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名津乃 綾【季節】

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季節を感じて書いた作品を 集めております 春夏秋冬…。
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2020年3月の記事一覧

3月31日に

3月31日に

桃の節句も過ぎ
寒さは緩み
桜が咲き

あまりにも
様々な事が
あり過ぎたせいか
何故だか
とても早く…
気づけば
間もなく
今年の弥生が終わり
新年度が始まる

どうか幸せであれと
安堵と喜びよ、早くやって来いと
また1つ暖かくなる季節に
心から祈りながら…

お彼岸の日に

お彼岸の日に

冬物の服で出た事を後悔する陽気に

サラサラと花は揺れ

のら猫は昼寝

私は時折梅を愛でながら

落雁片手に歩いて行く

新たな春

新たな春

緩やかに
突き刺さるような
寒さは溶けて
同時に
心の奥の
冷えて固まった
部分も
和らぎ始め
君の
温もりに満ちた
優しい微笑みに
ポカポカと
暖かくなる
外を歩けば
軽やかに鳴いてる
楽しそうな鳥の声

まだ見ぬ
新しい
春が
沢山の草花を抱えて
この国へ

間もなくやって来る

卒業

卒業

泣いたのは
私の方だった

祝辞もない簡略化された
今年の卒業式で
沢山の
思い出と共に

窓から柔らかく吹く風が同じ様に頬を撫でていた入学式の日の事を思い出した

短い式の途中
ふと開け放たれた窓の外を
見ようとしたけど
滲んで
ぼやけて
よく見えない

毎朝
早朝に
出かけていた
君の
大好きな
後ろ姿は目に焼き付いて
永遠に
忘れることは無い

素敵な
思い出をくれて

本当に

ありがとう

もっとみる
春よ…

春よ…

まだ
時々寒いけど
冬物のモコモコした
厚手の服は
なおしたり

いつも
玄関を開け外に出る度

膨らんでいる

梅の花の蕾や
桜の蕾を
見上げている

お店に並ぶ
お酒や食べ物の
パッケージだけが
先回して
ピンク色の満開の桜模様

少し陽が長くなって
夜の訪れも遅くなり

忙しい手を休めて
空を見上げ呟く

きっと楽しい季節になると信じているよ

だから

春よ、来い……

3月3日

3月3日

ランドセル
背中でカタカタ
音をたてて
坂道を
走っていたら
ステンと転んで
膝小僧から血が出て
痛くて痛くて
涙が出たけど
また
カタカタ音をたてて
急いで歩いた帰り道
やっと着いたお家には

お雛様が飾ってあって
花瓶にはピンクの桃の花…
テーブルには桜餅や雛あられ

怪我をした
膝小僧の事も忘れ
笑顔がいっぱい溢れた
遠く幼き日の

3月3日…