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日銀の保有国債の含み損が10兆円突破した事について思う事

冒頭で添付させていただいたニュースにもある通り、日銀の保有国債の含み損が、9月末時点で、10兆円5000億円を突破したとの事です。

そこで、今回は、私が過去に投稿したnoteの内容の焼き増しとはなりますが、現在の状況を踏まえ、改めて、量的緩和政策に期待出来る事や、逆に、その懸念点等について、私個人の意見を述べさせていただこうと思います。




1.予想されていた程の事態にはならなかった

日本銀行 我が国に迫る危機 (講談社現代新書)

これまで、日銀の保有国債の価値の下落により、日銀の債務超過について、"円の価値が大暴落する""預金封鎖が起こる"等、警鐘を鳴らすような著書や記事が、執筆されておりました。

そして、現在、日銀が債務超過に陥る程の含み損には達していないものの、10兆円規模の大きな含み損を抱えてしまっている状態となっております。

しかし、実際、2023年11末現時点では、ドルに対しては若干の円高を記録する等、国民生活に多大なる影響を及ぼすような事態には発展しておりません。

なので、"思った程の悪影響は無かった"というのが、私の正直な感想になります。


2.富の格差の是正として、量的緩和は大きな可能性を秘めている

経済格差の日本と世界の現状は?原因や問題、解決に向けた取組も紹介

また、それと同時に、"量的緩和が、経済格差の是正の切り札になる可能制"について、より強く感じました。

現在、アメリカ等、様々な国において、富裕層と貧困層との格差が拡大しております。

そして、現時点で各国政府が採り得るような、経済格差を是正するための手段としては、"富裕層への適切な課税"か、"貧困層への財政出動"の二択しかないと考えております。

更に、どの先進国においても、富裕層や大企業、GAFAM等のグローバル企業への課税については苦戦している事から、"富裕層への適切な課税"というのは、理想論であり、現時点では、実現し得ない選択肢であると言えます。

なので、経済格差の是正のために使える手段としては、"貧困層への財政出動"しか残っていないため、各国が、経済格差の是正を行おうとした場合、日本のように、国債を大量に発行し、大規模な財政出動を行うしか無いという事です。


3.それでも、大きな懸念点は残る

日本10年国債利回り チャート(日足)

また、懸念点としては、やはり、"大規模なインフレが発生した場合、利上げという手段を使えないだろう"という点が挙げられます。

過去のnoteでも述べておりますが、国債の大量発行や量的緩和を維持した場合考えられる大きなデメリットとして、"インフレを止める事が難しくなる"というものがございます。

現在、日本の10年国債の利回りは、1%にも満たない状況で推移しておりますが、それでも、10兆円規模の多額の含み損が出てしまっているため、日銀は、これ以上の含み損の拡大を避けるため、容易な利上げは行う事は無いと考えれます。

なので、大規模なインフレが発生してしまった場合、それを止めるための手段として、実質的に、"利上げ"という選択肢が使えなくなってしまう事から、日本政府の手札には、"大規模増税""預金封鎖"の2枚のカードしか残っていないような状況となる可能性が高いと考えられます。

当然、"大規模増税""預金封鎖"を実施してしまえば、国民生活に多大な影響を及ぼす事は間違いありませんので、そういったインフレに対するリスクというのも、現実化しつつあるのではないかと感じております。


4.全ては外交次第で決まる

やはり、日本の借金の額や日銀の財政状況等、ただの数字の羅列でしかなく、結局、その情報を受け取った投資家や海外諸国等の行動によって、その影響は左右されるものと考えられます。

特に、海外諸国の政府の動向は重要であり、"日本の財政状況が改善しないから、通貨スワップを打ち切る!"といった対応も考えられ、円のレートに対するその影響力は甚大です。

しかし、2章でも述べたように、経済格差を是正したり、経済を活性化するための手段として、国債の大量発行や量的緩和と言うのは、日本政府だけでなく、他の諸外国政府にとっても、重要な選択肢と成り得るでしょう。

実際、2000年以降、国債の大量発行や量的緩和と言うのは、日本政府や日銀のみが実施していた訳では無く、各国政府や中央銀行と、協調して行っております。

なので、日本経済のみならず、世界経済の活性化するためにも、海外諸国と協調しながら、国債の大量発行や量的緩和を行えるような上手な外交が更に必要とされる事は間違いないでしょう。


まとめ.

結局、日本の借金や国債等の問題については、"外交が全てである"と考えております。

仮に、海外諸国との関係が悪化してしまえば、現在の財政状況下においても、"財政状況を改善するために、今すぐ大増税を実施しろ"と、海外諸国からの圧力が掛かる可能性は十分にあります。

ですが、海外との外交を上手に行えば、"国債の大量発行や量的緩和は、ナショナルスタンダードである"という共通認識を作れる可能性もあるでしょう。


しかし、現実問題、国債利払い費の上昇に伴う増税が必要になっていたり、インフレが起こった場合のリスクが増してしまったりと、国債の大量発行や量的緩和の悪影響は、少しずつ生じております

つまり、大原則として、国債の大量発行や量的緩和は、長期的には、日本国民の首を絞める事になる事は間違いないという事です。

なので、日本国民が、国民生活を守っていく上で、行える対策として、"財政の問題重要視しており"、尚且つ、"国際協調を重んじる"ような政治家を、きちんと選挙で当選させる事が、必要不可欠であると考えます。


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