色へと変化していきま

ツバキキンカクチャワンタケ(椿菌核茶碗茸)Ciborinia camelliae

時期 初冬から早春にかけて、「ツバキ」や「サザンカ」が咲くころに出現します。(福岡県では12月~4月まで観察することができます) 発生環境 本種は名前の通り、「ツバキ」や「サザンカ」の樹下に出現します。 菌核化した前年の花や蕾から発生するきのこで、「ツバキ菌核病」という植物病害菌としても知られています。 特徴 【形】はじめお茶碗型で、成長すると皿型に開きます。きのこ自体は柔らかく、乾燥すると小さく縮みます。幼菌の時は全体的に褐色ですが、老菌になると黒っぽくなり見つ

ニセマツカサシメジ(偽松笠(毬)占地)Baeopora myosura

時期 秋から冬にかけて (福岡県では10月~12月頃に観察することができます) 発生環境 アカマツ・クロマツ林内に落ちている松ぼっくりから生えてきますが、本種は地中に埋もれた松ぼっくりに多く見られるようです。 特徴 【傘】傘の大きさは0.8~2.3㎝ほどで、ほぼ平らに開き、表面は淡黄褐色~褐色。 【ヒダ】ヒダは密。はじめ白色ですが、乾燥していたり古くなったりすると褐色に変化します。(傘のふちから色が変わります) 【柄】柄は長さ2.5~5㎝ほどで、表面は白粉に覆

マツカサキノコモドキ(松笠(毬)茸擬)Strobilurus stephanocystis

時期 秋から冬(福岡県では10月~3月にかけて観察することができます。) 発生環境 アカマツ・クロマツ林内に落ちている松ぼっくりから生えてきますが、本種は地中に埋もれた松ぼっくりに多く見られるようです。 特徴 【傘】 傘の大きさは、1.5~3㎝ほどの小さなきのこです。 幼菌の時や、子実体が落ち葉に隠れている時などは傘の色は白色になっています。地表に顔を出してくるとだんだんと色味が濃くなり、黒褐色になっていきます。 【ヒダ】ヒダは白色で密についています。 【柄】

マツカサタケ(松毬茸)Auriscalpium orientale

時期 秋から冬にかけて (福岡県では10月~3月頃、6月頃に観察することができます) 発生環境 アカマツやクロマツなどのマツ林地上で姿を見ることができます。古い松ぼっくりから栄養を摂って成長する腐生菌です。 特徴 【傘】傘は幼菌のときは肌色をしていますが、成長すると茶褐色になり次第に黒っぽく変化していきます。表面はビロード状で、半円形の模様ができることもあります。 【ハリ状のヒダ】ヒダはハリ状でトゲトゲしていますが、さわってもやわらかいので痛くありません。幼菌の

オウギタケ(扇茸)Gomphidius roseus

時期 夏から秋(福岡県では5月~6月頃、10月~11月頃の二度観察することができます。) 発生環境 アカマツやクロマツなどのマツ林地上に発生します。 特徴 【傘】 明るい赤褐色でややまんじゅう型をしています。幼菌の頃は紅色が鮮やかですが、傘が開き、時間が経つと色は褪せてしまいます。傘の表面は湿気がある時はぬめりがあり、乾燥するとややツヤがあります。 【ヒダ】 やや垂生しやや疎。はじめは白色ですが、古くなると黒っぽくなります。 【ツバ】 不明瞭で消失しやすい。成

きのこ豆知識 きのこの役割

自然界での役割きのこを含む菌類には、さまざまな生活型が知られています。 動植物の死がいを食べて育つ腐生菌のグループは「分解者(お掃除屋さん)」として知られています。また、生きた植物と「共生関係」にある菌類もいますし、生きた動植物から一方的に栄養を奪って生きている「寄生菌」と呼ばれる菌類もいます。 もし「分解者」である菌類がこの世界にいなかったら、本来土にかえるはずだった動植物の遺体は形を残しそのまま森の中に置き去りにされ、悪臭を放ちながらどんどん増えていたのかもしれません。

アミタケ(網茸)Suillus bovinus

時期 夏の後半から秋にかけて (福岡県では5~6月頃、10~11月頃の二度観察することができます。) 発生環境 アカマツやクロマツなどのマツ林地上に発生します。 特徴 【傘】全体的に黄土色をしていて、表面は湿り気がある時はぬるぬる。乾燥している時はややツヤがあり、触れるとぺたぺたしています。場所によっては傘の表面に枯葉がくっついていることもあります。 【管孔】黄土色、孔口は多角形で大型。他のイグチ類と比べると粗くみだれているように見えます。管孔が網目のように見え

きのこ豆知識 きのこの暮らし

はじめに「きのこ豆知識」では、主にきのこちゃんの活動拠点でもある福岡市の「油山」で見られるきのこを中心に記事を書いています。しかし、きのこを含めた「菌類」という分野は発生場所や環境により姿かたちが違う場合もありますので、様々な場所のきのこを比較するため、このブログでは「油山」以外で撮影したきのこ写真も載せていますのであらかじめご了承ください。 「きのこ豆知識」は図鑑ではありません。ブログを書いているきのこちゃんは「きのこという生きものについて知るきっかけの手助けをしたい!